記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/1/4
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
心臓のなかで血液の流れをコントロールする「弁」に異常が起こることが原因で、心臓機能が低下し、さまざまな症状が現れるようになる弁膜症。
心臓弁膜症を発症した後、症状緩和や体のために気をつけるべきことはあるのでしょうか。
今回は心臓弁膜症になったときに、食事について気をつけるべきポイントを解説します。
心臓弁膜症の人にとって、心臓の働きに負担をかける血圧・血流の異常は厳禁です。
この観点から考えると、心臓弁膜症の人が日々の食事で気をつけるべきポイントは、以下の3つです。
塩分摂取量の過多は、高血圧や体内に水分が溜まる原因となるため、弁膜症の心臓に余計な負担をかけて全身にむくみが起こる原因となります。塩分の摂取量は1日当たり男性なら9.0g未満、女性なら7.5g未満、高血圧の人は6g未満を目安に、必ず制限してください。
また、減塩が十分なら必要ありませんが、医師から指示があった場合にはその内容に基づいて1日当たりの水分摂取量を飲水の度に測定し、水分の摂取量も制限しましょう。
適度な飲酒は血流を良くしますが、多量や毎日の継続的な飲酒は血圧を高め、心臓への負担を高めてしまいます。
お酒は1日当たりの適量を守るとともに、毎日続けての飲酒は避けて、必ず週に1日以上は休肝日を設けるようルールを決めて飲むようにしてください。
またタバコとの煙は血管を収縮させ、血流を阻害して心臓・全身に悪影響を及ぼします。
水分制限をすることも多い心臓弁膜症患者は、便秘気味になることも多いとされます。
しかし、便秘によって下腹部に力を入れていきみで排便しようとすると血圧が上昇し、弁膜症の心臓に余計な負担をかけることになってしまいます。
心臓弁膜症になったら常に排便状況に気を配り、果物やヨーグルトから食物繊維・乳酸菌などを積極的に摂取し、意識して規則正しい排便習慣を身につけていきましょう。
心臓弁膜症を手術する場合、機能不全を起こした心臓弁を主にチタン製の機械弁、またはウシ・ブタの心膜で作った生体弁のいずれかに置き換えて治療します。
このとき、医師の判断や患者の希望で耐久性に優れた機械弁への置換を選択した場合、手術後に生体弁に比べて血栓ができやすくなるという特徴があるのです。
機械弁による血栓の生成と心筋梗塞のリスクを下げるために、手術で機械弁に置換した心臓弁膜症患者に対しては、血を固まりにくくするワーファリンという薬剤が投与されます。
ワーファリン以外の抗凝固薬も多く登場してはいますが、安価であることなどを踏まえてワーファリンが選択されることが多いです。
心臓弁膜症治療のために弁を機械弁に置き換え、ワーファリンを処方されている場合は、ビタミンKが豊富な緑黄色野菜やクロレラ、海藻の大量摂取を控えなくてはなりません。
また、食べた後に体内でビタミンKを作り出す作用のある納豆を食べることも、極力避ける必要があります。
心臓弁膜症になった後の食事では、高血圧の原因となる食物・栄養成分の摂取は制限しなくてはなりません。具体的には塩分、水分、飲酒・喫煙量の3つは、医師の指示のもとで適量を守り、摂取やその機会を制限する必要があります。
また心臓弁膜症のために機械弁置換手術を受けている場合には、上記に加えてワーファリンに影響するビタミンKを豊富に含む、または生成の材料となる食材の摂取制限も必要になりますので注意しましょう。
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