自律神経って、体の中でどんな働きをしているの?

2019/4/15

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

体の器官は、脳から発信される指令によって正常な状態を保っています。各器官と脳をつなげるネットワークの役割を担うのが神経です。神経には複数の種類がありますが、この記事では自律神経の働きや、交感神経と副交感神経の違いなどを紹介します。

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自律神経について学んでみよう

人間の神経は大きく分けて、脳や脊髄を通る「中枢神経」と全身を通る「末梢神経」に分類されます。末梢神経はさらに「体性神経」と「自律神経」に分かれます。

体性神経
運動機能や感覚機能に関わる神経で、「運動神経」と「感覚神経」があります。意思によって手や足の動作をコントロールします。脳からの指令や情報が速く伝わります。
自律神経
内臓などの各器官に関わる神経で、交感神経副交感神経があります。意思によって臓器などをコントロールすることはできません。脳からの指令や情報はゆっくりと伝わります。

自律神経は、脳の視床下部を中枢として体中のさまざまな器官と深い関わりを持っています。たとえば心臓、肺、胃腸、内分泌腺、膀胱、唾液腺、汗腺、血管などあらゆる器官にわたっています。そして交感神経と副交感神経は、対照的な働きを持っています。

交感神経と副交感神経の働きは?

交感神経と副交感神経の働きは対照的ですが、互いに協力し合うことで体を正常なバランスに保っています。アクセルの働きを持つのが交感神経、ブレーキの働きを持つのが副交感神経というイメージを持つとわかりやすいでしょう。

昼間や体が活発に動いているときは、交感神経が優位に働きます。一方、夜間やリラックスしているときには副交感神経が優位になります。ふたつの神経のバランスが保たれていると、人間は活動と休息を適切に営むことができるのです。

交感神経が優位になった場合

  • 脳の血管が収縮する
  • 心拍数が増える
  • 胃腸の働きが抑えられる
  • 瞳孔が開く
  • 唾液が減少する、ネバネバする
  • 膀胱が弛緩する
  • 汗の量が増える
  • 血管が収縮する

副交感神経が優位になった場合

  • 脳の血管が拡張する
  • 心拍数が減る
  • 胃腸の働きが活発になる
  • 瞳孔が閉じる
  • 唾液が増加する、サラサラする
  • 膀胱が収縮する

交感神経は脊髄を通じて各器官とつながっています。複数の器官を同時にコントロールして、全体的な影響を与えます。副交感神経は各器官とそれぞれ個別の経路でつながっているため、部分的に影響を与えます。

自律神経が乱れるとどんな不調が出てくるの?

交感神経と副交感神経のバランスが乱れると、体は正常な状態を保てません。その結果、体に不調があらわれやすくなります。以下に、自律神経の乱れが引き起こす疾患をご紹介します。

自律神経失調症
原因:精神的ストレスや過労など
症状:不安や緊張、抑うつ、吐き気、多汗、頭痛、肩こり、手足のしびれ、倦怠感、眠気、動悸、不整脈、めまい、不眠など
神経性胃炎
原因:精神的ストレスや過労、生活習慣の乱れなど
症状:胃酸の過剰分泌、胃痛、胃もたれ、胸やけ、喉のつかえなど
過敏性腸症候群
原因:精神的ストレスや食生活の乱れ、胃腸への負担など
症状:腸のぜん動運動の異常、腹痛、慢性的な下痢や便秘など
メニエール病
原因:精神的ストレスなど
症状:内耳のリンパ液の異常、めまい、片方の耳に発生する耳鳴り、難聴、強い吐き気や嘔吐など
過呼吸症候群(過換気症候群)
原因:強い精神的ストレス
症状:呼吸のリズムの異常(突然浅く速くなる)、息苦しさ、動悸、めまい、手足のしびれ、こわばりなど

自律神経のバランスを取り戻すには?

自律神経はストレスの影響を受けやすいのが特徴です。しかし、ストレスをゼロにすることは難しいため、自律神経の乱れを小さくするためには、ストレスとの付き合い方を考えることが大切です。

生活習慣を変える
もし、現在強いストレスを感じているようなら生活習慣を見直しましょう。栄養バランスのとれた食事、十分な休息や睡眠、適度な運動をきちんと確保できていない場合、生活習慣改善の余地があります。一度にすべてを変えるのは負担が大きいので、「毎食サラダを食べる」などできることから始めてみてください。
ストレス解消を習慣化する
ストレスの蓄積は大敵です。天気のいい日にウォーキングしたりカラオケで歌ったり、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。ゆっくりお風呂につかるなど手軽にできるリラックスタイムを作るのもおすすめです。

おわりに:自律神経のバランスを保ち、健康的に過ごしましょう

ふたつの自律神経、交感神経と副交感神経のバランスを保つことは心と体の健康に欠かせません。生活習慣やストレスとの付き合い方を工夫して、快適な日々を過ごしましょう。

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