記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2023/1/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「きちんと睡眠をとったはずなのに、日中眠くて仕方がない!」という経験をした人もいると思います。前日の夜更しや徹夜など、睡眠習慣が一時的に乱れたことが原因であれば、基本的には数日でおさまっていきます。しかし、慢性的に日中の眠気が続く場合は、何か別の原因や疾患が潜んでいる可能性があり、きちんと睡眠をとっているつもりでも、しっかり睡眠をとれていない可能性があります。この記事では、日中の眠気の原因とその対処法について、とくにストレスからくるものを中心にご紹介ししていきます。
日中に眠くなる原因にはさまざまなものが考えられますが、そのひとつに「ストレス」があります。ストレスとは「ストレッサー」という外部からの刺激(ストレスを引き起こす原因)によって、心身に「ストレス反応」が出ている状態のことを指します。
ストレッサーには、大きく分けて以下の5種類があります。
ストレス反応とは、これらのストレッサーに対して身体・精神のどちらか、あるいは両方に現れる反応のことを言います。ストレッサーに触れると、ストレスホルモンと呼ばれる「アドレナリン」や「コルチゾール」が分泌され、循環器・消化器・呼吸器などの活動を調整する自律神経である「交感神経」が緊張状態となります。
ストレス反応の多くは心身の双方に現れ、とくに精神的ストレッサーの「不安・怒り・悲しみ・焦り」といった変化そのものが作用し、ストレス反応としても同様の症状が現れます。その他にも、心身に現れるストレス反応としては以下のようなことが挙げられます。
日中眠ってはいけないときに強い眠気に襲われたら、以下のような方法を試してみましょう。
これらの方法はあくまで一時的なもので、根本的な解決ではありません。あくまでも、そのときだけ眠気を覚ます方法として使いましょう。たとえば、カフェインなどは体が慣れてしまうとだんだん効かなくなってしまいます。日中の眠気が何日も、何週間も続く場合は、根本的な解決が必要でしょう。
前述のような一時的な解決法ではなく、根本的な解決方法として、夜の睡眠の質を高め、翌日に眠気を残さないという方法があります。睡眠の質を上げるためにはさまざまな方法がありますが、一例として以下のような方法が挙げられます。ぜひ、自分に合った方法を探すためにも、色々と試してみてください。
夜しっかり寝ている、生活習慣も改善した、上記の解決法も試してみた、それでも眠気がとれないという場合は、何らかの疾患の可能性もあります。以下のような「過眠症(ナルコレプシー)」「睡眠時無呼吸症候群」の心当たりがあれば、ぜひ早めに病院を受診しましょう。
過眠症(ナルコレプシー)とは、仕事中や食事中などの眠ってはいけないときでも、断続的に耐え難いほどの強い眠気に襲われてしまう状態です。この睡魔によって集中力・持続力などが損なわれるため、学業や仕事に支障が出てしまうこともあります。ナルコレプシーの主な症状は以下の通りです。
ナルコレプシーの原因は、「睡眠」と「覚醒」を保つ仕組みのバランスが崩れることだと考えられています。そのために脳の視床下部にある、目覚めをコントロールする部位から指令がうまく出なくなり、眠りから覚醒へと切り替えができなくなってしまうのです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に無意識に呼吸が止まってしまうことで、本人は気づいていないことが多いです。しかし、体には負担がかかるため睡眠の質が下がってしまいます。睡眠時無呼吸症候群の主な症状は、日中の強い眠気といびきです。
SASには、肥満が大きく影響していると言われています。肥満になると喉の周辺に脂肪がついて気道が狭まり、無呼吸・低呼吸などを引き起こしやすくなります。肥満の人はそうでない人と比べると、SASの発症リスクが3倍になると言われています。逆に骨格の細い痩せ型や、小柄で顎が小さかったり狭かったりする人も気道がふさがりやすいため、こうした人はちょっとした体重の増加でSASになりやすいと考えられます。
また、鼻がつまりやすい人もSASのリスクがあります。花粉症やその他のアレルギー・鼻炎などで鼻がつまると、自然と口で呼吸をするようになり、そのまま眠ると寝ている間に重力で舌が落ち、上気道が狭まってしまうのです。
日中の強い眠気の原因として、外部からの刺激「ストレッサー」に体が反応してしまう「ストレス状態」が考えられます。もし、思い当たる原因がある場合は、ストレッサーを取り除いたり、眠気を覚ます工夫をしてみましょう。夜の睡眠の質を高めるのも大切ですので、睡眠トラッキング機能があるデバイス(スマートウォッチなど)で、一度睡眠状態を記録してみるのもおすすめです。また、過眠症や睡眠時無呼吸症候群などが原因となっている可能性もあります。これらの症状に心当たりがあれば、一度病院を受診してみましょう。