記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
長時間、飛行機のエコノミークラスに乗っている人が発症することから、その名前がついたと言われる「エコノミークラス症候群」。発症を予防するために、できる対策にはどのようなものがあるのでしょうか。今回はエコノミークラス症候群の予防対策について、運動・水分補給・弾性ストッキングの着用の3つをご紹介していきます。
長時間同じ姿勢を取り続けることで、足の血流が悪くなって静脈内に血の塊ができ、これが肺の動脈をふさいでしまう疾患をエコノミークラス症候群といいます。別名「旅行者血栓症」とも呼ばれていますが、長時間フライト中の旅行者以外にも、長い時間同じ姿勢を取り続けていれば、どこでも起こり得る疾患です。
エコノミークラス症候群は、同じ姿勢をとり続けることによる血栓の発生が原因で起こる疾患なので、血栓ができないよう体を動かすことで予防できます。以下に、エコノミークラス症候群の予防に効果的な運動方法をご紹介します。
立ち上がったり、伸びやひねりなど、大きく空間を使う動作を入れなくても、座ったままでエコノミークラス症候群の予防できる足の運動もあります。あまり大きく動けないときは、こちらの足の運動を行うと良いでしょう。
血栓は、体内の水分が少なくなって血液がドロドロになり、流れが悪くなることでもできやすくなります。このため、1日1.2ℓ(500mlペットボトルで約3本分)を目安に、こまめに水分補給を行うこともエコノミークラス症候群の予防にとても効果的です。10~15分程度に1回、1~2口水分補給することを習慣づけましょう。
なお、エコノミークラス症候群の予防のための飲料には、利尿作用の強いアルコールやコーヒーは不適切です。脱水を予防し、体への吸収がスムーズなスポーツドリンクか、ミネラルウォーターのどちらかが望ましいとされています。
着用することで適度な圧力がかかり、足から心臓の方へと戻る静脈の血流をサポートできる道具の一種に、弾性ストッキングというものがあります。
弾性ストッキングは、普通のストッキングとは異なる特殊な編み方がされた医療器具です。足がむくみやすいという自覚がある方や、医師から弾性ストッキングの着用を指示されている方、事情があり水分補給を控えたい方におすすめの予防法です。
なお弾性ストッキングがない場合は、代わりに包帯を使い、足元はきつく、心臓に近くにつれて少しずつゆるく巻くと同じ効果を得られます。
エコノミークラス症候群は、同じ姿勢をとり続けることで足の静脈に血栓ができ、その血栓が肺にまで移動することで危険な状態に陥ることもある恐ろしい疾患です。予防するには、血栓ができにくいよう体を動かして血流を促したり、十分な水分を摂ったり、足の血流を助ける弾性ストッキングを着用するのが友好的とされます。この記事を参考に、あなたの体調・体質に合う方法でエコノミークラス症候群を予防しましょう。