ピロリ菌の除菌中にヨーグルトを食べるといいって本当なの?

2019/2/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

胃や十二指腸に、炎症や潰瘍をつくる原因となるものの1つに、ピロリ菌があります。
ピロリ菌による胃炎は、ピロリ菌の除菌によって治療していくのが一般的ですが、この治療中にヨーグルトを食べると良いという噂を聞いたことはないでしょうか。

今回はピロリ菌の除菌治療中にヨーグルトを食べることの効果について、解説します。

ピロリ菌とは

ピロリ菌は、正式名称を「ヘリコバクターピロリ」という細菌の一種です。
日本では約3500万人、およそ4人に1人が体内に保有しているといわれる細菌で、2.5~5マイクロメートルほどの大きさで、らせん状の形をしています。

ヒトの胃粘膜の主成分である糖タンパク質、ムチンを好んで栄養源とするため、感染すると胃内に潜伏し、胃の出口付近から発見されることが多いです。

胃の炎症や潰瘍のほか、胃がんを引き起こす原因菌であることでも知られ、不衛生な環境や菌保有者からの口移しで感染することがわかっています。

一度ピロリ菌を体内に入れてしまうと長い間とどまり、除菌治療をしない限り高確率で胃や十二指腸の炎症・潰瘍などの疾患を引き起こす原因となってしまうのです。

ピロリ菌除菌中にはヨーグルトを食べるといいって本当?

OLL2716株という種類の乳酸菌を含むヨーグルトを8週間、1日2回ずつピロリ菌患者に毎日90g食べてもらうという実験を行ったところ、乳酸菌OLL2716株を含むヨーグルトを食べたグループのピロリ菌は、そうでない人に比べて、活動が抑制されていたことがわかりました。

また、別の実験では、乳酸菌OLL2716株以外の乳酸菌を含むヨーグルトでも同様の期間・回数・量を食べてピロリ菌への効果を測る実験も行われましたが、変化はなかったといわれています。このことから、すべてのヨーグルトではないものの、OLL2716株など特定の種類の乳酸菌を含むヨーグルトの摂取が、ピロリ菌抑制に効果的であることがわかります。

なお、近年では通常のピロリ菌治療で良く使われる抗生物質に対し、耐性をもつ耐性菌の存在も報告されています。しかし2009年に行われた実験によると、乳酸菌OLL2716株は、抗生物質に耐性をもつピロリ菌にも効果的であることが報告されています。

以上のことから、薬によるピロリ菌の除菌治療と並行して継続的に乳酸菌OLL2716株の摂取を行うことで、より効率的なピロリ菌の除菌が期待できます。

ヨーグルトだけでピロリ菌を除菌できる?

OLL2716株など、特定の乳酸菌を含むヨーグルトにはピロリ菌の活動を抑制し、数を減らす効能があることが確認されているものの、除菌の効果はありません。ヨーグルトだけで、体から完全にピロリ菌を排除することは不可能なのです。

ピロリ菌除菌のためにヨーグルトを食べる場合は、効果を持つ種類の乳酸菌を含むヨーグルトを選ぶこと、そしてあくまで補助的な意味合いで食べるべきものと理解しましょう。病院の治療とは、医師と相談しながらきちんと併用してくださいね。

おわりに:ピロリ菌の除菌治療中に、あわせてヨーグルトを食べるのは効果的かも

ヨーグルトだけの効能をもってピロリ菌を殺菌し、体から完全に排除することはできません。しかしOLL2716株など特定種類の乳酸菌を含むヨーグルトを継続的に食べることで、ピロリ菌の活動を抑制し、数を減らすことができると考えられています。ピロリ菌は放っておくと長期間体内に潜伏し、胃や十二指腸の炎症・潰瘍・がんなどの原因になり得ます。ピロリ菌対策のためのヨーグルトの摂取を、病院での除菌治療と並行して行いましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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