記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
痛みを引き起こすことで知られる「尿路結石」は、男女で平均すると約10人に1人が生涯で一度は罹患するといわれています。今回はこの尿路結石ができる原因と、食事面での予防法をお伝えしていきます。
「結石」とは、尿の中に含まれている物質が結晶をつくり、タンパク質などと結合して固まったものです。尿は腎臓でつくられ、尿管を通って膀胱に溜められ、排尿とともに排出されます。 この尿の通り道を尿路といい、腎臓・尿管・膀胱に結石ができる病気を「尿路結石」といいます。
主な症状は、結石が尿路をふさぎ腎臓内の圧が上昇するために起こる激痛と血尿で、わき腹から背中にかけて間欠的または持続的な痛みがあります。下腹部の痛み・吐き気・嘔吐を伴うこともあります。また、結石が膀胱近くまで降りると、排尿痛・頻尿・残尿感などを引き起こします。
細菌感染を合併すると高熱が出て尿がにごり、尿道に結石が詰まると尿が出せなくなります。こうした状態が長く続くと、腎臓の機能にも影響が出ます。無症状のまま腎臓の機能が悪化する場合もあるので、注意が必要です。
尿路結石ができる原因ははっきりわかっていませんが、「シュウ酸」「尿酸」などの物質が体内に増えたことで引き起こされることが多いと考えられています。これらの物質は肉類(動物性タンパク質)を多く摂取すると増加するのですが、このうちシュウ酸はカルシウムと結合しやすい性質があり、腸の中でカルシウムと結びつけば、便と一緒に排泄されます。しかしシュウ酸の量が多いと、余った分は尿の中に出てきてしまい、尿の中でカルシウムと結合して石のような塊になります。その結果、尿管を詰まらせる原因になるのです。
ただし尿路結石は、何か一つの原因で起こるわけではなく、多くの因子が複雑に関与していると考えられています。上記以外の原因としては、以下のことが挙げられます。
尿路結石は、食生活と深く関わる疾患です。結石には「シュウ酸カルシウム結石」「リン酸カルシウム結石」「尿酸結石」「シスチン結石」「リン酸マグネシウムアンモニウム結石」などがありますが、尿路結石の多くが「シュウ酸カルシウム結石」で、この予防のためには食事の工夫が重要とされています。具体的なポイントは、以下の通りです。
尿路結石を予防するには、水分補給も大切です。目安としては、食事以外で1日2000ml以上の水分摂取が望ましいとされています。前述の理由からコーヒーや紅茶ではなく、なるべく水や麦茶、ほうじ茶でこまめに水分を摂るようにしてください(ジュースや清涼飲料水は糖分が多く、尿中のカルシウム濃度が上がりやすくなるため、控えめにしましょう)。
尿路結石を予防するには、日々の食事内容を見直すことが欠かせません。規則正しく栄養バランスの良い食事を心がけ、尿路結石の予防につながるような食材を献立に取り入れていきましょう。
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