骨粗鬆症の治療薬にはいくつか種類があるの?

2019/4/21

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

骨粗鬆症は、年を取ったら注意しよう、などと良く言われているため、知名度の高い疾患ですよね。しかし、具体的な原因や治療薬、予防対策について、しっかり知っている人は案外少ないのではないでしょうか。
そこで、この記事では骨粗鬆症の詳細や原因、治療薬の種類と飲み方、予防対策についてご紹介します。

骨粗鬆症ってどんな病気?

骨粗鬆症とは、骨の強度が落ちてもろくなり、少しの衝撃で骨折しやすくなる疾患です。骨粗鬆症になり、骨が弱くなると、つまずいた拍子に手や肘・膝をついた、くしゃみをしたなどのごく日常的な衝撃で骨折してしまうことがあります。骨粗鬆症は、がんや脳卒中・心筋梗塞などのように直接生命を脅かす疾患ではありませんが、骨粗鬆症で骨折したことによって介護が必要な状態になってしまう人も少なくありません。

骨粗鬆症は、それ自体に痛みなどの自覚症状がほとんどないため、定期的に骨密度検査を受けているか、実際に骨折が起こらないと発見されないことがほとんどです。日頃から定期的にチェックしておくと、骨粗鬆症の兆候があった時にすぐ対策ができるため安心です。

骨粗鬆症によって折れやすい部位には、以下のようなものがあります。

  • 背骨(脊椎椎体)
  • 脚の付け根(大腿骨の近く)
  • 手首(橈骨)
  • 腕の付け根(上腕骨)

これらの部位は普段から無意識に力をかけることが多く、日常的な動作で負荷がかかりやすいため、不意に行った動作で骨折を起こしやすいのです。

背骨が体の重みで潰れてしまうことを「圧迫骨折」と言いますが、この圧迫骨折も骨粗鬆症で起こりやすく、背中や腰が曲がる原因になります。圧迫骨折は自覚症状に乏しく、単なる腰痛と思っていたり、痛みを感じない場合もあります。しかし、1個所骨折するとその周囲の骨にも負担がかかるため、連鎖的に骨折していってしまうこともあり、早めに発見・治療することが重要です。

また、大腿骨の近くを骨折すると、歩行が非常に困難になってしまいます。要介護状態になるリスクが高い部位ですので、いっそうの注意が必要です。大腿骨の近くを骨折する直接の原因の約85%は転倒ですから、骨粗鬆症を治療するとともに転倒対策を行っておくと良いでしょう。

骨粗鬆症が起こる原因は?

骨粗鬆症が起こる原因は、大きく分けて3つのことが考えられます。

  • 骨の新陳代謝のバランスが崩れる
  • 骨に蓄えられたカルシウムが血中に溶け出す
  • 骨の半分を担うコラーゲンが劣化する

骨は、常に新陳代謝によって新しい細胞と古い細胞が入れ替わり、体中の他の臓器や組織と同様に新しく作り変えられています。「破骨細胞」によって古い骨が溶かされ、カルシウムが血中に流れ出すとともに、「骨芽細胞」によって溶けた部分にカルシウムが接着されます。この「骨吸収」と「骨形成」のバランスが維持されていれば、健康な骨を維持できるのです。

しかし、骨の新陳代謝のバランスが崩れ、特に「骨吸収」によって溶けた部分を埋める「骨形成」が足りなくなると、骨はどんどん溶かされて量が減っていきます。

また、体に必要なカルシウムが足りなくなると、骨を溶かして補おうとすることがあります。体内のカルシウムの99%は骨に蓄えられていますが、残りの1%は血液中に含まれ、全身の生体機能を正常に保つ働きをしています。この血中のカルシウムが不足すると、骨に蓄えられたカルシウムが溶け出して不足分を補います。カルシウム不足が続くと、骨からどんどんカルシウムが溶け出してしまうのです。

さらに、骨の約半分はカルシウムでできていますが、もう半分はコラーゲンで出来ています。コラーゲンはいわば「骨の骨格」とも言うべき重要な部位で、骨の質(骨質)を担っています。そのため、コラーゲンの劣化や減少によっても骨粗鬆症が起こってしまうのです。

骨粗鬆症の治療薬にはどんなものがあるの?

骨は老化によってある程度はもろくなっていくものですから、老化によって減少した骨の密度を若い頃のレベルにまで戻すような薬剤はありません。しかし、最近では骨粗鬆症をごく初期に発見し、それ以上進行させないように食い止めることで、骨粗鬆症による骨折を大幅に減らすことができています。主な治療薬は以下の3つに分けられます。

骨の吸収を抑える
女性ホルモン:更年期症状による骨量の減少を抑える
カルシトニン:骨量の減少を抑え、背中や腰の痛みを和らげる
イプリフラボン:骨量の減少を抑える
ビスフォスフォネート:骨量を増加させ、骨折を予防する
ラロキシフェン:骨量を増加させ、骨折を予防する
骨の形成を助ける
ビタミンK2:骨量の減少を抑え、骨の形成を助ける
吸収と形成のバランスを整える
活性型ビタミンD3:腸からのカルシウム吸収と骨の形成を助ける
カルシウム剤:食事から充分摂取できない場合、長期的に服用すれば骨量減少防止に役立つ

骨粗鬆症の薬はいつ飲めばいい?

カルシウム剤の場合、栄養素がメインですから三度の食事の後に飲むのが良いでしょう。また、寝る前に牛乳を一杯飲むと、寝つきもよくカルシウムの補給にもなるため、一石二鳥です。そのほか、薬剤を飲むタイミングは以下の通りです。

  • エストロゲン(女性ホルモン):1日1回いつでも良いが、忘れないために朝飲むのがおすすめ
  • カルシトニン:注射のため、週1~2回通院する。時間はいつでもOK
  • イプリフラボン:1日3回食後に服用する
  • ビスフォスフォネート:薬の種類によって違うため、医師の指示による
  • ラロキシフェン:1日1回、時間はいつでも良い
  • ビタミンK2:飲み合わせの注意があるため、医師の指示による
  • 活性型ビタミンD3:1日1回朝、または1日2回朝・夕に服用する

ここに上げたものは一般例ですので、実際の服用は医師の指示を守りましょう。

骨粗鬆症を予防するには?

骨粗鬆症を予防するためには、「食事」と「運動」が重要です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

骨粗鬆症予防のための食事って?

骨粗鬆症というと、ついカルシウムだけをたくさん摂ればいいと思いがちですが、カルシウムは摂取するだけでなく、しっかり吸収しないと体内で利用できません。そのため、カルシウムだけでなく、カルシウムの吸収を助けてくれる「ビタミンD」を含む食品も同時にしっかり摂取することが大切です。カルシウムとビタミンDは、それぞれ以下のような食品に多く含まれています。

カルシウム
乳製品、大豆製品、小魚、緑黄色野菜、海藻など
ビタミンD
しらす干し、いわし、すじこ、いくら、鮭、にしんなど

骨粗鬆症を含め、生活習慣病の改善には食生活の改善が欠かせません。特に、カルシウムは食事に気をつけている人でもどうしても不足しやすい栄養素とされていますので、普段から意識的に摂取することが大切です。

骨粗鬆症予防のための運動って?

骨粗鬆症を始め、生活習慣病の予防や改善にもう一つ欠かせないのが適度な運動です。特に、若い頃運動していなかった人や、病気で寝込みがちだった人は、骨が育っていないため体格が華奢で骨折しやすいことがわかっています。

これを改善するためには、運動で骨に負荷をかけることが必要です。運動によって骨に力がかかると、骨に微弱なマイナスの電気が発生します。すると、体内にあるカルシウムイオンを引き寄せるとともに、運動によって血流が良くなり、骨を作る細胞の働きが活発になります。これによって、骨を強くすることができるのです。

さらに、運動によって体の筋肉が鍛えられると、運動神経が鍛えられ、とっさの動作でも転びにくくなります。すると、衝撃を受けることが少なくなり、骨折の予防にもつながります。

骨を強くするための運動は、負荷をかければかけるほど良いとされていますが、運動の習慣がなく、そもそも筋肉がない人がいきなりダンベルなどを上げようとしても、筋や関節を痛めたりして別の怪我につながりかねません。そこで、まずは散歩やゲートボールなど、適度な運動から始めましょう。有酸素運動は肥満などの生活習慣病予防にもなりますので、ぜひ習慣にして行きたいものです。

おわりに:骨粗鬆症の予防・改善には骨の新陳代謝がポイント

骨粗鬆症は、骨がどんどん溶かされる「骨吸収」は起こるのに、新しく骨を作る「骨形成」が起こりにくくなるために引き起こされます。そこで、骨を強くするためには、骨の新陳代謝のバランスを整えることが大切です。

そのためには、「骨吸収を抑える」「骨形成を助ける」「バランスを整える」の3つの治療薬を必要に応じて使う必要があります。また、骨を強くするための食事や運動にも気を使うと、骨粗鬆症の予防や改善になります。

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