記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2023/4/5
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ストレスを受けることは、私たちが生きていくうえで避けられないものです。それが原因で、食欲不振になったり体調を崩したりすることも珍しくはありません。食欲不振状態に陥ると、十分な栄養吸収が行なわれないため、日々の活力も低下していきます。食欲不振とは何なのか、対策にはどのようなものがあるのかお話ししていきます。
食欲不振とは、「食べたい気持ちが起こらない」「食べたい気持ちはあるけれど食べられない」などといった、食事に対する興味の薄れの症状を指します。とくに「食べたい気持ちが起こらない」場合は、「食欲低下」「食欲減退」「食欲不振」「食思不振」などと呼ぶこともあります。
疲れたり、悲しいことがあったりして食欲がなくなる一時的なものは、多くの人が経験したことがあると思います。このような場合は問題ありませんが、数日以上にわたり食欲不振が続くと、栄養が満足に摂れず健康状態にも影響を及ぼします。
食欲不振を引き起こす原因には、消化器の病気や夏バテ、生活習慣の乱れなど様々なものがありますが、ストレスが原因で起こることもあります。
ストレスとは、外部から刺激(ストレッサー)を受けたときに生じる緊張状態のことです。外部からの刺激は、天候や騒音などの環境的要因、病気や睡眠不足などの身体的要因、悩みや不安などの心理的な要因、仕事などの社会的要因などがあります。また、ストレスと聞くとマイナス的なイメージを持つかもしれませんが、進学や就職、結婚や出産などといった喜ばしい出来事などによる環境の変化も刺激となり、ストレスを感じる要素になり得ます。
ストレスは、脳内物質・内分泌系(ホルモン)・免疫系・自律神経などに影響を与えることがわかっており、ストレスの影響を受けやすい代表的な器官には胃腸があげられます。これはストレスによって消化吸収を促進している副交感神経の働きが抑制され、交感神経が過剰に刺激されるからです。
緊張したり、気が参ったりすると胃が痛くなるなどの症状もこの仕組みが原因で、胃腸の機能が低下すると十分な栄養を吸収することができなくなってしまいます。この影響で体が栄養不足になると体力が低下し、ストレスに対する抵抗力も弱くなってしまいます。
ストレスからくる食欲不振は、ストレスの原因を取り除いたり、ストレスから離れたりすることである程度緩和できますが、日常生活において全てのストレスを排除することは難しいと思います。そこで、いくつかの対策をご紹介していきます。
ストレスの要因から遠ざかることも大切ですが、それが難しい場合にはうまくストレスを発散する方法を見つけましょう。趣味やスポーツ、ドライブや友人とのおしゃべりなど、自分が楽しいと思える時間を見つけてください。短い時間でもストレスによる緊張状態から解放されると、リラックスでき、ストレスが発散されます。
ストレスがたまると夜更かしをして遊んだり、アルコールを過剰摂取したりしてしまう人もいると思いますが、このような生活はさらに食欲不振を加速させます。
睡眠不足は交感神経と副交感神経のバランス(自律神経)を崩し、アルコールの過剰摂取は胃粘膜を荒れさせてしまい、消化吸収能力が低下します。
アルコールはたしなむ程度に抑え、眠る前に好きな香りを嗅ぐなどして、十分にリラックスできる環境を整えて眠ると良いでしょう。
食欲不振の時には、消化の良い食べ物や食べやすいものを少しずつ摂るのがおすすめです。ゼリータイプや飲料タイプの栄養補助食品の利用をしたり、香辛料を使っているような刺激の強い食べ物は避けたりするようにしましょう。
また、いつもより柔らかく調理して食べやすくしたり、食材の配色や盛り付けを工夫したりすると食欲に繋がることもあります。
消化を助けてくれる健胃消化作用のある、生薬配合の胃腸薬を使用するのもおすすめです。種類の多い薬の中から適切なものを選ぶためにも、薬局にいる薬剤師などに相談して症状に合った市販薬を選んでもらってください。
食欲不振の状態が緩和しなかったり、減らそうとしているわけではないのに体重が減少してきたりしたら、内科や胃腸科、消化器科で検査を受けたり、心療内科で相談したりするなど、医療機関を受診してください。隠れていた病気が見つかったり、食欲不振の原因となる強いストレスを発見したりなど、症状緩和の手掛かりとなることがあります。
的確に診断してもらうためにも、いつ頃から食欲不振の症状が出ているのかや、体重はどのくらいの期間でどれほど減ったのか、また、普段の食事の量や内容などをまとめて受診するのがおすすめです。
ストレスを受けることで引き起こされる食欲不振は、消化吸収能力の低下とともに、活力や行動するためのエネルギーも落としてさらなる悪循環に陥りやすくします。以前のような食欲を取り戻すためにも、紹介した対策を試したり、必要に応じて医療機関を受診したりしましょう。
この記事の続きはこちら