薬の副作用で血栓性血小板減少性紫斑病を発症!? どんな検査をすればわかるの?

2019/1/8

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

血小板血栓が詰まったことで、倦怠感や発熱、青あざ、意識障害などのさまざまな症状が引き起こされる「血栓性血小板減少性紫斑病」。国の難病にも指定されていますが、実は薬の副作用で発症するケースもあることをご存知でしょうか。以降では発症原因となり得る具体的な薬や、検査方法についてお伝えしていきます。

薬の副作用で血栓性血小板減少性紫斑病を発症する?

血栓性血小板減少性紫斑病には、先天性のものと後天性のものがあります。先天性の場合は、「ADAMTS13」(血小板同士をくっつける「フォンビルブランド因子」を切断する作用をもつ)という肝臓でつくられる酵素の活性が減少、欠損していることが原因で、血小板血栓ができやすくなります。

一方の後天性は、ADAMTS13に対する自己抗体や重篤な肝機能障害などの基礎疾患、そして特定の薬剤の影響が原因となって起こるものと考えられています。

血栓性血小板減少性紫斑病を引き起こす可能性のある薬とは?

副作用として血栓性血小板減少性紫斑病を引き起こしたことが報告された薬のうち、多くは抗血小板剤のチクロピジン、クロピドグレルなどのチエノピリジン系薬剤です。

このほかには、免疫抑制剤のサイクロスポリン、抗リウマチ薬のペニシラミン、経口避妊薬、インターフェロン、シルデナフィル、抗がん剤のマイトマイシンC、ダウノルビシンなどで発症報告があります。

独立行政法人医薬品医療機器総合機構 の情報をもとに編集して作成 】

こんな症状が出たら要注意

上記の薬を飲み始めてから1ヶ月以内に下記のような症状が見られた場合は、血栓性血小板減少性紫斑病のサインの可能性があります。放置すると命にかかわることもあるので、すぐに主治医に報告してください。

  • 発熱
  • 倦怠感
  • 食欲不振
  • 手足の青あざ
  • 口腔粘膜からの出血
  • 意識障害(錯乱など)
  • けいれん
  • 尿量の減少、血尿

血栓性血小板減少性紫斑病の疑いがある場合、どんな検査を受ける?

上記のような症状が見られた場合は血液検査を行い、血小板の減少数や「シストサイト(破壊された赤血球像)」が見られた場合に、血栓性血小板減少性紫斑病が疑われるようになります。

なお、診断を確定させるにはADAMTS13の活性低下を確認する必要がありますが、検査結果が出るまでに時間がかかることや、治療が遅れると死亡率が高まってしまうというリスクから、正確な診断が出る前から治療を始めることが多いです。

おわりに:薬の服用後、気になる異変が見られるようになったらすぐ医師に報告を

後天性の血栓性血小板減少性紫斑病は、抗血小板剤などの特定の薬の影響で発症することがあります。服用からしばらくして青あざなどの気になる異変が見られたら、すぐに医師に報告し、検査を受けるようにしてください。

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