エコノミークラス症候群を予防するには? おすすめの運動を紹介

2019/2/18

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

長時間、飛行機のエコノミークラスに乗っている人が発症することから、その名前がついたと言われる「エコノミークラス症候群」。発症を予防するために、できる対策にはどのようなものがあるのでしょうか。今回はエコノミークラス症候群の予防対策について、運動・水分補給・弾性ストッキングの着用の3つをご紹介していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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エコノミークラス症候群の予防法:①運動

長時間同じ姿勢を取り続けることで、足の血流が悪くなって静脈内に血の塊ができ、これが肺の動脈をふさいでしまう疾患をエコノミークラス症候群といいます。別名「旅行者血栓症」とも呼ばれていますが、長時間フライト中の旅行者以外にも、長い時間同じ姿勢を取り続けていれば、どこでも起こり得る疾患です。

エコノミークラス症候群は、同じ姿勢をとり続けることによる血栓の発生が原因で起こる疾患なので、血栓ができないよう体を動かすことで予防できます。以下に、エコノミークラス症候群の予防に効果的な運動方法をご紹介します。

  1. ゆっくりと息を吸い込んで吐き出す深呼吸を、2回ほど繰り返す
  2. 立ち上がって両手を組み、そのまま頭上に引き上げるようにして全身を伸ばす
  3. 手を首にかけて、気持ち良いと思うくらいの力で首だけを左右に1回ずつ引っ張る
  4. 肘の高さで両手を胸の前で組み、そのまま上半身のみ左右に1回ずつ捻る
  5. 腕を脱力させ、肩だけを思い切り持ち上げて落とす動作を5回ほど繰り返す
  6. 膝を曲げずに上半身のみをゆっくり前に倒し、膝裏をのばす
  7. 膝を左右に引っ張るようにしながら、両足を開いてしゃがみこみ、そけい部を伸ばす
  8. その場で、または通路などを少し歩く
  9. 座って両足を前に伸ばし、左右の足首を上下に曲げて動かす
  10. 最後に、もう一度ゆっくりと深呼吸をして修了

座りながらできる足の運動

立ち上がったり、伸びやひねりなど、大きく空間を使う動作を入れなくても、座ったままでエコノミークラス症候群の予防できる足の運動もあります。あまり大きく動けないときは、こちらの足の運動を行うと良いでしょう。

  1. 足の指で「グー、パー」する動きを、左右一緒に4~5回繰り返して行う
  2. 両足でつま先立ちするようにして数秒キープし、足首をまっすぐに伸ばす
  3. ②の状態からつま先を引き上げ数秒キープし、今度はアキレス腱側を伸ばす
  4. 片足ずつ、膝を両手で抱えて足の力を抜き、左右の足首をよく回す
  5. 両足のふくらはぎを、気持ち良いと感じる力で軽く揉んで血流を促す

エコノミークラス症候群の予防法:②水分補給

血栓は、体内の水分が少なくなって血液がドロドロになり、流れが悪くなることでもできやすくなります。このため、1日1.2ℓ(500mlペットボトルで約3本分)を目安に、こまめに水分補給を行うこともエコノミークラス症候群の予防にとても効果的です。10~15分程度に1回、1~2口水分補給することを習慣づけましょう。

なお、エコノミークラス症候群の予防のための飲料には、利尿作用の強いアルコールやコーヒーは不適切です。脱水を予防し、体への吸収がスムーズなスポーツドリンクか、ミネラルウォーターのどちらかが望ましいとされています。

エコノミークラス症候群の予防法:③弾性ストッキングの着用

着用することで適度な圧力がかかり、足から心臓の方へと戻る静脈の血流をサポートできる道具の一種に、弾性ストッキングというものがあります。

弾性ストッキングは、普通のストッキングとは異なる特殊な編み方がされた医療器具です。足がむくみやすいという自覚がある方や、医師から弾性ストッキングの着用を指示されている方、事情があり水分補給を控えたい方におすすめの予防法です。

なお弾性ストッキングがない場合は、代わりに包帯を使い、足元はきつく、心臓に近くにつれて少しずつゆるく巻くと同じ効果を得られます。

おわりに:エコノミークラス症候群は運動・水分補給・弾性ストッキングで予防しよう

エコノミークラス症候群は、同じ姿勢をとり続けることで足の静脈に血栓ができ、その血栓が肺にまで移動することで危険な状態に陥ることもある恐ろしい疾患です。予防するには、血栓ができにくいよう体を動かして血流を促したり、十分な水分を摂ったり、足の血流を助ける弾性ストッキングを着用するのが友好的とされます。この記事を参考に、あなたの体調・体質に合う方法でエコノミークラス症候群を予防しましょう。

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