記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
ダイエットしようとしても体重が落とせない、このままだと生活習慣病が心配……ひとりでのダイエットは、なかなかうまくいきません。しかし近年では、「ダイエット外来」といわれる病院での肥満治療もできるようになっています。今回の記事では、そんなダイエット記事の概要についてまとめました。
ダイエット(肥満)外来では、BMIが35以上の「高度肥満」の場合は、保険診療が適用されるのが一般的です。医療機関にもよりますが、その他にも肥満に加えて、睡眠時無呼吸症候群や生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症など)、あるいは肥満による歩行困難など、肥満に関連した健康障害がある場合には、健康保険適用内での肥満治療が受けられます。
通院のペースですが、初めは2週間に1回の通院から始め、以降は月1回の受診を3ヶ月程度続けていきます。医療機関や治療内容によりますが、自己負担額は1回あたり数千円ほどが一般的です。
BMIの計算式は、「体重(kg)÷身長(m)の2乗」です。肥満度の判定基準は、以下になります。
BMI18.5未満:低体重
BMI18.5〜25:普通体重
BMI25〜30:肥満(1度)
BMI30〜35:肥満(2度)
BMI35〜40:肥満(3度)
BMI40〜:肥満(4度)
生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群など、肥満による健康障害でお悩みの方や、「努力したけれど、どうしても体重を落とせない」 という方は、ダイエット外来の受診をおすすめします。そこでは、以下のような診療・治療が行われます。
・問診、血液検査
・体重増加の原因の特定
・食事療法
・運動療法
・薬物療法
患者の食習慣や生活習慣についてヒアリングし、肥満の原因を特定します。なお、血液検査や内臓脂肪の検査も行い、より明確に原因を特定させていきます。
太りすぎの場合は、食生活を改善し、運動習慣を築くことが体重を減らすための第一歩です。医師に現在の食事と運動の状況を評価してもらい、改善のための個人的な目標を設定します
週に1度、食事日記をつけてみましょう。記録をつけることで、自分の食習慣が一目で分かり、医師にとってもアドバイスしやすくなります。
食事日記同様、運動日記も効果的です。また、万歩計をつけて、毎日の歩数をチェックすることもおすすめです。
食習慣を改善させ、運動量を増やして、それでも体重が減らないのであれば、サノレックス®などの食欲抑制薬や、脂肪の吸収を抑える薬、漢方薬などが処方されることがあります。
生活習慣を変化したり、薬の服用をしたりしても効果が見られない場合、手術という手段があります。減量手術は、BMIが特定の基準を超えている、または2型糖尿病や高血圧などの体重関連の健康状態がある人のみ、対象となります。減量手術は効果的ですが、健康へのリスクが伴う処置です。
現状の食生活と運動量を把握したら、どのように生活習慣を変化させれば良いかが、より明確になります。ただ、医師と一緒に長期的なダイエット計画を立てることが大切です。計画は自分のライフスタイルに合っていて、楽しめるものでなければ、長く続きません。定期的な受診を必ず行うようにしましょう。
肥満と関連が深い2型糖尿病患者のダイエットでは、血糖値をできるだけ正常に保ち、今後健康上の問題が起こらないように、症状をコントロールすることが目的になります。 2型糖尿病患者のダイエットにおける主な対策は次のとおりです。
・食生活の改善
・定期的な運動
食事中の食物繊維の量を増やし、砂糖と脂肪の摂取量、特に飽和脂肪を減らします。
2型糖尿病の治療において、運動はとても大切です。成人の場合、以下を参考に実行してみましょう。
・週に中程度の運動(サイクリングや競歩など)を2時間半以上
・週2日以上、筋力を強化するための運動を行う日をもうける(脚、背中、腹、胸、肩など、体の至る筋肉)
・ランニングなどの激しい有酸素運動を1時間半以上行う
いきなり上記の運動を行うのはハードルが高いかもしれませんが、少し運動量を増やすだけでも健康効果がありますし、今後改善させていくための基盤になります。テレビを見たり、パソコンの前に座る時間を減らしてみてください。毎日昼休みの時間に散歩することから始めてもよいでしょう。
肥満は、病気のリスクを高めます。自分で努力してもどうにもならない場合は、ダイエット外来を受診することも考えましょう。1人では成し遂げられないことも、医師と一緒であれば、できる可能性は高くなります。さあ、健康への第一歩を踏み出しましょう。