薬の副作用でみられる発疹、「薬疹」ってどんな症状?

2019/3/7

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「辛い症状を和らげたい」というときに頼るのが薬ですが、薬には効果が期待される一方で副作用の可能性も含まれてます。「薬疹」は代表的な副作用のひとつで、体に発疹がみられます。この記事では、薬疹が発生する理由や薬疹の種類について紹介します。

薬の副作用で発疹が出る「薬疹」とは?

薬疹とは、薬の内服または注射によってあらわれる発疹をいいます。薬は、病気を改善する効果のほかに副作用を引き起こす可能性を持っていますが、すべての人に薬疹が起こるわけではなく、特定の薬に対して反応する細胞や抗体を保有している人に発生します。軽度の薬疹では皮膚に発疹がみられますが、重度になると全身の皮膚や口の粘膜に火傷のような発疹があらわれます。

薬疹の原因は特定の薬ですが、症状が薬によるものか、体の不調やウイルス感染(麻疹など)によるものかきちんと見分けなければいけません。薬を飲み始めて1~2週間であらわれた発疹は、薬疹の可能性があります。薬の使用を中止すると発疹が治まるなら、薬疹の可能性が上がります。ただし、正確な診断は病院での検査が必要です。

薬疹の特徴

  • すべての人にあらわれるわけではない
  • 発疹は軽いものから重篤なものまである
  • 特定の薬を飲み始めてから1~2週間以内に発生することが多い

研究開発を重ね、重い副作用があらわれないように薬は製造されていますが、副作用を完全に防ぐことは難しいといえます。特定の薬に対して重篤なアレルギー反応を起こす体質の人もいます。「薬疹かもしれない」と思ったら、悪化させないように早めに対応することが大切です。

薬疹かどうかはどうすればわかるの?

病院では血液検査を行い、好酸球の増加がみられたら薬疹の可能性があると診断されます。ただし、好酸球の増加がみられなくとも薬疹が発生していることがあります。

薬疹を起こしたことがある人は、どの成分に体が反応するかを特定します。パッチテストや内服試験などを行い、特定の成分が薬に含まれているかどうかを調べます。いずれの検査でも、薬の使用状況や症状を医師に伝えることで診断がより正確になりますので、薬を使用するときはご自身で使用時期や量を把握するようにしましょう。

薬の使用中に把握すること

  • 使用している薬の種類
  • 使用を始めた時期
  • 副作用が最初にあらわれた時期、症状

薬疹だった場合の治療法は?

薬疹の治療の基本は、原因と思われる薬剤の服薬中止です。そのうえで症状の程度を考慮しながら治療薬を選択します。代表的な薬疹の治療薬は、抗ヒスタミン薬とステロイド外用薬です。

特に、ステロイドは症状によって使用方法が変わります。軽症の場合は軟膏タイプの薬剤を使用し、重症の場合は点滴やステロイドパルスを使用します。ステロイドを使用しても症状の改善がみられないときは、免疫グロブリン製剤静注療法や血漿交換療法が検討されます。

もともとは病気を改善するために使用した薬ですが、薬疹が発生すると薬疹治療のための服薬も必要となり、患者さんの負担が増えてしまいます。薬疹を繰り返さないためにも、異常を感じたら検査を受けて原因となる薬剤をしっかり特定しましょう。医師や薬剤師には、過去に薬疹の原因となった薬の名前を記載した「薬疹カード」を受診するたびに提示すると安心です。市販薬を購入するときは、成分を確認するようにしてください。

重症の薬疹があるって聞いたけれど…。

重度の薬疹で「中毒性表皮壊死症」「スチーブンス・ジョンソン症候群」「薬剤性過敏症症候群」と呼ばれる薬疹があります。

中毒性表皮壊死症(ライエル症候群)
症状は高熱、全身倦怠感、全身の紅斑(唇、口腔、眼、外陰部含む)、水疱、ただれなど。重症多形滲出性紅斑のひとつで、水疱やただれによって体表面積の10%以上の皮膚が剥けた状態を指します。人口100万人当たりで年間に約1.3人が発症しているとされます。
スチーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)
症状は粘膜(唇、口腔、眼、花、外陰部など)のただれ、紅斑、水疱、発熱、全身倦怠感など。重症多形滲出性紅斑のひとつで、水疱やただれによって体表面積の10%未満の皮膚が剥けた状態を指します。人口100万人当たりで年間に約3.1人が発症しているとされます。
薬剤性過敏症症候群
症状は38℃以上の高熱、全身の紅斑、全身のリンパ節の腫れ、肝機能障害など。原因となる医薬品を使用している1000人~1万人に1人の確率で発生すると推定されています。

おわりに:使用している薬を管理し、成分などを把握しましょう

薬疹はすべての人にあらわれるわけではありませんが、薬の使用時に発疹がみられたら注意しましょう。重篤な症状へと悪化することもあります。使用している薬の名前や使用時期を把握しておきましょう。過去に薬疹を発症したことがある人は、原因と思われる薬や成分を記録しておき、医療機関に提示することをおすすめします。体に取り入れる薬に関心を持ち、薬疹と思われる症状がみられたらすぐに病院を受診してください。

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