リコピンを摂ると体にどんなイイコトがあるの?

2019/7/27

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

トマトに多く含まれるリコピンは、体に良い栄養素の1つとして知られています。リコピンは非常に強い抗酸化作用を持っているほか、体の機能にさまざまな良い効果をもたらすとして、近年非常に注目が集まっている栄養素の1つです。そこで、この記事ではリコピンの作用や多く含む食べ物、おすすめの食べ方などをご紹介します。

リコピンの働きは?

リコピンは天然色素で、動植物に含まれる深紅色をしたカロテノイド色素のひとつです。カロテノイド色素には抗酸化作用がありますが、中でもリコピンには非常に強い抗酸化作用(体内の活性酸素を取り除く働き)を持っていることがわかり、近年非常に注目を集めています。

活性酸素とは、普通の酸素よりも非常に強い酸化力を持つ酸素のことで、もともとは人間の体内に侵入した細菌を退治したり、化学物質を無毒化したりという役割をしています。しかし、活性酸素が増えすぎてしまうと、強い酸化作用によって自分の体の組織や細胞までも傷つけてしまうのです。活性酸素によって細胞や組織が傷つくと、がんなどの生活習慣病や老化を進めてしまうと考えられています。

リコピンの抗酸化作用は、一説によるとβ-カロテンの2倍以上、ビタミンE(α-トコフェロール)の約100倍とも言われています。そのほか、肺疾患・糖尿病・動脈硬化・アレルギー・メラニン生成などを予防・抑制する効果や、美容や視覚機能の改善に効果をもたらすとされています。近年、リコピンの機能に注目が集まっているため、多くの研究報告がなされています。

リコピンを多く含む食べ物は?

リコピンを多く含む食べ物として、「トマト(ミニトマト)」「スイカ」「ピンクグレープフルーツ」の3つが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

その1:トマト(ミニトマト)

リコピンと言えばトマトが有名ですが、中でもミニトマトは普通のトマトと比べて多くのリコピンが含まれています。トマトに含まれるリコピンは100gあたり3mgですが、ミニトマトに含まれるリコピンは100gあたり8.1mgです。つまり、大きいトマトと同じ量のリコピンを摂取しようと思った場合、ミニトマトなら約40g(2~3個)で摂取できるのです。

ミニトマトはもともと小さく、一口で食べられることから、小腹が空いたときのおやつやお弁当の彩りにちょっと添えて気軽に食べられます。メインディッシュのつけ合わせやサラダの彩りなど、日々の食事でもぜひ積極的に取り入れていきましょう。

また、通常のトマトも生食以外に、ケチャップやトマトソースなどでもリコピンを摂取することができます。さらに、脂溶性かつオリーブオイルと組み合わせると特に吸収率が良く、加熱すると2~3倍ほど体に吸収されやすくなることがわかっています。そのため、トマトソースのパスタやスープなど、イタリアン系のアレンジがおすすめです。

トマトを選ぶ上での注意点は、赤いトマトでないとリコピンが摂取できないことです。トマトの中には緑色をしたものや、茶色っぽい色をしたものもありますが、これらのトマトではリコピンの摂取はできません。また、紫は見た目に赤色を含んでいますが、この色はリコピンではなく「アントシアニン」という青色系の色素を含んでいるもので、リコピンではないのです。

アントシアニンにも抗酸化作用はありますが、リコピンのそのほかの性質は持っていません。根本的に性質の違う色素のため、注意が必要です。

その2:スイカ

夏の風物詩であるスイカにも、リコピンがたくさん含まれています。100gあたり3.2mgが含まれており、実はトマトよりも少し多いくらいなのです。さらに、スイカにはリコピン以外にもビタミンCが豊富で、むくみをとるシトルリンという成分も含んでいます。女性に嬉しい美容効果がたっぷりあるほか、シトルリンによって血流が増えれば、冷えや肩こりの緩和、代謝の活性化になります。

しかし、甘くて美味しいぶん果糖が多いので、食べ過ぎにはくれぐれも注意しなくてはなりません。長期間大量に食べ続けていると糖尿病になったり、一気に食べ過ぎると腹痛を起こしたりすることがあります。スイカは適量を美味しく食べましょう。

また、甘い部分を食べ終わったあと、白っぽい皮の部分もお漬物や炒めものなどで食べると、栄養分をしっかり摂取できておすすめです。漬け込んだり調理する場合は、緑色の硬い皮の部分は削ぎ、内側の柔らかい部分だけを食べましょう。

その3:ピンクグレープフルーツ

ピンクグレープフルーツはルビーグレープフルーツとも呼ばれるもので、スイカ同様100gあたり3.2mgのリコピンを含む果物です。ピンクグレープフルーツはホワイトグレープフルーツよりも酸味が少ないので食べやすく、爽やかで食べごたえがあるのでそのまま生でも、何らかの加工をしても美味しく食べられます。

スイカは夏しか並んでいないか、夏以外は価格が非常に高いことが多いですが、ピンクグレープフルーツは比較的通年スーパーで見られ、かつ価格も大幅に変動しないため、いつでも食べやすい果物です。さらに、グレープフルーツの香りには脂肪燃焼効果があるうえ、1玉まるごと食べても100kcalという低カロリーですから、ダイエット中の人にもおすすめなのです。

コスパもよく、カリウムや食物繊維も豊富でデトックス効果も期待できるピンクグレープフルーツは、リコピンの美肌や肥満防止作用との相乗効果もあり、ダイエットにはぴったりの食材と言えます。

ただし、グレープフルーツやそのジュースを血圧降下薬と一緒に食べたり飲んだりすると、薬の効果を強めすぎて血圧が下がりすぎる危険性があります。こうした薬を飲んでいる人は、主治医と相談の上で食べるようにしましょう。

リコピンを効率よく摂るには?

リコピンを効率よく摂取するためには、「熱に強いこと」「脂溶性であること」の2つのポイントをおさえることが大切です。生でそのまま食べるよりも、油を使って調理したものを食べた方が体内での吸収率が上がりますので、油脂を使って加熱調理するのがおすすめです。加熱調理すると、かさが減るので量を食べやすいというのも大事なポイントです。

特に、トマトの項目でもお伝えした通り、オリーブオイルと一緒に摂取するとさらにリコピンの吸収率が良くなることもわかっています。そのためイタリアン系のレシピはおすすめですが、もちろん必ずしもオリーブオイルと一緒に摂取しなくてはならないということではありません。ベーコンなどの脂質が多い食材と組み合わせたり、牛乳などの乳脂肪分と一緒に摂取するのも良いでしょう。ミートソースなどのトマトソースとして調理するのもおすすめです。

また、食材のトマトそのものも「高リコピン」をうたっている品種を選ぶ、真っ赤な調理用トマト(※生食用ではないもの)を選ぶ、など、もともとリコピンの含有量が多いものを選ぶのも、リコピンを効率的に摂取する方法です。ドライトマトにするのも、かさを減らしトマトの摂取量を増やすのに役立ちます

トマトの加工品もおすすめです。加工品はトマトの旨味成分「グルタミン酸」が凝縮されているため、別の食材の旨味成分と組み合わせて料理をより美味しくすることができます。さらに、トマトの加工品はもともと生食用のトマトよりもリコピンが多く含まれているものを使っているため、手軽に十分な栄養を摂取できておすすめです。

おわりに:リコピンは健康にも美容・老化防止にも役立ちます

リコピンの強力な抗酸化作用は、健康維持はもちろんのこと、細胞へのダメージを軽減したり、メラニンの生成を抑制したりと、美容や老化防止にも役立ちます。糖尿病や動脈硬化の予防など、生活習慣病のリスクを下げることもできます。

リコピンは熱に強く脂溶性なので、吸収率を上げるにはオリーブオイルと一緒に加熱調理するのがおすすめです。加工品でも摂取できますので、ケチャップやドライトマトなども上手に活用しましょう。

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