大動脈解離の手術後に考えられる合併症は?手術後の過ごし方は?

2019/2/18

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

大動脈解離を発症し、命にかかわるほど重篤な状態であると判断された場合は、開胸して緊急の外科手術で治療をするケースも少なくありません。

今回は、大動脈解離で手術治療を受けた場合に考えられる合併症のリスクや、術後気を付けるべきこと、術後の過ごし方のポイントなどを解説していきます。

大動脈解離の手術後にどんな症状が出てくる?

大動脈手術の手術後、現れる可能性のある合併症として以下が挙げられます。

  • 脳梗塞
  • 心筋梗塞
  • 不整脈
  • 脊髄麻痺
  • 腎不全
  • 手術痕の化膿による腫れや痛み、赤み など

大動脈解離の手術後に上記のような疾患の症状、またはその前兆が現れたときは、早急に治療する必要があります。速やかに医師に報告・相談しましょう。

ただし、一般的には大動脈解離の手術治療後にこのような症状が出ることはほとんどないとも言われています。このため、術後半年~1年は肋骨や心臓に大きな負担をかける動作を避け、発熱や体調の変化がないかを定期的に観察する必要がありますが、日常生活に戻って問題ないとされます。

医師の許可が出たら、体調に気をつけつつ、早い段階からリハビリとして「自分の身のまわりのことは自分でする」ことを徹底し、日常生活に戻る準備を始めましょう。

大動脈解離の手術後は血圧管理が大事!

大動脈解離を治療した人のうち、1/3は大動脈の解離が進行したり、動脈瘤ができて血管破裂の危険が出てきたとして、再び手術治療を受けると言われています。

このため大動脈解離の術後半年~1年にかけては、大動脈や全身の状態に変化・悪化の兆候が見られないか、定期的に病院の外来で観察してもらう必要があります。医師の指示する頻度で受診し、問診やエコー、レントゲン、採血などの検査を受けて、きちんと経過観察をしてもらいましょう。

また、病院以外でも自宅で起床後1時間以内の安静時と、就寝前の安静時の1日2回、自身で血圧を測定して管理することが求められます。医師や看護師に方法を教わり、できれば上腕で測るタイプの血圧計を使って、血圧の計測とコントロールを日々欠かさないようにしてくださいね。

手術後はもう運動できない?

心臓に負担がかかりすぎない範囲から始めて、徐々に強度を上げて行う運動療法は、大動脈解離の手術後、心臓機能を回復させるうえで非常に重要なリハビリとなります。

大動脈解離の手術後、運動療法によって得られるメリットとしては下記の3つがあります。

  • 持久力や筋力の回復による、身体機能や運動機能の回復・改善
  • 安心して日常生活や趣味が行えるようになることによる、術後の生活の質の向上
  • 自分の体の状態を理解することによる、症状の再発・再入院の予防

具体的には、本人が「ややきつい」と感じる程度の歩行やサイクリングなどの有酸素運動、椅子からの立ち上がりなど低強度の筋力トレーニングから始めていきます

なお術後の運動療法は、基本的には医師や看護師・理学療法士の管理のもとで行います。ただし、患者が病院以外でも自身で運動療法を実践できるよう、心拍の計測方法や、心拍にあわせた運動強度の調整方法などについても、指導していくのが一般的です。医師が指示する強度や運動量を目標に、日常生活と通院の両方で少しずつ取り組んでいきましょう。

おわりに:術後は医師の指示のもと、体調や血圧・運動量を管理する必要がある

大動脈解離の手術治療後に合併症が現れるリスクは比較的少なく、医師の指示に従って適切に経過観察を行えば普通に生活できるようになるとされます。ただし、術後半年~1年の間は定期的に外来で体調の検査を受ける必要があるほか、患者自らも日々血圧を測定・管理し、状態にあわせた運動療法を実践する必要があります。のちのち再入院や再治療が必要な事態に陥らないためにも、術後は医師の指示に従って過ごしてください。

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