アイコス®、グロー®、プルームテック®などの加熱式タバコは害が少ないって本当?

2019/1/24

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

ここ数年で一気に普及した、アイコス®やグロー®、プルームテック®などの加熱式タバコ。従来の紙巻きタバコとは構造が違い、また臭わないことから、健康への害が少ないというイメージが強いですが、果たしてそれは本当なのでしょうか?

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そもそも「加熱式タバコ」とは? 紙巻きタバコとどう違う?

たばこの葉っぱを燃やし、その煙を吸い込む従来の紙巻きタバコに対し、加熱式タバコはたばこ葉を加熱して水蒸気で吸い込むというものです。これにより、葉を燃やすときに出る煙が発生しないので、強い臭いを発することもなく、有害物質も少ないとされています。現在、日本国内ではIQOS®、glo®、Ploom TECH®の3種類が加熱式タバコとして販売されています。

なお、「電子タバコ」という呼び名も聞いたことがあるかと思いますが、こちらはそもそもたばこ葉が含まれておらず、リキッドを加熱して発生した水蒸気を吸い込むタイプのタバコです。VAPE®などが該当します。

加熱式タバコは害が少ないって本当?

「臭わない」「煙が出ない」「有害性が90%低減される」などの情報から、「紙巻きより加熱式タバコのほうが害が少ない」というイメージをお持ちの方は少なくないようですが、これは不正確な情報です。これまでの研究によって、加熱式タバコには以下のような問題点が指摘されています。

ニコチンの摂取量は紙巻きタバコと変わらない

加熱式タバコによるニコチンの摂取量は、紙巻きタバコよりも20%程度低いとされています。しかし、結局はニコチンの血中濃度が一定に達するまで、つまりは満足感が得られるまで吸い続けてしまうので、体内に入るニコチンの量は紙巻きタバコと変わらなくなってしまいます。

紙巻きタバコと同様に有害物質が含まれている

日本呼吸器学会は、加熱式タバコの主流煙の中には、従来の紙巻きタバコとほぼ同レベルの揮発性化合物(アクロレイン、ホルムアルデヒド)、さらにおよそ3倍ものアセナフテン(多芳香環炭化水素物)等の有害物質が含まれているという報告を紹介しています。

発がん性物質が含まれている

加熱式タバコはタバコ葉を燃やさないため、一酸化炭素やタール成分の発生については、従来の紙巻きタバコより抑えられています。ただし、加熱によってエアロゾル(気体中に浮遊する微小な液体や固体の粒子)を発生させる過程で、ニコチン以外のリキッド成分が分解されていくつかの混合物が発生し、発がん性物質に変化するということが指摘されています。

発がん性物質であるホルムアルデヒドについては、紙巻きタバコと同様に含まれており、その含有量も紙巻きタバコより少ないものから同程度のものまで製品によってさまざまです。このため、加熱式タバコを長期的に吸い続けた場合の健康被害については、まだはっきりとわかっていません。

おわりに:加熱式タバコの有害性については、長期的な調査が必要

加熱式タバコを売り出した当初は、「有害成分が少ない」という謳い文句で販売されていましたが、販売から数年経った現在、少しずつその有害性に関する報告が出始めています。まだまだ長期的な調査が必要ではありますが、少なくとも現段階の研究結果では加熱式タバコが健康的といえるものではないので、安易な加熱式タバコデビューは控えるようにしましょう。

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