記事監修医師
工藤内科 副院長 工藤孝文先生のスマホ診療できるダイエット外来
工藤 孝文 先生
「寝る前に牛乳を飲もう」というフレーズをよく聞くと思いますが、睡眠改善のために効果的な「牛乳を飲むタイミング」は就寝前だけが良いとは限りません。
今回は「朝の牛乳が快眠を誘う」というテーマを中心に、快眠につながる食事のタイミングについてお話ししていきます。
「寝る前に牛乳を飲むとよく眠れる」といった話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
この話も本当なのですが、実は、快眠のためには、牛乳は「朝」に飲んだほうが良いです。
牛乳には「トリプトファン」という、睡眠ホルモンの「メラトニン」の元となるアミノ酸が含まれています。
トリプトファンは、14~16時間かけてセロトニン(脳内で働く神経伝達物質の一種)からメラトニンへと変換されますので、牛乳は朝飲んでおくと、ちょうど夜の就寝時間のタイミングでメラトニンが生成され、自然な眠気が誘発されやすくなるのです。
人の体は眠りにつくとき、深部体温を手足から放熱することで徐々に体温を下げ、眠りの準備を進めます(このため、眠りにつく前に手足がホカホカします)。
現代社会では、ストレスや体の冷え等からこの深部体温がうまく放熱できず、寝つきや睡眠の質で問題を抱えてしまう女性が増えているといわれています。
そこでオススメなのが、眠る前の「ホットミルク」です。寝る前に飲むと手足が温まって体温も高まり、寝つきが改善しやすくなります。温かいものを飲むことでお腹も温まるので、副交感神経が優位になってリラックス効果が得られやすく、睡眠の質も改善しやすくなります。
ホットミルクはちょっと熱めの温度がおすすめですが、温めすぎて熱々になってしまうと交感神経が活発になって体が覚醒しやすくなり、逆に睡眠の質が下がってしまうことがあるので注意しましょう。
牛乳は快眠作用があるとされる代表的な飲み物ですが、以下の食べものも睡眠の改善におすすめです。
睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌に欠かせないトリプトファンが含まれるものには
などがあります。
どれも手に入れやすいものばかりですので、ぜひ朝食にとり入れましょう。
キムチは入眠作用が期待できるので、夕食におすすめです。辛い食べ物なので「夜に食べたら刺激で目が覚めそう」と思うかもしれませんが、キムチの材料の唐辛子には、入眠を促進するカプサイシンが含まれています。
カプサイシンを摂ると、一時的に体温を上がり発汗が促されることで体温が下がっていきます。つまり深部体温の放出が促進されるため、眠りに入りやすい状態になり、寝つきの改善が期待できるのです。
キムチを食べるタイミングとしては夕食、できれば就寝の2~3時間前がオススメです。この時間帯に摂取しておけば、入眠に必要な深部体温の低下がサポートされやすくなります。
ただ、キムチを大量に食べすぎると、自律神経が興奮してなかなか寝つけなかったり、睡眠の質が下がることがあるので、適量に留めるようにしてください。
など、睡眠改善に関する初耳情報が多かったのではないでしょうか。
「どのタイミング」で「どんな食事」を摂取するかが、睡眠の質を握るカギとなります。睡眠トラブルで悩んでいる人は、ぜひ試してみてください。
※この記事は工藤孝文先生の著書「疲れない大百科 – 女性専門の疲労外来ドクターが教える – (美人開花シリーズ)」を一部編集し、工藤先生の監修のもと発表しています。