問題をかかえている子どものきもちを聞く

2017/1/26

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

子どもが何かしらの問題をかかえている場合、手助けになるのが大人の役割です。どんな気持ちでいるのかを誰かに知ってもらうだけで、不安定な気持ちを落ちつかせ、解決の糸口が見つかっていきます。

ひとりで抱え込ませない

家庭内のことなら、両親の喧嘩や離婚問題など、学校のことなら、いじめや先生の理不尽な対応など、子どもが何か悩んでいる時は、感情や体にシグナルを発しているはずです。取り乱したり、引きこもっているかもしれません。
このような時、周囲の大人がいち早く感じて、話を聞いてやることが大切です。子どもひとりに問題を抱え込ませてはなりません。誰かに話すことが、気持ちの安定につながります。場合によっては、カウンセラーや医師が助けになります。

遊びの中に手がかりがある

子どもは遊びの中に自分を表現しています。いっしょに遊びながらよく観察してみてください。たくさんのことが理解できます。
ストレスを抱えて気持ちが不安定な子どもは、おもちゃで格闘ごっこをしている時、攻撃して喧嘩をしかけているように見えます。
「何か退治してるの?敵?」「怖そうに見えるよ!」などと、話しかけて遊びに入ってみてください。何か話し始める糸口がみつかるかもしれません。
快適で安心した状態を作り出すことも、子どもに心を開かせる効果があります。口をきいてくれたなら、さりげなくやさしく聞いてみます。決して無理はせず、子どもが自然に話しはじめる機会を何度も待ちます。話す気になるには、時間が必要です。

話すことをこわがる子ども

虐待やいじめの兆候のある子どもは、大人に話すことをとても恐れている場合があります。話しても親や先生に告げ口されて、さらに悪い状況になると思っています。幼い子どもの虐待の場合は、本人が虐待と感じていないことがあります。親がひどく腹をたてている、いらいらして当たっているだけ、と思っているかもしれません。
周囲の大人が気がついて、「ママにいえないこと、わたしにだけいっていいよ」と言うことが役に立ちます。多分、子どもは誰かに言うつもりか?とたずねます。本当は話したいけれど、話すことをこわがっています。決して、「誰にも言わない」と嘘の約束はしないでください。子どもを助けたいと本当に思う人にしか言わないことを、伝えてください。
虐待の疑いがある場合は、自治体の専門窓口でアドバイスを受けてください。また、子どもが自分で説明できる年齢なら、子どものためのサポートの団体やレスキューの24時間電話相談室などに連絡させてください。

攻撃的・反抗的な子ども

子どもがやたらに反抗して、攻撃的な態度をとる場合、これには理由があるはずです。話しをすることで理由が見つかるかもしれません。また万引きや喫煙などを遊び感覚で始めようとする子どもには、はっきり毅然と叱る態度が必要です。
他の人の迷惑になったり、トラブルの原因になるだけではなく、結果的に自分自身がリスクを負うようになる可能性についても話してください。(補導・停学・烙印・将来的なことなど)
子ども自身はなぜ自分がそのような態度をとるのかに、気づいている場合が多く、やめるか行動を改める機会をさがしています。曖昧にせず、理由をはっきりさせることが重要です。

悲しみの中にいる子ども

親しい人や身近な人、また可愛がっていたペットなどが亡くなったときは、子どもを注意深く見守ってください。泣いてばかりいて落ち込んで引きこもりがちになるかもしれません。
喪失感を感じるのは子どもも同じです。死の意味がまだ理解できていない場合もあります。
この話題を封印しないで、「死んで悲しいよね」「もうあえないけれど、いっしょにいたときは楽しかったね」などと声をかけることが、死の意味を知ったり、悲しみを回復してしく助けになります。

おわりに

子どもの問題は、子どもが悲しみや悩みを誰かと共有できることが、解決につながります。気がついた大人は、子どもを孤立させないください。大人も自分だけで解決しようと思わないで、他の専門家や医師のアドバイスを勇気をもって受けてください。

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