妊娠中の生理痛のような痛みは、なぜ起きるの?

2017/4/7 記事改定日: 2019/8/22
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

妊娠すると生理痛によく似た下腹部の痛みや腰痛を経験することがあります。
この記事では妊娠中に感じる生理痛のような痛みの原因と特徴について説明していきますので、不安のある人はチェックしてみてくださいね。

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妊娠中の生理痛のような痛みの原因とは?

妊娠すると生理痛に似た下腹部の痛みや腰痛を経験することがありますが、その多くは赤ちゃんが子宮で成長することで起こるもので危険がないものです。ただ、なかには病院に行った方がいいものもあります。
その原因や特徴は、妊娠初期から後期のどの時期かによって違ってきます。

妊娠の超初期

この時期には、着床出血にともなう痛みが起きることがあります。これは精子が卵子と結合して子宮の内膜に着床したときに起きるものであり、生理痛のような痛みを感じるという人が多いようです。
このとき、少量の出血を経験する人も全体の2割から3割近くいるといわれています。

排卵後8~10日くらいの時期に起こり、1日程度で治まることが多いです。

妊娠初期

  • 妊娠検査薬や血液検査で妊娠の陽性反応がでたのに生理痛をともなう生理があった
  • しかも通常の生理よりも、固まっている経血ばかりが出ている

このような場合は「化学流産」という、厳密には妊娠でも流産でもない状態になっている可能性があります。

妊娠は「子宮の内膜に精子と卵子が結合した胚が着床し、胎盤の生成が始まること」をいいますが、化学流産は着床を試みたが着床できなかった(受胎しなかった)ことによる出血と生理痛に似た痛みのことです。

流産の場合は激しい痛みになることが多いですが、この場合は、通常の生理程度の痛みしか感じないこともあります

大半は特別な治療を必要としませんが、念のため医師に相談しましょう。

妊娠中期〜後期

胎盤早期剥離

胎盤が子宮壁から早期にはがれてしまう症状で、妊娠後期に起きることが多いです。生理痛に似た腹部の痛みや痙攣、腰の痛みなどが現れます。

胎盤が少ししか剥がれていない状態であれば、母体にも赤ちゃんにも悪い影響を与えることはほとんどないですが、深刻な場合は赤ちゃんへのリスクが非常に高くなります。
すぐに医師に連絡しましょう。

早期陣痛・早産

早期陣痛や、妊娠20週~37週で出産が始まってしまう場合、定期的な陣痛、生理痛のような痛み、腰の痛み、骨盤の圧迫感が起きることがあります。
予定日より早く出産が始まってしまう可能性があるので、すぐに医師に相談しましょう。

恥骨結合離開(SPD)

妊娠中に恥骨結合離開(SPD)が起きると、骨盤が痛むことがあります。
これは出産の準備のためにホルモンの影響で靭帯がゆるくなることで起こりますが、別のことが原因で起きることもあります。

恥骨や仙腸関節など骨盤部に限定した痛みが起こり、ひどいときには歩けなくなってしまうこともあります。自然治癒することもありますが、治療が必要になることもありますので念のため一度は医師に診てもらいましょう。

妊娠中の、危険な下腹部や腰の痛みの特徴は?

妊娠中に次のような下腹部や腰の痛みがある時は上で述べたような危険な状態のサインかも知れません。当てはまる場合はできるだけ早くかかりつけの産婦人科に相談するようにしましょう。

  • お腹の張りを伴い、休んでも治まらない
  • 出血がある
  • おりものの量が異常に増えた
  • 破水感がある
  • 発熱を伴う
  • 痛みが一定間隔で強くなったり弱くなったりする

おわりに:痛みの多くは心配のないもの。ただし、治療が必要なものもあるので注意。

妊娠中に生理痛に似た痛みを感じたとしても、その多くは赤ちゃんが子宮で成長していくことで起きる痛みで心配がないものです。ただ、なかには治療が必要なものもあります。
産婦人科の先生に相談しながら、必要に応じて病院で診てもらうようにしてくださいね。

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