記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2023/5/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
日本の夏は蒸し暑く、気温の上昇が著しい昨今は、とくに過ごしにくい期間が続きます。夏の暑さにあてられ、食欲不振に陥る人も多いのではないでしょうか。この記事では、夏に食欲不振になりやすい理由について解説していきます。食欲不振になったときに役立つ対処法についても紹介しているので、この夏の暑さを乗り越えるために参考にしてください。
人間の体は、外気温の変化に対して体温調整を行っていますが、高温多湿の環境に体が対応できず体温調節が正常に行われなくなることがあります。この状態になると、過剰な発汗による水分不足、体のだるさなどの体調不良が現れ、自律神経の乱れが消化器官の機能低下を引き起こし、その結果として食欲不振を招くことがあります。このような夏の暑さが引き起こす体調不良、いわゆる「夏バテ」が、食欲不振を引き起こすおもな原因と考えられますし、食欲不振は夏バテの症状のひとつでもあります。
食欲不振になったときは、栄養をきちんと摂取できるように食事をうまく工夫するようにしましょう。以下の工夫は、食欲がわかないときに役立ちますし、健康づくりの基本対策としてもおすすめです。
自律神経の乱れなどで胃腸の機能が低下しているときは、消化に悪い飲食物を摂取すると余計に胃腸が疲れてしまいます。なるべく栄養価が高く消化がいい食材を使用し、消化にいい調理方法を選んで調理するようにしてください。
冷たいものは胃腸の血管を収縮させて血流を悪くするため、胃腸の機能低下を招く原因になります。食欲不振がある胃腸が疲れているときは、温かいスープや飲みものを選ぶようにしましょう。あんかけなど、温かくてとろみのある料理は、胃の中でも温かい状態を保ちやすいです。冷たい食べものや飲みものをとりたいときは、よく噛んでゆっくり食べたり、少ない量に抑えたりするようにしましょう。
ゆっくりよく噛み、食べものを咀嚼して口の中で細かく砕いてから飲み込むようにすると、胃腸での消化吸収の負担が減り、栄養の吸収率が高まります。また、よく噛むことで唾液に含まれる消化酵素が多く分泌されるようになり、胃腸の働きを促すことにもつながります。
発汗で失われやすいミネラル(ナトリウム、カリウムなど)を意識して摂取しましょう。体内のミネラルバランスが崩れると、体調不良を引き起こしやすくなります。
ビタミンB1やビタミンB2はエネルギー代謝に関わる栄養素です。水溶性のため体内に貯蔵できず、発汗で失われやすい特徴があります。たくさん汗をかいたときは、とくに意識して摂取するようにしましょう。
夏の食欲不振の解消を目指すには、以下の対策が役立つこともあります。
エアコンは室温が28℃前後になるように設定し、室外と室内の温度差が大きくなりすぎることがないようにしましょう。その日の天気や時間帯、自分や周囲の人たちの体調に合わせて調整してください。不快感は、温度ではなく湿度が原因になることもあるので、エアコンの除湿機能や除湿器などを活用し、湿度も管理するようにしてください。外出先のエアコンや夜間の気温低下で寒さを感じたときのためにカーディガンなどの「軽い羽織物」を用意しておくと、冷えから体を守ることができます。
体は、汗をかくことで体温を調節をしています。適度な運動で汗をかくことを習慣化すると、発汗機能を高めることができます。健康づくりのためにも、少しきついと感じつ程度の適度な運動を毎日の生活に取り入れることをおすすめします。運動になれていない人は、通勤・買い物のときに歩く距離を増やす、気軽に取り組めるスポーツを趣味として楽しむことなどから始めましょう。
エアコンの風や薄着などの影響で、夏であっても体が冷えている可能性があります。夜は湯船にゆっくり浸かって副交感神経を刺激し、リラックスして休息できる時間を設けましょう。37℃くらいのぬるめの湯船に10~20分つかることで、血流を促すことができます。
夏は発汗機能の低下や自律神経の乱れによって夏バテなどの要因による食欲不振が起こりやすくなります。夏を元気に乗り越えられるように、過胃腸にやさしい食生活、適度な運動の習慣化、室温・湿度の管理などに気を配るようにしてください。