記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/5/18 記事改定日: 2018/3/29
記事改定回数:2回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
「食事内容や生活習慣を改善しても便秘が治らない・・・」
そのようなときに頼れる便秘薬ですが、「便秘薬が効かなかった」という声もあります。
そこで今回は、便秘薬の種類と副作用を便秘が起こる原因ごとに解説します。
「便秘薬が効かない」という場合に考えられるのは、自分の便秘の原因とは違うタイプの原因を解消する便秘薬を使っていることです。
ひとくちに便秘薬といっても幅広い種類があるので、自分に合っていない便秘薬を使うと症状が改善しにくくなってしまいます。
便秘薬が効かないとお悩みの場合は、代表的な便秘の種類とそれぞれに合った便秘薬を以下の項目でチェックしてみましょう。
便秘の種類は分類すると以下の4つに分けられます。
弛緩性便秘は腸管の緊張がゆるんで「ぜん動運動」が十分に行われないために起こる便秘です。
大腸内に便が長くとどまるために水分が過剰に吸収されて硬くなることが特徴で、特に女性や高齢者に起こりやすいといわれます。
原因としては、加齢による腸機能の低下、水分不足、食物繊維不足、運動不足、腹筋力の低下、極端なダイエットなどが考えられ、〈お腹が張る、残便感、食欲低下、肩こり、肌荒れ、イライラする〉などの症状が同時にあらわれることもあります。
けいれん性便秘は副交感神経が興奮し過ぎることによって腸管が過度に緊張し、便がうまく運ばれない状態です。
便がコロコロとした形状になることが多く、食後に下腹部痛や残便感などの症状を伴い、便秘と下痢を交互にくり返す場合もあります。
精神的ストレスや環境の変化、過敏性腸症候群などが原因となることが多いようです。
直腸性便秘は便が直腸に達しても排便反射が起こらず、直腸に便が停滞してうまく排便できなくなることで引き起こされます。
高齢者や忙しさ・恥ずかしさなどの理由で排便を我慢する習慣がある人に多いです。
イレウス、大腸癌、腸管癒着などの器質的な原因で小腸や大腸に通過障害が起こることで生じる便秘で、同時に〈血便、激しい腹痛、嘔吐〉などの症状がみられます。
便秘に伴い上記のような症状があらわれた場合は、速やかに病院で治療を受けるようにしてください。また、腸管穿孔(ちょうかんせんこう:何らかの原因で腸管に穴が開いて腸管内容が腹腔内に漏れて腹膜炎などを引き起こす疾患)を起こすおそれがあるので、自己判断で下剤を使用しないでください。
代表的な便秘薬の種類と特徴、そして上の項目でお伝えした便秘の種類ごとに効果的な便秘薬を紹介します。
ぜひ一度、自分の便秘の種類とそれに合う便秘薬を確認してみてください。
生活習慣の改善ではなかなか解消しない便秘の場合、まずは膨張性下剤を服用してみてください。通常、服用から2~3日で効果が現れます。
膨張性下剤を飲んでも便が固いという場合は、追加で(あるいは代替として)浸透圧性下剤を、また、便は軟化したものの依然として排便しにくいという場合は、追加で刺激性下剤をそれぞれ服用してみましょう。一般的に、浸透圧性下剤は服用後2~3日程度、刺激性下剤は6~12時間程度で効果が現れます。
また、自分に合う薬がわからない場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
尚、全てのタイプの便秘薬を試しても便秘が解消しない場合は病院を受診してください。
便秘薬は多くの人が服用できる薬ですが、以下に該当する場合は服用前に医師や薬剤師に確認してください。
浣腸は、肛門から直腸内にグリセリンを主成分とする薬液を注入して排便を促すものです。
グリセリン液が直腸内へ注入されると、腸管壁の水分吸収を促し、腸管蠕動運動を亢進させます。また、グリセリンの浸透作用によって便を膨張化・軟化させて排便しやすい状態に促す効果があります。
このため、直腸内やその付近に便がある状態の便秘に効果があります。便意がない場合や便が硬くて排出できない場合に使用するとよいでしょう。
また、便秘薬との併用には注意が必要です。便秘薬には様々な種類がありますが、大腸を刺激して蠕動運動を亢進するタイプの便秘薬は浣腸との相乗効果によって効果が強くなりすぎ、激しい腹痛を引き起こすことがあります。
浣腸や便秘薬を使用するときは、市販薬を自己判断で使用せず病院を受診して適切な指導を受けることをおすすめします。
原因に応じた便秘薬を適切に使えば、症状は比較的簡単に解消できます。
ですが、お腹が痛くなるなどの副作用があったり、常用すると体が成分に慣れて効き目が薄れるなどのリスクもあるので、便秘薬に頼りすぎないことが大切です。
自分の便秘のタイプや原因に応じて適切な便秘薬を適量使うようにしましょう。
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