記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2023/3/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
止まらない鼻水など、つらい花粉症の症状を抑えるために、さまざまな治療法が開発されてきました。しかし治療には「副作用が怖い」などの悩みも伴います。この記事では「舌下免疫療法」という治療法が持つメリットをデメリットを紹介します。
舌下免疫療法(SLIT)はアレルゲン免疫療法のひとつで、口腔底(舌の裏または下)に治療抗原を投与して、アレルギー性の症状の改善を目指します。1980年代に海外で始まった治療法です。
従来は皮下免疫療法(SCIT)と呼ばれる治療法が一般的で、注射でアレルギー症状を抑えていました。ただ、皮下免疫療法にはアナフィラキシーショックなどの全身性副反応や通院の負担、注射の痛みというデメリットがありました。舌下免疫療法は皮下免疫療法のデメリットを解消する治療法で、全身性副反応の発生が比較的少なく、通院の頻度も皮下免疫療法より少なくて済む治療法です。
スギ花粉症は、スギの花粉がアレルギーを引き起こすアレルゲン(原因物質)となっています。花粉によるアレルギー反応が起こるのは、アレルゲンを体内から排除しようとして免疫が過剰に働いてしまうためです。
舌下免疫療法では、アレルゲンを少量ずつ体に投与して、体をアレルゲンに慣らしていきます。すると、実際にアレルゲンが体内に入ったとき、以下のような効果が期待できます。
たとえばスギ花粉がアレルゲンの場合、スギ花粉エキスを含む製剤を少量ずつ投与し、徐々に投与量を増やしていきます。舌下免疫療法はスギ花粉の飛散時期がやってくる前に始めることが推奨されるため、花粉飛散の時期が近づいたら余裕を持って治療を受けることが大切です。
花粉症治療で使用される舌下免疫療法の代表的な薬を紹介します。
初回は医師のもとで服用しますが、2回目以降は自宅での服用が可能で、保存方法は冷所保存です(2~8℃)。
初回は医師のもとで服用しますが、2回目以降は自宅での服用が可能で、保存方法は室温保存です。
薬の服薬で必ず注意したいのが副作用です。注射による皮下免疫療法と比べてアナフィラキシーショックは起こりにくいのですが、重篤な症状を引き起こす可能性は否定できません。ここで舌下免疫療法における副作用と、使用上の注意点を確認しておきましょう。
副作用は特に治療開始の1カ月間と、服薬直後の30分間にあらわれる可能性が高いといわれています。治療期間中に体に異常が発生したら、すぐに医師に相談してください。
花粉症は完治することが難しい病気ですが、症状の寛解やQOL向上を目指すために、舌下免疫療法で本格的なシーズンに入る前から治療を始めることもできます。ご自身の体質やライフスタイルに合った薬を選ぶことをおすすめします。