記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/1/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
一般的に知られている「うつ」の原因は、長期的に過度なストレスを感じることとされていますが、季節による気候問題が原因で発症する「冬季うつ」もあります。
今回は季節性のため誰でもなりやすいとされる冬季うつを、食べ物の摂取から治療・改善していく方法について、ご紹介していきます。
冬季うつは、1年のなかで最も日照時間が少なくなり、気温の低下から外出することも少なくなる冬場に発症・悪化する可能性の高い、季節性のうつ症状のことです。
このような冬季うつの症状を改善するには、原因である日照時間の不足を、人工的な高照度の光を浴びる光療法で補うことが、有効であると考えられてきました。
なお、光療法が冬季うつの症状を改善するメカニズムは、以下の通りです。
ただし、縫線核でのセロトニン合成には、体内に「トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸の一種が、十分に存在している必要があります。
トリプトファンは、人体の生命活動と健康維持に不可欠な必須アミノ酸と呼ばれる9種類のアミノ酸の1つであり、食事からしか摂取できない栄養成分です。つまり、いくら太陽光や高照度の人工光を浴びる治療を受けていても、トリプトファンの摂取が不十分であれば、光療法の効果を十分に実感することはできません。
日光浴や光療法で冬季うつを改善するには、光を浴びるとともに、トリプトファンを含む食品を積極的に摂取する必要がある、ということになります。
冬季うつの症状改善のために、積極的に摂取すべきトリプトファンを多く含む食品の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
ただし、トリプトファンは1日の摂取量の上限とされる6000mgを超えると、肝臓に負担や障害を引き起こす可能性も指摘されています。
冬季うつのために光療法を受けている間は、上記のような食品だけを偏って摂取するのではなく、他のものとあわせてバランスよく食べるようにしてください。
冬季うつの症状が見られる人には、食欲が高まり、特に時間帯にかかわらず大量の甘いものを欲しがる傾向が強いとされています。これは、甘いものや炭水化物など糖を多く含む食品の摂取が、セロトニン合成に必要なトリプトファンが血管から脳に届く量・効率を高める作用があることに由来しています。
糖をたくさん摂取することで、より早く効率的にトリプトファンを脳に到達させ、セロトニンを脳全体に行き渡らせられるようになるため、冬季うつが和らぎやすくなるのです。
冬季に甘いものが大量に欲しくなるのは、メカニズムを知らずに本人が無意識で行っている、うつ症状の自己治療であるといえます。
冬季うつは、主に冬季に日照時間が減ることが原因で心身が不調になる、季節性のうつ症状です。治療して気分と体調を改善するには、太陽光や人工的な光を浴びる光療法とあわせて、食生活を改善するのが効果的です。
特に、光療法によるセロトニン合成に必要なトリプトファンは、バナナや乳製品、大豆製品、赤身の肉・魚や魚卵から積極的に摂る必要があります。また適度な糖の摂取もトリプトファンの摂取効率を高めてくれますので、おすすめです。
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