その腹痛と下痢、食物不耐症ではありませんか?!

2017/2/9

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

食物不耐症は、免疫系には関与せずアレルギー反応はないが特定の食べ物を食べた後に、ゆっくりと何時間もかかって症状があらわれることをいいます。ほんのわずかな量で反応が起こるアレルギーとは異なり、一定量以上食べると症状があらわれます。

食物不耐症とは何ですか?

食物不耐症は、特定の食品を消化することが困難で不快な身体的反応を示す非アレルギー性食物過敏症です。特定の食品を摂取してから数時間後に鼓腸(こちょう)や胃の痛みなどの症状を起こします。

食物不耐症の症状はどのようなものですか?

食物不耐性は、食べてから数時間後に次のような症状を起こすことがあります。
・腹痛、鼓腸(腹腔内にガスがたまる)、下痢
・皮膚の発疹およびかゆみ
これらの症状は、ほかの多くの病気でもみられるので、食物不耐性があるかどうかを確かめることは難しいことがあります。原因が特定できていないときは、医師の診察を受けてください。必要に応じて、血液検査などの検査を行います。

食物不耐症と同様の症状がみられる疾患

以下の疾患は、同様の症状を引き起こします。
・過敏性腸症候群
・ストレスおよび不安障害
・乳糖不耐症
・セリアック病
・炎症性腸疾患
・食物アレルギー
腸は敏感な器官であり、一般に、病気になったときや疲れたりストレスを感じたときに、腸の症状はあらわれます。

食物不耐症を調べる検査はありますか?

食物不耐症を調べる検査はありませんが、食物不耐性があるかどうかを知る唯一の方法は、症状と食べた物をチェックすることです。疑わしい食べ物をしばらくやめて、また食べ始めたときに何が起こるか確認してください。

食物日誌

以下の点に注意して、「食物日誌」をつけてみてください。
・食べた物
・食べた後に起こった症状
・いつ症状があらわれたか

食物不耐症と食物アレルギーのちがいを教えてください

食物アレルギーには、食物不耐症は含まれません。食物アレルギーと食物不耐症のちがいは、以下のとおりです。

食物アレルギー

・免疫システム(感染に対するからだの防御)からの反応です。免疫システムは誤って食物に含まれるタンパク質を脅威となるものとして扱います。
・ほんの少量食べただけで、発疹、喘鳴(ぜんめい)、かゆみなどの典型的なアレルギー症状を引き起こす可能性があります(これらの症状はすぐに起こります)。
・特定の食べ物によって起こります。大人では魚介類やナッツ類、子どもではナッツ類や魚、牛乳が一般的です。
・深刻な可能性があります

食物不耐症

・免疫系に関与していません。アレルギー反応がなく、決して生命を脅かすことはありません。
・問題の食べ物を食べた後に、ゆっくりと何時間もかかって症状を引き起こします
・一定量以上食べると症状が現れます。(ほんのわずかな量で反応が起こるアレルギーとは異なります)
・多くの異なる食品によって引き起こされる可能性があります

食物不耐性とは何ですか?

特定の食品に敏感であることを食物不耐性といいますが、その原因は不明です。パンを食べた後に、小麦を消化できず鼓腸、下痢、嘔吐、胃痛を起こす人もいます。
または、以下のような食品添加物や化学物質または汚染物質のこともあります。
・グルタミン酸ナトリウム(MSG)
・カフェイン
・アルコール
・人工甘味料
・ヒスタミン(キノコ、漬物および塩漬けの食品、アルコール飲料に含まれる)
・粗悪な食品に含まれる毒素、ウイルス、細菌、寄生虫
・人工着色料、防腐剤、うま味調味料
乳製品をとった後に症状があらわれたときは、牛乳に含まれるラクトース、ヨーグルト、チーズを消化できない乳糖不耐症のことがあります。

グルテン不耐性とは何ですか?

小麦を食べた後に症状があらわれる多くの人は、食事からグルテンを除去しますが、これらの症状がグルテン不耐性か、小麦に含まれるほかのものに対する不耐性か、または小麦とはまったく関係がないかを知ることは困難です。実際には、ほとんどの人は食事からグルテンを除去する必要はありませんが、不耐性でもアレルギー性でもないセリアック病では、食事からグルテンを除去します。

食物不耐症にはどうやって対処すればいいですか?

特定の食べ物(以下、除去食)に不耐性があるかどうかを知るためには、
・除去食を2〜6週間とらないようにし、症状が改善するかどうかを確認する
・症状があらわれずにどれくらい食べることができるかをチェックしながら、再び少しずつ食事に取り入れていく
除去食を試すことで特定の量では耐えられるが、それ以上の量になると症状があらわれることがわかります。除去食を試している間は、毎日の必須栄養素が摂取されているかを確認するために栄養士のアドバイスがかかせません。医師や栄養士のアドバイスを受けていないときは食事制限はしないでください。
食品に記載されている栄養成分表示を確認してください。子どもにとって牛乳はカルシウム、ビタミンDおよびタンパク質の重要な供給源です。子どもに食物不耐症があると思われるときは、食事制限をすることで「発育」に影響を与えることがあります。除去食を試す前に、医師や栄養士に相談してください。症状を起こす原因がわからず、さらに検査が必要なときや、以下のような症状がみられるときは専門医を紹介されるかもしれません。
・発育がよくない
・医師や栄養士がすすめる除去食に好反応を示さない
・ある食べ物に対する極端な反応がある
・食物アレルギーの疑いがある

おわりに

近年、食物不耐症といわれる人の数は急激に増加しています。食物不耐症のはっきりした原因はまだわかっていません。わけもなく下痢が続いているなどの症状がみられたら食物不耐性を疑ってみてもいいのかもしれませんね。

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