記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
2017/4/25 記事改定日: 2019/9/26
記事改定回数:3回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠中の吐き気や嘔吐など、つわりはとてもつらいものです。大半はある時期を過ぎれば楽になりますが、中には入院が必要になることもあります。また、妊娠後期にも吐き気や胸焼けなどの胃腸症状がでることがあることをご存知でしょうか?
この記事では、妊娠中に起こる吐き気について解説します。
つわりは50~80%の妊婦さんに起こるとされており、早ければ妊娠5週から始まります。妊娠7~9週でピークとなり、妊娠12週ごろで軽くなりはじめ、妊娠16週ごろになるとほとんどの妊婦さんがつわりがおさまります。ただ、中には出産までつわりが続く人もいます。
つわりの症状として、食欲不振、胃がむかむかする、嘔気、嘔吐、生唾がたくさん出る、よだれが止まらない、倦怠感、強い眠気、頭重感、頭痛などがあります。
つわりを乗り切るいちばんの方法は、とにかく無理をしないことです。家族への食事作りがつらいようでしたら、実家など、ゆっくりできる環境に身を置くことも大切です。また、においでつわりが起こるのであれば、においの原因となるものを家に持ち込まないようにしましょう。
炊きたてのご飯のにおいが気になるときは、冷まして湯気やにおいを軽減させると、食べられることもあります。ただ、つわりのときは多少偏食になっても大丈夫です。食べたいときに食べたいものを、食べられるだけ食べましょう。
もし症状が比較的軽く、食べ物や飲み物をいくらか摂取できるようでしたら、以下の点に注意しながら様子をみてください。
吐き気と嘔吐が止まらないとき、妊娠悪阻になっている可能性があります。妊娠悪阻は、妊娠前期に通常のつわり(妊娠4~5週目頃に始まる)より早く始まり、通常は12~20週目の間に落ち着き始めますが、妊娠期間を通して継続することもあります。妊娠悪阻になる妊婦さんは、全体の0.3~3.0%程度とされています。
妊娠悪阻になると、ひどい嘔吐や吐き気が続き、通常のつわりよりも体を衰弱させます。体重減少、電解質異常、栄養失調、脱水といった症状がみられ、最悪の場合入院が必要となることもあります。
つわりがひどくなって妊娠悪阻となった場合、重度の体重減少や頻回の嘔吐によって高度の脱水、低カリウムや低クロール性アルカローシスを来す可能性があります。この状態がさらに進行すると、肝機能障害を中心とした臓器機能不全あるいは脳神経障害となる可能性があるため、早期に病院で治療することが必要となります。
症状が強くなり、一日中吐いて、水分すら摂れない、体重が4~5kg減った、尿が出にくくなった場合は病院を受診しましょう。
妊娠初期の頭痛は、ホルモンバランスの乱れや脱水、肩こりなどが原因で起こるとされています。これらの症状は、水分をとったり、休息をとったりすることで対処できます。妊婦さんは使える薬が限られるため、お薬を使いたい場合は必ずかかりつけの医師へ相談しましょう。