記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
どんな薬であっても、薬のパッケージなどに必ず「用法・用量を守って正しく使用して下さい」と注意書きがされています。これは薬を誤った方法で使用すると病状や症状が改善しないだけでなく、健康被害が生じる危険性もあるからです。そのため、安全に薬を使用していただくためにも、この記事では内服薬(飲み薬)の正しい使用方法についてご紹介します。
薬を飲むタイミングには食前、食後、食間、食直前、食直後、起床後、就寝時などがあります。一般的によくみかけるのは食前、食後、食間だと思いますが、それぞれの意味は以下のようになっています。
このように、複数のタイミングがあるのは、それぞれの薬ごとに効き方や影響などが異なるためです。たとえば、食べ物と混ざると効果が弱まる薬や、食後だと吸収が悪くなる薬であれば、「食前」と書いてあることが多いです。一方、空腹時に飲むと胃が荒れてしまう薬や、食事の影響を受けにくい薬であれば、「食後」と書いてあることが多くなっています。薬ごとに飲むタイミングは決まっているので、必ず守るようにしましょう。
飲み薬は、基本的に水や白湯(さゆ)で飲む必要があります。なぜなら、飲み薬は水に溶けることを前提に作られており、あらかじめ効き目の現れる時間が想定されているからです。また、水であれば飲み薬との相互作用が現れる心配がないことも、理由に挙げられます。
飲み物によって危険性は異なります。予期せぬ健康被害を防止するためにも、基本的には「飲み薬は水または白湯で飲む」ようにしましょう。
飲み薬は、必ず水や白湯で飲む必要があります。この理由は仮に水なしで薬を飲むと、薬がのどや食道に引っかかりやすくなるからです。しかも、薬が引っかかってしまうと、そこで炎症を起こす可能性もあります。とくに、カプセル剤はくっつきやすいので注意しましょう。
また、飲み薬は水や白湯に溶けることが前提で作られています。そのため、水がない場合や水の量が少ない場合、薬の吸収が悪くなったり、遅くなったりして、薬の効果が弱まる可能性もあります。さらに胃を保護する役割もあるので、飲み薬は水で飲む必要があります。
通常、飲み薬はコップ1杯程度(180~200cc)の水または白湯で飲む必要があります。これだけの水を飲むと、薬がのどや食道に引っかかる心配が少なくなり、また、薬がきちんと効果を発揮するようになります。そのため、基本はコップ1杯を目安にするとよいでしょう。
ただし、飲み薬の中には「水なしで飲むもの」や「沢山の水で飲むもの」など、水分量が薬の効果に影響するものもあります。そのため、医師や薬剤師から水分量の指示を受けている場合は、その指示を守るようにしてください。
原則として、処方された飲み薬は全て使い切る必要があります。なぜなら、自己判断で中止するとかえって症状が悪化したり、再発したりする可能性があるからです。とくに、抗生物質を途中で中断してしまうと、残った細菌が増えて再発するほか、耐性菌が生き残ってしまう可能性もあります。そのため、仮に体調が回復してきた場合でも処方された薬は全ての飲むようにし、薬の中止については医師や薬剤師の指示に従うようにしてください。
ここでは飲むタイミング、飲む方法、飲む期間などを中心に紹介しましたが、これらの他に飲む量や飲み合わせなどの注意が必要になります。病気を安全に少しでも早く改善するためにも、これらの使用方法は必ず守るようにしましょう。なお、薬の使用について不明点や疑問点があれば自己判断をせず、必ず医師や薬剤師などに相談してください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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