ジェネリック医薬品ってどんな薬?おススメされるのはどうして?

2019/2/28

処方せんを持って薬局に行くと、薬剤師さんから「ジェネリック医薬品を希望されますか」と確認されますよね。ジェネリック医薬品と普通の薬との違いや、すすめられる理由はどこにあるのでしょうか。今回はジェネリック医薬品とは何か、ジェネリック医薬品ではない先発薬との違いや、すすめられる理由と合わせてご紹介します。

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ジェネリック医薬品ってどんな薬?

ジェネリック医薬品は、医師の処方せんがあってはじめて入手できる、医療用医薬品のひとつです。「後発医薬品」とも呼ばれ、俗に新薬・薬と呼称される「先発医薬品」とは区別されます。ジェネリック医薬品と新薬、それぞれの特徴は以下の通りです。

ジェネリック医薬品、後発医薬品とは

  • 新薬が開発されてから一定の期間が経ち、開発元の独占販売期間が終了した薬を、開発元とは別の会社が、同じ有効成分を使って製造・販売した薬のこと
  • 開発元の独占販売期間が空けた薬は国民の共有財産と見なされるため、新薬であった期間中よりも、安価で購入することができるようになる
  • 開発・製造や審査にかかる期間は3~4年、費用は1億円程度であることが多い
  • 厚生労働省が定める試験に合格し承認を受けている点では新薬と変わらないが、安価であること、改良されている可能性がある点においては異なるのが特徴

新薬、先発医薬品とは

  • 製薬会社が9~17年の時間と、数百億円の費用をかけて開発した、新しい薬のこと
  • 新薬は開発後、厚生労働省による試験に合格して承認を受けた後に特許出願すると、開発した製薬会社は一定期間、新薬を独占的に製造・販売できる権利を得られる
  • 開発当時の最新技術を使い作られているが、開発に時間とお金がかかっている分、同じ有効成分でもジェネリック医薬品よりも高価なのが特徴

つまりジェネリック医薬品は、他社が最初から開発した製法・有効成分を使って、別会社が独自の改良等を加えながら製造した、比較的安価な薬ということになります。

ジェネリック医薬品ってどんな種類があるの?

近年、多数の製薬会社がジェネリック医薬品の製造に取り組んでいます。各社とも改良を加えながら、以下のような分野でジェネリック医薬品を提供しています。

  • 神経系疾患用薬
  • アレルギー用薬
  • 循環器系用薬
  • 呼吸器用薬
  • 消化管用薬
  • 抗生物質
  • ホルモン剤
  • 化学療法剤
  • 代謝性医薬品
  • 抗がん剤
  • ビタミン剤

このように、ジェネリック医薬品は、あらゆる病気・疾患に対応して用意されています。

ジェネリック医薬品が勧められるのはどうして?

国民皆保険制度が採用されている日本では、医療費・薬剤費の支払いは一部を患者本人が、残りは組合や自治体など、公的団体が行う仕組みになっています。

このため、近年の少子高齢化に伴い日本の医療費は増加の一途をたどっており、「平成29年8月9日の中医協資料 薬剤資料」では、薬剤費は年間8兆円にも及ぶと報告されています。国は、新薬に比べて安価なジェネリック医薬品を積極的に選ぶよう国民にすすめることで、薬剤費負担を軽減できるのではと期待し、ジェネリック医薬品を推進しています。

私たちが薬局に行き、薬剤師さんからジェネリック医薬品の使用をすすめられる背景には、このような実情があるのです。

ジェネリック医薬品と先発薬はまったく同じ?

ジェネリック医薬品と先発医薬品は、主成分となる有効成分はまったく同じですが、添加されている薬剤・成分や薬の形状は、異なっている場合があります。このため、ジェネリック医薬品と先発医薬品で見た目や色、香り、味などに違いがある場合もありますが、効き目や副作用には違いがありません

しかし、もし仮にジェネリック医薬品にのみ含まれている添加剤にアレルギーがある場合、ジェネリック医薬品にのみ副作用が生じる可能性があります。薬を飲んで副作用が疑われる症状が出た時は、ジェネリック医薬品か先発医薬品かにかかわらず、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

おわりに:ジェネリック医薬品とは、特許期間が切れた後発医薬品のこと

ジェネリック医薬品は、長い期間をかけて開発された先発医薬品のうち、特許期間が切れたものを同じ有効成分で製造した後発医薬品です。先発医薬品・新薬と同等の有効成分ながら、改良・製造にかかる時間が短いため、比較的安価で購入できます。近年、日本では医療費・薬剤費の増大を受けて、安価なジェネリック医薬品を積極的に使うことが推奨されています。きちんと理解したうえで、ジェネリック医薬品に使うかどうかを決めましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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