高次脳機能障害による症状はどうやって治療していくの?

2019/1/22

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

病気やケガで脳に大きな衝撃を受けたことが原因で、損傷を受ける前に比べて脳の機能が低下または変化する状態のことを、高次脳機能障害と言います。今回は、誰でも突然発症するリスクのある高次脳機能障害を、代表的な症状や治療法から理解していきましょう。

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高次脳機能障害でみられる症状は?

高次脳機能障害のときに現れる症状は、主に記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害の4つに分けられます。
この4つのうちどの症状がどの程度現れるか、現れる症状がひとつだけなのか複数なのかは人によって大きく異なり、個人差があります。

高次脳機能障害による、記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害の症状の詳細は、以下の通りです。

記憶障害
原因となる事故などを境に、それ以降の記憶が維持できなくなる前向健忘と、それ以前の記憶がなくなったり欠けてしまう逆行健忘があります。
注意障害
1つのことに15分以上集中できなくなる全般性注意障害と、損傷を受けた脳の反対側の空間刺激の一部または全部を認知できなくなる半側空間無視の、2つに大別できます。
遂行機能障害
成すべき物事に対し、そのゴールや工程を予測・設定したり、達成するための行動を起こして最後まで全うすることが、できなくなってしまいます
社会的行動障害
自発的に行動できない意欲・発動性の低下、感情の起伏や攻撃衝動を抑えられなくなる情動コントロール障害他者と適切なコミュニケーションが取れなくなるなどの症状が出ます。

ほかにも、特定の物事や人に固執して行動を転換できなくなったり、人格が対抗してしまうなど、独立して円滑な社会生活を送れなくなるような症状が現れるものです。

症状を改善するためにどんな治療が行われる?

高次脳機能障害による症状は、その人の状態にあわせて、以下のような内容のリハビリテーションを段階的に行うことで、治療していきます。

  • 障害されている機能を高め、もとの状態に近づけるための訓練
  • いま保たれている機能を有効活用し、障害された機能の補い方を身に着けるための訓練
  • いまの機能で日常生活を送りやすくするための、環境整備のアドバイス

上記3つの観点からのリハビリテーションは、すべてを本人の状態にあわせて同時進行していくことで、少しずつ治療効果を発揮していくものです。したがって、医師の指示に従い、本人とその家族が一緒に、気長に取り組んでいく必要があります。

おわりに:高次脳機能障害による症状は、リハビリで少しずつ改善していく

高次脳機能障害は、事故やケガによる外傷・病気などにより脳が損傷を受け、記憶力・注意力・遂行機能・社会的行動などに障害をきたすようになった状態です。専門の医療機関に行けば、障害された機能を高めたり、保持している機能を活かすためのリハビリテーション治療が受けられます。興味のある方は高次脳機能障害を得意分野とする病院を探し、専門医に相談してみましょう。

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