夏バテになると起こる体の変化は?対処法や予防法はあるの?

2018/9/11 記事改定日: 2019/5/7
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

夏バテで疲労や身体のだるさ、微熱が続くのは困りものです。
そもそも、夏バテの原因はいったい何なのでしょうか。また、夏バテになるとどんな症状がでるのでしょうか。予防法や対処法とあわせて紹介していくので、疲れが取れない、熱っぽさが続く方は参考にしてください。

夏バテってどんな症状?

身体には元々、健康を保つために必要な”最適な温度・湿度”があります。
日本の夏は高温多湿で、最適な温度・湿度からかけ離れた状態が続いてしまいます。
このような状態が続くと、体調を崩しやすくなり、さまざまな不調が出てくるのです。

このような不調のことを夏バテと呼び、下記のような症状が現れるようになります。

だるさ・疲労感
夏バテでの症状で多く見られるものとして、全身のだるさや疲労感の持続があります。
また、気温の高さによって睡眠不足がちになることにより、だるさや疲労感が増幅することもあります。
食欲低下
自律神経が乱れると、消化器の機能が低下することにより食欲不振となり、エネルギーやビタミン不足を引き起こすことがあります。それにより、だるさ、疲労感、無気力がさらに増すとされています。

そのほか、下痢、便秘、イライラ感、体の熱っぽさ、のぼせ、めまい、立ちくらみ、頭痛、むくみなども夏バテの代表的な症状です。

夏バテで微熱が出ることはある?

多忙や重労働などの特に思い当たる要因がないにも関わらず、疲労感、だるさ、体が重く感じるなどの倦怠感や無気力症状がある場合は、夏バテが悪化している可能性があります。

胃腸機能の低下で食欲不振が見られる場合は、栄養不足でだるさや倦怠感が増してしまうこともあるでしょう。

また、夏バテは免疫力を低下させるため、夏風邪を引きやすくなります。
風邪は症状が長引いて体力が消耗すると、さらに症状が悪化します。夏バテで食欲がなく十分な栄養が摂れない状態なので、回復もしづらいです。鼻水が出る、下痢や腹痛が続く、微熱などの症状がある場合は、早めに病院で治療を受けましょう。

夏風邪の特徴

喉の強い痛みや下痢が多く見られ、2~4日間持続する微熱、全身のだるさ、倦怠感などの症状を伴うこともあります。冬の風邪ではよく見られる、咳やたんはあまり見られません。また、汗を多量にかくことにより脱水症状が起こる恐れもあるため、水分補給は十分に行う必要があります。

夏バテを予防するにはどうすればいい?

温度差

急激な温度差が起こると体力消耗の原因になります。猛暑の屋外からエアコンで冷却された室内に戻ることの多い夏場は注意しましょう。

また、設定温度が低すぎると冷房で過剰に体が冷やされてしまい、自律神経のバランスが乱れる場合がります。自律神経のバランスが乱れると、胃腸の不調、全身の倦怠感、食欲不振などの症状が引き起こされ、これも夏バテを引き起こしてしまう原因になります。

室外と室内の温度差が5℃以上あると自律神経に影響を及ぼすとされているため、エアコンの温度設定の参考にしてください。
また、エアコンの風が直接肌に当たらないように風向きや風量を調節することも大切です。自分でエアコンの設定を変更できないオフィスやショップなどに行くときは、サマーセーターを持っていくなどして、体を冷やさないようにしましょう。

高温多湿の所や直射日光があたる所に長時間いることは熱中症のリスクが上がりますし、熱中症までいかなくとも、体内の水分が不足して夏バテの原因になります。外出時は、風通しの良い場所で過ごす、日陰にいるようにするなどの工夫をしてください。

睡眠

現代では、エアコンの室外機や、都市部の住宅密集化などにより、夜間でも気温が低下しにくい環境(熱帯夜)となっているため、寝つきが悪くなる、眠りが浅くなるなどの症状により睡眠不足になることがあります。

睡眠不足は疲労の蓄積を引き起こすため、夏バテの原因になります。
ぐっすり眠れるように、以下のことを参考にしながら睡眠時の環境を整えましょう。

  • 就寝2時間前までには夕食を済ませておきましょう。
  • 就寝1時間前までには、ぬるめのお湯で少し長めに入浴を行いましょう。
  • 寝酒は避けましょう(酔った勢いで就寝する=熟睡とは異なります)。
  • 熱帯夜は冷たい枕で頭部を冷やしながら寝ると良いでしょう。
  • 就寝間際のテレビ、パソコン、スマホの使用は脳や視神経を刺激するため、控えましょう。

食事

夏バテの予防には栄養価の高い食品の摂取が必要で、特に良質のタンパク質やビタミン類の摂取が有効とされています。夏バテに効果的とされる以下の食品を積極的に摂取しましょう。

豚肉
ビタミンB1が豊富に含まれており、疲労回復に有効とされています。
ウナギ
ビタミンAとビタミンB1 が豊富に含まれています。
大豆などの豆類
良質なタンパク質が含まれています。
トロロイモ
滋養強壮効果に優れており、微量栄養素と呼ばれるコリン・サポニンも豊富に含まれています。
長ネギ
ビタミンC、カリウム、カルシウムなどを含まれており、血液をサラサラにする効果があるとされています。

また、最近胃腸が弱っていると感じているなら、以下のことにもチャレンジしてみてください。

  • 消化の良い食事を心がけましょう。
  • 食事は少量ずつ数回に分けて行いましょう。
  • 夕食はなるべく早めに済まましょう。
  • 食事の量を少な目めにしましょう。

夏バテにおすすめのレシピは?

夏バテのときにはさっぱりして消化の良いメニューがおすすめです。体調に適さない食事を摂ると症状が悪化することもあるので注意しましょう。
ここでは、夏バテのときにおすすめのメニューをご紹介します。

冷やし中華風ラーメン

夏バテでもお腹が空いてがっつり食べたいときのおススメメニュー。さっぱり味で良く冷やしたラーメンで食欲を満たしましょう。

作り方

  1. 豚肉は適量を湯がいて冷水で良く冷やし、オクラは良く茹でて一口大に切っておく
  2. 下準備が終わったら、市販の中華麺を規定時間茹でて冷水で締める
  3. ポン酢・胡麻・だし汁などでさっぱりお好みのたれを作って回しかけ、あらかじめ準備しておいた豚肉やオクラ、キムチをトッピングすれば完成

トマトのはちみつ漬け

食欲がないときのおすすめメニュー。デザート感覚で食べられ、豊富なビタミンを摂取できるので体力の低下を抑えることができます。

作り方

  1. ミニトマトを沸騰した鍋にそのまま投入し、ひと煮立ちしたら冷水に上げる
  2. 自然と皮が剥けていくので、手で皮をはがして、よく水を切る
  3. 蜂蜜を適量回しかけ、冷蔵庫で冷やせば完成

モロヘイヤスープ

ひどい夏バテで何も口にしたくないときは、トロトロでのど越しがよく、栄養満点のモロヘイヤをスープを試してみましょう。

作り方

  1. よく茹でたモロヘイヤを細かく刻んでおく
  2. 鍋に適量の水、すりおろし生姜、だしの素などを投入して煮立たせ、お好みの味に調える
  3. そこに下準備をしたモロヘイヤを投入して煮込めば完成

おわりに:夏バテが悪化すると夏風邪をひくことも。温度湿度管理を工夫しよう

とくに思い当たる要因がないにも関わらず、疲労感、だるさ、体が重く感じるなどの倦怠感や無気力症状がある場合は、夏バテが悪化している可能性があります。また、夏バテによって免疫力が低下すると夏風邪を引きやすくなってしまいます。

室温管理などの工夫をしながら、夏バテを回避しましょう。また、夏風邪は長引くことが多いので、もし夏風邪を引いた場合は早めに病院に相談することをおすすめします。

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