心筋炎の症状って風邪に似ている?

2019/1/23

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

発熱やのどの痛みといった症状が出てくると、たいてい「また風邪を引いちゃった」と思ってしまいがちです。でも、実は風邪に似ているようで実は違う病気、ということもあります。そのひとつが、この記事で解説する心筋炎です。以下、心筋炎がどんな病気かやその原因、治療法を解説していきます。

心筋炎の症状って風邪に似ている?

「心筋炎」はその名の通り、心臓を構成する筋肉に炎症が起きてしまう病気です。血液を送り出すポンプとしてのはたらきが低下し、生命に危険を及ぼす不整脈などの症状にもつながってしまいます。

発熱やのどの痛みといった風邪によく似た症状のほか、下痢、嘔吐の後に、失神などを引き起こすケースが多くみられますが、自覚症状がないこともあります。急速に病気が悪化することもあるため、急激な血圧低下や意識障害、最悪の場合は突然死などの可能性もあり得ます

心筋炎がおこる原因として、ウイルス感染がもっとも多いとされています。コクサッキーB群というウイルスが代表的です。しかし、そのほか、細菌や薬剤、リウマチなどの膠原病が原因になることもあり、特定ができないこともあります。

心筋炎かどうかはどんな検査を受けるとわかるの?

心筋炎かどうかを診断するには、心臓の状態を調べるさまざまな検査を受ける必要があります。具体的には、胸部レントゲン検査や心電図、心臓超音波、心臓MRI、血液検査などが挙げられます。

たとえば胸部レントゲンは、心臓の影の様子を確認したり、肺うっ血、胸水の有無などを調べたりすることができます。心電図は、心室細胞などの危険な不整脈を見つけるのに役立ちます。また、心臓MRIは造影剤を流すため、心筋内に起きている炎症を映し出すこともできます。そして、血液検査は、体の中のどこで炎症が起きているかを調べるうえで大切な検査です。

これらの検査にはそれぞれの長所があり、診断の助けとなりますが、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患との区別がつかず病名を確定できない場合もあります。このようなときは、心臓カテーテル検査や、心臓の筋肉を採取して心筋の検査をする心筋生検をする必要が出てきます。

心筋検査は心臓の筋肉が炎症を起こしているかどうかを顕微鏡で観察できるため、病名の確定や心筋炎の種類を特定できる可能性があります。ただ、心臓の筋肉を採る必要があるため、患者にとって体の負担が大きい検査でもあります。

心筋炎だった場合の治療法は?

心筋炎で警戒すべきは、急激な症状の悪化によって命に危険が及ぶことです。そのため、まずはそのような状況に陥らないことを最優先にした治療を行います。

疑いがある場合、入院の上、血液検査やレントゲン、心電図の検査などを何度も行い、血圧、脈拍の異常にすぐに気づけるようにします。重症の場合は、スワンガンツ・カテーテルという管を首や足の付け根の静脈から挿入し、心臓の機能や圧を直接測定できるようにします。

しかし根本的な治療については、主な原因となっているウイルスの特定が難しいこともあり、まだ方法が確立されていません。膠原病や薬物過敏が原因の場合であれば、それに対する治療を行うことができますが、ウイルスが原因の場合、ウイルスの種類の特定、さらにはそのウイルスに対して有効な抗ウイルス療法の確立がどうしても難しくなります。

ただし、免疫グロブリン療法は免疫反応の抑制効果やウイルス駆除効果が期待できるとされており、しばしば用いられることがあります。

おわりに:心筋炎は原因の特定や治療法の確立がまだ難しい病気

心筋炎は、心臓の筋肉の病気です。ウイルス感染や免疫反応などが原因と考えられていますが、まだ完全には解明されておらず、治療法もまだ確立されていません。心筋炎かどうかを診断するには、心臓の状態を調べるさまざまな検査を受ける必要があります。具体的には、胸部レントゲン検査や心電図、心エコー、心臓MRI、血液検査などがあります。

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