心臓弁膜症と診断されたら、どんな治療を受けるの?

2019/1/21

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

心臓にある4つの弁がうまく機能しなくなる「心臓弁膜症」。この心臓弁膜症と診断された場合、その後どのような治療を受けることになるのでしょうか。以降で詳しくご紹介していきます。

心臓弁膜症の治療はどんなふうに行われるの?

心臓弁膜症の治療は、軽症から中等症の弁膜症で自覚症状もない場合は、何年後かに症状が出てくる可能性もあるため特に何もせずに経過だけを見ます。
中等度以上の弁膜症でも心臓の機能が障害されていない場合では、保存的治療を行い、日常生活で自覚症状が出るのを遅らせたり、心筋の機能を保護したりします。

重症例で内科的治療の限界にある場合には、外科的治療やカテーテル治療が必要となります。心臓弁膜症の手術は一般的に日常生活で症状があるときや心機能が低下してきたときに考慮されます。

保存的治療ではどんなことをする?

保存的治療は心臓の弁そのものを治すのではなく、薬物を用いて心臓の負担を軽減し、心不全を起こしにくくします。心臓弁膜症の治療薬は出現している症状や、弁膜症の種類で使い分けられます。

心臓弁膜症の治療で使用されるお薬は主に強心薬、利尿薬、血管拡張薬、抗不整脈薬、抗凝固薬、降圧薬などです。

強心薬

強心薬は心臓の収縮力を高めるため全身に血液がいきわたるようにする目的で使用します。心臓弁膜症の中でも三尖弁閉鎖不全症の場合に使用されることが多いです。

利尿薬

利尿薬は余分な水分を体内から取り除く役割があるため心臓にかかる負担を軽くする目的で使用します。

血管拡張薬

血管拡張薬は血管を広げて血液の流れをよくするため心臓にかかる負担を軽くする働きがあり、抗不整脈薬は心臓のリズムを改善する目的で使用します。そのため、不整脈が原因で起きる症状を軽減させる働きがあります。

抗凝固薬

抗凝固薬は血液を固まりにくくする目的で使用し、血栓ができないようにするもので心臓弁膜症の多くの症例で使用されます。

降圧薬

降圧薬は血圧を下げるお薬で、心臓から拍出される血液量を減らすあるいは血管を広げて血圧を下げます。こちらも多くの心臓弁膜症の症例で使用される薬です。

外科的治療で行うことは?

心臓弁膜症の外科治療は弁形成術もしくは弁置換術のどちらかが行われます。

弁形成術

弁形成術とは心臓弁膜症の中でも主に弁閉鎖不全症に対して行う手術で、壊れた心臓の弁を修理することによって、その機能を回復させます。基本的には人工弁輪を用いた方法で行われ、この方法は弁をしっかりと形成することができ、望ましい状態がより長く保たれます。しかし、人工物を体内に残さないよう針と糸を使って弁を修復する治療法もあります。

また、弁形成術は僧帽弁に対しては高い水準で技術が確立され、再手術の可能性もほとんどないものの、大動脈弁の形成術は未だ発展途上にあります。

弁置換術

弁置換術とは心臓弁膜症の中でも弁狭窄症に対して行うことが多い手術で、動脈硬化などによって壊れた心臓の弁を人工のものに取り換える手術です。人工心肺を用いて心臓を停止させ、大動脈を切り開き、硬化した大動脈弁を取り除いて、新しい人工弁を糸で縫いつける手術です。

置換する弁は人工の材料を使った機械弁もしくは、ウシやブタの組織など生体材料を使った生体弁のいずれかを使用します。機械弁は半永久的に壊れないもののワーファリンという抗凝固薬を生涯飲み続ける必要があります。

生体弁は血栓ができにくいためワーファリンを飲む必要はありませんが、約15年ほどで再手術が必要となります。この弁の選択については国によっても異なります。日本では70歳前後を境目とし、60歳後半以上であれば生体弁を、前半以下であれば機械弁を用いるのが基本的に適しているとしています。

カテーテル治療が選択されることも

この他にも心臓弁膜症の手術にはカテーテル治療が用いられることがあります。心臓弁膜症の治療で用いられるカテーテル治療は、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI/TAVR)といい、心臓弁膜症の中でも大動脈弁狭窄症に対して行われる治療法です。2013年から国内で認可された治療法で最も多く行われている経大腿アプローチ、経心尖アプローチ、経大動脈アプローチ、経鎖骨下動脈アプローチという4つの部位からアプローチをします。

この他にも経カテーテル的僧帽弁修復術(マイトラクリップMitraClip)という2018年4月から国内で認可された治療法があります。重症の僧帽弁閉鎖不全症に対する治療法で、カテーテルを使って僧帽弁の弁尖をクリップ把持することによって治療します。

おわりに:心臓弁膜症は重症度や疾患によって治療法が異なる

心臓弁膜症の治療はどの弁が障害されているか、重症度はどのくらいかによって治療法が異なります。治療法には経過を見る保存的治療から外科的治療までさまざまです。どの治療法が自分に適しているかは担当医に相談し、治療を選択するようにしましょう。

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