心臓神経症になるとみられる症状は?診断のときに受ける検査は?

2019/1/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

過度なストレスや不安が続いたりすると、「心臓神経症」を発症することがあります。今回はこの心臓神経症になったときにみられる症状や、どんな検査で判明するものなのかなど、解説します。

心臓神経症ってどんな病気?

心臓の病気が疑われる症状には、胸の痛みや、動悸、息切れ、しびれやめまいなどがあります。しかし、心臓の病気に関してどんなに検査をしても、心臓には何も異常が見つからないことがあります。このような状態を心臓神経症といいます。心臓という名前が用いられていますが心臓の病気ではなく、ストレスや強い不安などといった心理的な要因が関係していると考えられています。

人間の体は、さまざまな環境の変化やストレスに対して、ある程度一定の状態に体を保ったり、対処できるような状態にコントロールしたりしています。たとえば、大切な面接の前で緊張しているときなどは、ドキドキと脈が速くなったり、手に汗をかいたりしますが、本来は一時的なものです。しかし、過度なストレスや強い不安などが続くことでコントロールが上手く行かなくなることがあります。また、たとえ一時的な症状であっても「病気なのではないか」と不安を強く感じることで、症状が繰り返されるようになると考えられています。

心臓神経症は、男性よりも女性に多くみられ、若年層だけではなく女性ホルモンが減少する中高年の女性でも多いとされています

心臓神経症でみられる症状は?

心臓神経症でみられる自覚症状は、心臓の病気でみられるような症状があらわれます。胸の痛みや、心臓がドキドキと脈打つような動悸、息切れや呼吸困難、めまいやしびれといった症状が挙げられます。また、不安や不眠、抑うつ症状などの精神症状や、外出が怖いといった行動の問題が生じていることもあります。

心臓神経症では多くの人が胸の痛みを訴えますが、心臓の病気の痛みとは少し異なっています。心臓への血流が少なくなることで起こる狭心症では、胸が圧迫されている、締め付けられているといった痛みがあり、痛みの範囲は胸だけでなく、肩や背中といった広範囲に渡ることもあります。また、痛みの発作は数分〜15分以内と比較的短時間で落ち着くほか、運動時にあらわれ休憩すると軽減するということもあります。

一方、心臓神経症で感じる痛みは、チクチクと表現されるような痛みです。痛む部位も狭い範囲に限られているといわれ、安静にしているときにもあらわれます。

心臓神経症かどうかは、どうすればわかる?

心臓神経症かどうかは、心臓の病気でないことを確認する必要があります。また、肺の表面を覆っている胸膜(きょうまく)の病気や食道けいれんなど、胸の痛みを生じる可能性がある病気についても調べます。似たような症状を示す病気ではないことがわかって、心臓神経症という診断がつけられることになるでしょう。

心臓神経症ということを診断するためには、他の病気がないことを調べる必要があります。そのため、心臓の検査だけではなく多くの検査を行うことになります。一般的に行われる検査は次のようなものです。

血液や尿の検査

貧血や、肝臓、腎臓機能、甲状腺ホルモンなどのチェックを行います。

画像検査

胸部のレントゲン検査、超音波検査、CTやMRIなどを使って、胸の状態を画像で確認します。

心電図検査

心電図検査は、心臓の動きが波の形で記録される検査です。心臓に異常があると特徴的な波形があらわれます。

上部消化管内視鏡

上部消化管内視鏡はいわゆる胃カメラです。食道や胃といった消化器官に異常がないかを調べます。

心臓神経症の症状ってどうすれば治るの?

心臓神経症の治療は、症状の起こりやすいきっかけを探り、そのきっかけへの対処方法を考えていくことになります。心臓神経症には、疲れや精神的なストレス、強い不安のほか、喫煙やカフェインのとりすぎ、体質なども関わっているといわれます。

一般的には、食事や運動といった生活習慣の見直しや、不安やストレスとの付き合い方を改善していくことが中心となります。必要に応じて精神安定薬や、心臓のはたらきを抑える薬を使うこともあります。また、カウンセリングを組み合わせて、病気についての理解を深めたり、自身の行動や考え方の癖を見直していくこともあるでしょう。

おわりに:心臓神経症を治すには、心のケアが重要!

心臓神経症は、心臓の病気であらわれる症状があるにもかかわらず、心臓そのものや、心臓に影響を与える病気が見つからないことで診断される病気です。心臓神経症には、何らかの不安やストレスが関わっているとされています。診断されるまでには、さまざまな詳しい検査を行うことになるため、時間や費用もかかります。しかし、患者本人は症状への不安や、苦痛を抱えて過ごしています。患者自身が治療を受けるだけではなく、周囲が理解して関わっていくことも大切になるかもしれません。

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