不整脈が心臓弁膜症のサインになってることもあるって本当?

2019/12/3

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

突然脈がゆっくりになったり、逆に早くなったり、脈が飛ぶなどして心臓の鼓動が一定のリズムから乱れる症状を不整脈と言います。

心臓疾患の症状として現れることも多いため、不整脈が心臓弁膜症は詐称のサインになっていることも。今回は不整脈の症状と検査の必要性を、心臓弁膜症との関係に触れながら解説します。

不整脈とは

通常、人間の心臓は規則正しく収縮を繰り返すことで全身に血液を送るポンプの役割を果たしていますが、この収縮リズムが乱れると不整脈を発症します。安静の状態で、だいたい1分間に50~100回脈拍がとれる状態が正常な基準値とされ、このリズムを大幅に逸脱する場合は、以下3種類いずれかの不整脈と診断されます。

不整脈の種類

  • 頻脈(ひんみゃく)…基準値となる正常な脈拍よりも、脈打つ速度・回数が速くなる
  • 徐脈(じょみゃく)…基準値となる正常な脈拍よりも、脈打つ速度・回数が遅くなる
  • 期外収縮(きがいしゅうしゅく)…リズムから外れ、脈がところどころ飛んでしまう

心臓疾患のほか、加齢によっても起こることのある不整脈は、発症しても無症状のことが多いですが、人によっては意識消失や動悸、突然死を起こすこともある危険な状態です。

心臓弁膜症の症状に不整脈がある?

心臓の中に2つずつある、心室・心房の血液の流れをコントロールする弁に何らかの異常が起こることで、心臓機能に支障が起きるようになる心臓弁膜症。不整脈は、一部の弁膜症の進行とともに、症状のひとつとして現れることがあります。

心臓弁膜症のうち、特に不整脈の症状が現れやすいのは「僧帽弁狭窄症(そうぼうべんきょうさくしょう)」と「僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)」の2つです。

僧帽弁狭窄症とは
心臓のなかで、左心房と左心室を仕切る位置にある僧帽弁がスムーズに開閉しなくなる弁膜症です。
左心房に負担(圧負荷)がかかり膨らむことで、不整脈や血液のよどみ、血栓を発生させて、心筋梗塞や脳卒中、急性心不全などの原因になります。
僧帽弁閉鎖不全症とは
心臓のなかで僧帽弁を開閉させているヒモのようなものに異常が起き、弁の一部が開きっぱなしの状態になって、血液の逆流が起こる弁膜症です。
血液の逆流は左心房と左心室に余計な負担(容量負荷)をかけ、心不全の原因となります。

なお、僧帽弁狭窄症と僧帽弁閉鎖不全症のどちらも、不整脈とあわせて動悸や息切れなどの症状を伴いやすいのが特徴です。

不整脈が気になったら、念のため病院で検査を受けよう

動悸や息切れ、胸の痛みなどの症状とともに、自分で脈を測ってみて異常を感じるようなら、心臓弁膜症が原因の不整脈かもしれません。不整脈が疑われる場合は、弁膜症による心不全や心臓や脳の高速発作が起こってしまう前に、できるだけ早く内科や循環器科の病院で検査を受けてください。

なお病院では、心臓弁膜症かどうかを調べるために以下のような検査を受けられます。

  • 問診や聴診、触診(日ごろの症状の出方や頻度、心音を確認する)
  • 胸部レントゲン検査(胸にX線を当てて、心臓の大きさや形を視診する)
  • 心エコー検査(心臓がどのように動いているか、肥大しているかを目視する)
  • 心電図検査(不整脈の有無や発生の条件、心肥大の状態がわかる)
  • 心臓CT検査(心臓弁の動きやその周辺の状況を、X線照射で撮影して確かめる)
  • 心臓カテーテル検査(心臓のまわりの血管状況や、血液の流れを確認する)
  • 心核医学検査[アイソトープ検査](心臓を収縮させる筋肉の動きや血流を調べる)

おわりに:心臓弁膜症の症状として、不整脈が出る可能性は十分にある

突然脈が飛んだり、遅くなったり早くなったりする不整脈に、胸の痛みや冷や汗、動悸や息切れが伴っているなら、心臓弁膜症の症状である可能性が高いです。心臓弁膜症のうち、左側の心房と心室の血流をコントロールしている僧帽弁に異常が起こる僧帽弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症では、不整脈症状が起こりやすいとされています。不整脈や心臓弁膜症が疑われる症状が現れたら、できるだけ早く病院に行きましょう。

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