妊娠中の吐き気や嘔吐 ― 妊婦の胃腸症状の原因と対処法

2017/4/25 記事改定日: 2019/6/6
記事改定回数:2回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

妊娠中の吐き気や嘔吐など、つわりはとてもつらいものです。大半はある時期を過ぎれば楽になりますが、中には入院が必要になることもあります。また、妊娠後期にも吐き気や胸焼けなどの胃腸症状がでることがあることをご存知でしょうか?
この記事では、妊娠中に起こる吐き気について解説します。

妊娠初期のつわりはどうやって解消する?

つわりは50~80%の妊婦さんに起こるとされており、早ければ妊娠5週から始まります。妊娠7~9週でピークとなり、妊娠12週ごろで軽くなりはじめ、妊娠16週ごろになるとほとんどの妊婦さんがつわりがおさまりますが、中には出産までつわりが続く方もいます。

症状は食欲不振、胃がむかむかする、嘔気、嘔吐、生唾がたくさん出る、よだれが止まらない、倦怠感、強い眠気、頭重感、頭痛などがあります。

つわりの対処法

つわりを対処するには、とにかく無理をしないことです。家族への食事作りがつらいようでしたら、実家など、ゆっくりできる環境に身を置くことも大切です。

においでつわりが起こるのであれば、においの原因を避けましょう。ご飯は冷まして湯気やにおいを軽減させると、食べられることもあります。

つわりのときは多少偏食になっても大丈夫です。食べたいときに食べたいものを、食べられるだけ食べましょう。

つわりのときの注意点

症状が比較的軽く、食べ物や飲み物をいくらか摂取できるようでしたら、以下の点に注意しながら様子をみてください。

  • 吐き気を引き起こす可能性が高い、脂肪分の多い食べ物や辛い食べ物は控える
  • 嫌いな匂いや味覚のものを避ける
  • 栄養不足にならないように食事を6~8回に少しずつ分けて、高炭水化物、高タンパク質の食事を1日何回か食べる
  • 水分をしっかりとって、尿量に注目する(濃い少量の尿は、水分を十分にとれていない兆候)

妊娠初期の吐き気は妊娠悪阻かも!?

吐き気と嘔吐が止まらないとき、つわりが悪化した妊娠悪阻になっている可能性があります。ほとんどの女性は、妊娠中に吐き気や嘔吐を経験しますが、妊娠悪阻になる妊婦は全妊婦の0.3~3.0%程度とされています。

妊娠悪阻は、重度で継続的な嘔吐および吐き気で、通常のつわりよりも体を衰弱させます。体重減少、電解質異常、栄養失調、脱水といった症状がみられ、入院が必要となることもあります。

妊娠悪阻は、妊娠前期に通常のつわり(妊娠4~5週目頃に始まる)より早く始まり、通常は12~20週目の間に落ち着き始めますが、妊娠期間を通して継続することもあります。

病院に行くべきつわりの目安は?

つわりがひどくなって妊娠悪阻となった場合、重度の体重減少や頻回の嘔吐によって高度の脱水、低カリウムや低クロール性アルカローシスを来す可能性があります。この状態がさらに進行すると、肝機能障害を中心とした臓器機能不全あるいは脳神経障害となる可能性があるため、早期に病院で治療することが必要となります。

症状が強くなり、一日中吐いて、水分すら摂れない、体重が4~5kg減った、尿が出にくくなったという場合は病院を受診することが必要です。

吐き気のほかに頭痛が…大丈夫?

妊娠初期の頭痛は、ホルモンバランスの乱れや脱水、肩こりなどが原因で起こるとされています。これらの症状は、水分をとったり、休息をとったりすることで対処できます。お薬を使いたい場合は、妊婦さんは使える頭痛薬が限られてしまうため、必ずかかりつけの医師へ相談しましょう。

また、妊娠後期に起こる頭痛は、循環血液量の増加による高血圧症や脳血管障害といった可能性もあるため、かかりつけの産婦人科に相談することがおすすめです。

妊娠後期に起こる胃腸症状とは

妊娠36週頃後期には、下記のような胃腸症状が起こることがあります。

胸焼けと消化不良

子宮により、胃が押し上げられて圧迫されてくるにつれ、食べる量が減ってきます。これは必ずしも悪いニュースではありません。なぜなら、消化のためには食事量を少なくすることは良いことで、胸やけをコントロールするには効果的だからです。

膨満感とおなら

胸やけ症状がそれほどなければ、おならやげっぷが出たりしているかもしれません。この時期は、食事量を少なくし、おならの原因となる空気を飲み込まないように、食事はゆっくり摂ることを心がけましょう。

便秘

便秘に悩む人が多いでしょう。胸やけと膨満感を和らげるためにも、食事を少なめにしましょう。

胃部不快感

プロゲステロン(消化管内の筋肉を弛緩させるホルモン)のレベルが上昇するため、妊娠中にはお腹にガスが溜まりやすくなります。その結果、消化が遅くなってお腹の張りや便秘が起こり、腹部が痙攣した感じがすることがあります。

これらの症状は、ガスを抜くか排便をすることで短期的に和らぐかもしれません。不溶性食物繊維が豊富な食べ物は控え、水溶性食物繊維を摂るようにしましょう。また、一度の食事でたくさん食べるのではなく、回数を多くして小分けにして食べたり、ゆっくり食事をとったり、たくさん水を飲んだりして、お腹にガスが溜まらないようにしましょう。

ただし、痛みがあるときや胃腸以外に症状があるときは、早めに医師に相談するようにしてください。

おわりに:妊娠中の吐き気は一時的なもの。でも不安があるときは早めに病院へ

妊娠中の吐き気は一時的なものが大半です。いろいろ試しても効かない場合は、自己判断で薬を服用する前に医者に相談しましょう。まずは、一人で抱えこまず、無理をせずゆったり過ごしてください。

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