記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腎臓で作られた尿が膀胱、尿道を通って体の外に排出されるまでの経路を尿路といいます。この尿路のどこかに結石が詰まった結果、激しい痛みが生じる病気が尿路結石です。
一般に、尿路結石は男性がなりやすい病気と言われてきましたが、食生活の変化に伴い、最近は女性や子供でもみられる病気となっています。この記事では、尿路結石を発症したときの症状や検査方法を中心に紹介します。
腎臓で生成された尿が、尿管を通って膀胱にたまり、最終的に尿道を通って排泄される経路を尿路といいます。尿路結石は、尿路のどこかに結石が生じることをいい、泌尿器科疾患で最も多い疾患といわれます。
結石の形成には、さまざまな要因が重なっていると考えられています。肥満や糖尿病、高血圧といった生活習慣病や、生活習慣病になるリスクが高い生活は尿路結石症と関連しているとされています。
尿路結石は一般的には男性に多く、女性では閉経後に多いとされてきました。しかし、近年、尿路結石の患者数は性別に関係なく増加傾向にあり、20代の女性や、小学生といった患者もいます。患者数が増えている要因としては、食事や生活様式が欧米化してきたことが関連しているとされています。
尿路結石になっても、結石が腎臓にある腎結石の状態では、ほとんど自覚症状がありません。健康診断を受けて、初めて結石があるとわかる人もいます。
しかし、結石が腎臓以外の場所に移動すると、背中や腰に激しい痛みが起こります。突然の激痛に、救急車で搬送されることも少なくありません。尿管から膀胱、尿道と結石が移動するに伴って痛みの部位は変化します。また、激しい痛みのほかに、吐き気や腹部の痛み、血尿といった症状もみられます。また、一部には腎盂腎炎という腎臓の炎症を起こして高熱が出ることもあります。
尿路結石による痛みは、結石が体の外に排出されれば治まります。結石が10mm以下の場合は、痛みを緩和しつつ水分を多めに摂ったり、適度な運動、排尿をうながす薬を使用したりすることで、自然と結石が排出されることを待ちます。
ただ、この治療には即効性はなく、時間がかかることもあります。このような治療を保存的治療といいます。
しかし、結石が大きかったり、保存的治療を行っても3~4カ月間結石が排出できないときや、合併症が生じたときなどには、別の治療方法を行っていくことになるでしょう。これを保存的治療に対して、積極的治療といいます。過去には手術で結石を取り出していましたが、体に負担の小さい治療方法が発展するにつれて、手術の実施は少なくなりました。
現在は、以下のような方法で外来で行ったり、短期間の入院で行われる治療方法が中心となっています。
積極的治療においてまず行われる治療方法です。体を固定し、結石に衝撃波を当てて細かく砕いていく方法です。細かくなった結石は、保存的治療で尿と一緒に排出をうながします。基本的には麻酔は必要なく、約1時間程度で終わります。
体を傷つけることはなく、外来で行う病院もありますが、安全のために1泊2日といった短期間の入院で行っている病院もあります。また、結石の場所や硬さによって期待される効果が得られないこともあるため、複数回の治療が必要になることもあります。
尿道から細い内視鏡を挿入して、直接結石を確認しながらレーザーで結石を細かく破砕します。細かくなった結石は、内視鏡で取り出すことができます。手術は1〜2時間程度かかり、部分麻酔または全身麻酔で行います。2日~1週間程度の入院が必要となります。麻酔の方式や入院期間については、結石の状態や医療機関の方針などによっても異なります。
比較的大きな結石が対象となります。背中の皮膚を小さく切開して細い内視鏡を挿入し、結石を超音波などで細かく破砕して取り出します。大きさによっては、そのまま取り出すこともあります。背中の切開があるため、全身麻酔で行います。経尿道的腎尿管結石砕石術に比べると長い期間の入院が必要です。
尿路結石は、再発しやすい病気ともいわれます。尿路結石のなりやすさには体質も関わっていますが、食生活の見直しは欠かせません。
水分の摂取を基本として、適度なカルシウム補給、シュウ酸や塩分、糖分、動物性のタンパク質を摂りすぎないといったことが挙げられます。また、たとえ飲料であっても糖分の多いジュースや、アルコールの摂取は控えましょう。特にビールには、プリン体が多く含まれています。プリン体は体内で代謝されると尿酸になり、尿酸結石の要因となります。
尿路結石は、男性に多い疾患であるといわれてきました。しかし、近年は性別や年齢にかかわらず増加傾向となっており、食生活の変化が発症にも関係していると考えられています。治療は、薬を使いながら尿と一緒に排石されるのを待つ保存的治療方法と、身体の外から結石を破壊したり、内視鏡を挿入して結石を破壊したりする積極的治療方法があります。尿路結石は再発することも多く、再発の予防には生活習慣の改善が欠かせません。何度も激しい痛みを経験しないように、特に食生活の改善を行っていきたいものです。
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