妊娠中に起きる、生理痛のような痛みって?

2017/4/7

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東大医学部卒、医学博士

三上 貴浩 先生

妊娠するとだれもが経験する痛みは色々なものがありますが、生理痛によく似た下腹部の痛みを経験することがあります。特に妊娠前半期の心配のないものから、気をつけた方が良いものまでご紹介します。

妊娠の超初期

着床出血にともなうものがあります。精子が卵子と結合して子宮の内膜に着床したときに、少量の出血を経験する妊婦さんは、全体の2割から3割近くいるといわれます。その際に、ちょうど生理痛のような痛みを伴う人もいます。排卵後約8~10日で起こり、出血も痛みもせいぜい1日程度しか続きません。少し休めば、不快感が和らぐはずです。

妊娠初期

・妊娠検査薬や血液検査で妊娠の陽性反応がでたにもかかわらず、生理痛をともなう生理があった。しかも通常の生理よりも経血が固まっているものばかりが出る。このような場合は「化学流産」とよばれる、厳密には妊娠でも流産でもない状態の可能性があります。

流産の場合は激しい痛みが伴うものが多いですが、この場合は、通常の生理と間違えることもあります。妊娠の定義は、子宮の内膜に精子と卵子が結合した胚が着床し、胎盤の生成が始まることをいいます。化学流産とよばれるものは、着床を試みたが着床できなかった(受胎しなかった)ことによる出血と生理痛に似た痛みです。特別な治療は必要のない場合がほとんどですが、医師の診療をすすめます。

妊娠中期および後期

胎盤早期剥離

胎盤が子宮壁から早期にはがれてしまう症状で、ほとんどの場合、妊娠後期に起こります。生理痛に似た腹部の痛みやけいれん、腰の痛みも伴います。少ししか剥がれていない場合は、母体にも赤ちゃんにもさほど危険はありませんが、深刻な場合、赤ちゃんへのリスクが非常に高くなるため、直ちに医師に連絡してください。

早期陣痛、早産

早期陣痛や、妊娠20週~37週で出産が始まってしまう場合、定期的な陣痛、生理痛のような痛み、腰の痛み、骨盤の圧迫感を伴います。予定日より早く出産が始まってしまっていると感じたら、直ちに医師に連絡してください。

骨盤の周辺や直腸のあたりの圧迫感

生理痛に似た痛みで、腰痛も同時に起こることが多いです。これは、妊娠後期に起きやすい傾向にあります。

(補足)知っておいたほうがよい骨盤周辺の痛み

恥骨結合離開(SPD)が原因で骨盤が痛む場合もあります。これは、必ずしも靭帯がゆるくなることが原因で起こるものではありません。坐骨神経痛の痛みのような、坐骨の神経が圧迫されるような痛みとも異なり、痛みが骨盤周辺に限定されます。この痛みの緩和には以下があります。

・骨盤を傾けるなどの骨盤体操
・バスタブにつかる(重力に逆らうことができます)
・マッサージやリラクゼーションなどのセラピーを受けてみる
・鍼(はり)を打つ

痛みが激しく我慢できない場合は、妊娠中に服用しても問題のない痛み止めなどを必ず医師に相談してください。

おわりに:痛みが何かの前兆の場合もある

赤ちゃんは子宮に宿り成長していますから、普段の生理中の感覚に似たものを感じるのもよくあることでしょう。心配しすぎる必要はありませんが、痛みは何かの前兆ということもあります。母体を気遣いながら、日々を過ごしましょう。

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