記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/2
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
国立がん研究センターの調査によれば、
前立腺ガンは、男性のガンによる死亡者全体の約5%を占め、
最近では日本の前立腺がん罹患数は9万人超、
男性のガン罹患全体の約14%を占めています。
加齢とともにリスクが高まるがんの代表格であるため、高齢化社会の到来と食生活の欧米化で今後のさらなる急増が予測されています。
前立腺ガンは、罹患者の8割が65歳以上といわれる、高齢者のガンです。つまり、高齢化社会が進むほど、その罹患者数も増えていきます。さらに、日本は、戦後、食生活が劇的に変化し、前立腺ガンの大きなファクターである「動物性脂肪」を大量に摂取するようになりました。
前立腺ガンを予防することは、生活習慣病を予防することにもなります。バランスの取れた食事を心がけてください。
男性は誰もが前立腺を1つ持っています。膀胱の下にある栗の実ほどの大きさのもので、そのなかを尿道が通り、精液の分泌を主な役割とし、男性の性生活に重要な働きをします。
前立腺は年を取るにつれて大きくなりますが、50歳以上の男性の3分の2は異常をきたすことはありません。肥大化した前立腺が尿管を圧迫し、尿の問題を引き起こすことがありますが、これは前立腺肥大で良性の腫瘍です。
また、前立腺疾患として、前立腺炎があり、これは感染によって引き起こされ、排尿時に痛みを伴います。
前立腺の細胞が異常増殖し、ガンが発症したのが前立腺ガンです。イギリスでは、男性が最も罹患するガンであり、毎年11,000人以上が死亡し、肺がんに次いで2番目に多いガンの死亡原因となっています。
しかし、初期段階で見つかった場合、生存可能性は高く、90%が最低でも5年以上生存します。
前立腺ガンの初期は、自覚症状がまったくありません。
また、以下に紹介する前立腺ガンの症状は、他の前立腺疾患とも共通します。
・頻尿。特に夜間がひどい
・排尿困難
・力んで排尿したり、出し切るのに時間がかかる
・排尿時やセックス時の痛み
これらの症状がある場合は医師に相談してください。
70歳以上になると、前立腺ガンを罹患している男性の数も多くなるのですが、ほとんどの人に自覚症状はありません。
大多数の症例では、前立腺ガンは進行が遅く、症状や重度の問題を引き起こすことがないため、診断を受けないままになる可能性があります。放置しておくとガンが増殖し、転移することもあるので、なるべく定期的に検査を受けるようにしてください。
前立腺ガンは、年齢が上がるにつれてリスクが高まり、大半は50歳以上です。父親もしくは兄弟に前立腺ガンの患者がいる場合、そのリスクは、平均的な男性と比べて2.5倍、さらに60歳までに罹患した場合、そのリスクは4.3倍に上昇します。
また、黒人男性は、白人男性より前立腺がんを発症するリスクが3倍高く、原因はまだ究明中ですが、遺伝子が重要な役割を果たしていると考えられています。
現在、動物性脂肪の摂取量を減らし、果物や野菜をより多く食べることが、前立腺がん発症のリスクや進行を抑えるという研究結果が出ています。
前立腺ガンは、採血によるPSA検査で発見できます。不安や心配がある人は、病院で早めにPSA検査を受けてください。
前立腺ガンと前立腺肥大症は、加齢とともに増加する男性の病気ですが、発生する場所も性質も異なります。前立腺がんは悪性の腫瘍で他の臓器に転移することもありますが、前立腺肥大症は良性の腫瘍で転移はしません。しかし、どちらも高齢者の病気なので、両方が同時に発生することもあります。ここでは、前立腺がんについて紹介しました。では、前立腺肥大症の特徴はどういったものでしょうか?
50歳を過ぎたら要注意!知っておきたい 前立腺のこと その二→https://medicommi.jp/2552