尿道や性器のかゆみは膀胱炎じゃないかも?病院へ行くべき症状とは

2017/6/12 記事改定日: 2019/7/31
記事改定回数:3回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

膀胱炎は排尿時の痛みなどが起こる泌尿器疾患です。自然治癒することもありますが、再発を繰り返すと慢性化することがあるうえに、膀胱炎と思っていたら別の病気だったということがあるため、病院での治療が必要といわれています。

この記事では、病院へ行くべき膀胱炎の症状についてまとめています。この機会に、性器の痛みやかゆみを放置するリスクについてきちんと理解をしてください。

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膀胱炎とは

膀胱炎とは、尿路感染症の一種で、膀胱に炎症を起こし痛みや不快感などが起こる病気です。尿路とは、尿が作られ、溜められ、体外に排出するための通路のことで、以下の臓器で構成されています。

腎臓
血液をこしとり老廃物を集め、尿を作る
尿管
腎臓から膀胱に尿を運ぶ
膀胱
いっぱいになるまで尿を溜めておくことができる
尿道
排尿するときに尿を体外に排出するための管

膀胱炎は治療しないで放置すると尿路全体に拡がり腎臓にも悪影響を与えてしまうことがあります。

膀胱炎の症状にはどんなものがあるの?

膀胱炎には細菌が原因のものとそれ以外のものが原因のものがありますが、大腸菌などの細菌感染が原因のものが大半だといわれています。はっきりした症状が現れないこともありますが、主に下記のような症状が現れます。

排尿時の痛み(排尿痛)

膀胱炎になると、排尿するときに尿道口しみるような痛みを感じたり、下腹部に鈍痛や張りを感じるようになります。痛みは尿の出始めよりも、出し終わりや排尿後に強くなることが多いといわれています(排尿終末時痛)。

頻尿

おしっこが近くなり、トイレに行く回数が多くなります。膀胱炎の頻尿は1回の尿量が少なくなることが特徴です。ひどいときには10分間隔で排尿するようになることもあり、残尿感(尿がまだ残っているように感じること)を感じることもあります。

尿の濁り

尿が白く濁ったり、膿のようなものが混じるようになり、臭いもきつくなります。

血尿

膀胱粘膜の炎症がひどくなって粘膜から出血したり血がにじむようになると、尿に血液が混ざって「血尿」が出ることがあります。血尿は見た目ではっきりわかるものだけでなく、尿検査しなければわからない血尿(尿潜血)が出ることもあります。

膀胱炎は病院で治療しなければいけないの?

膀胱炎は、症状が軽いものであれば水分をたくさん取って排尿を促すことで自然治癒する場合もありますが、原因となる細菌を退治するには抗生物質の服薬が必要です。

また、膀胱炎と思っていたら別の病気だったということもあるので、排尿時の痛みや違和感がある場合は早めに病院を受診しましょう。

別の病気が原因のことも

尿道の違和感や尿道口にむずむずしたかゆみがあるときは、クラミジアが原因で尿道炎が起こっている可能性があります。また、トリコモナスやカンジダ腟炎で性器周辺のかゆみが起こることもあり、どちらも膀胱炎と似た症状が現れるため注意が必要です。

排尿時に不快感があったり性器周辺に違和感があるときは、病院を受診して原因を特定してもらいましょう

病院の検査が必要な症状とは

以下のような状態のときは、早めに病院を受診して適切な治療を開始しましょう。

  • 突然、尿意を我慢できなくなる
  • 頻繁にトイレに行きたくなるが、尿が少ししか出ない
  • 排尿後も残尿感がある
  • 尿に血液や膿が混ざっている
  • 尿が臭いがきつい。いつもと違う臭いがする
  • 尿をするときにひりひりと痛む
  • 発熱や寒気がある
  • 尿意はあるのに排尿できない
  • 背中、横腹、股間、生殖器周辺が痛む
  • 腟や陰茎から異常な分泌物が出ている
  • 吐き気、嘔吐
  • 泌尿器の症状が1~2日で改善しない
  • 妊娠していたり糖尿病に罹患していて泌尿器の症状が出ている

診察時の質問に正確に答える準備をしておこう

尿検査などの医学的な検査のほかにも、診察時の質問が診断に大きく関わってきます。より正確な診断をしてもらえるように、以下の質問に答えられるように準備しておきましょう。

  • 症状はどのくらい続いていますか
  • どんな症状ですか
  • 排尿時に痛みますか。痛みはどんな痛みですか
  • 尿意を感じているのに尿がほとんど出せないということはありますか
  • 放尿を制御できないことがありますか
  • 赤みがかかった尿やピンクの尿が出ますか
  • 白い膿のようなものが混ざった尿が出ることはありますか
  • 発熱はありましたか
  • 横腹やお腹の痛みを感じましたか
  • 吐き気や嘔吐がありましたか
  • 腟・陰茎から分泌物が出たり、かゆみがあったりしましたか
  • 新しいパートナーができたり、不特定多数のパートナーとセックスしていませんか
  • アナルセックスや不衛生な環境でセックスするなど、リスクの高い性行為をしていませんか
  • 過去に同じような症状がでたことがありますか
  • 上記の症状がでたのはいつごろで、どのように治療しましたか
  • 症状を招いた原因は思い当たりますか
  • 最近腹や骨盤、背中などをケガしましたか
  • 糖尿病などの持病はありませんか
  • 妊娠している可能性はありますか

診察や検査のときはどんなことをするの?

膀胱炎のような症状で病院を受診したときは、尿検査などの検査とあわせて診察時に病歴の確認が行われます。

女性の発症者の場合

女性の場合、以下の確認や検査が行われます。

  • 妊娠の可能性はないか
  • 生殖器に関係した病気や外傷の既往歴はないか
  • 骨盤感染や性感染症、尿道炎が疑われる症状はないか
  • 背中の下部、腹部、骨盤と下腹部が交わる場所のちょうど上に位置する部分を検査し、痛みや異常がないか
  • 腟や尿道から異常な分泌物は出ていないか

男性の発症者の場合

男性の場合、以下の確認や検査が行われます。

  • 前立腺の病気の既往歴
  • 生殖器、背中の下部、腹部に異常がないか
  • 前立腺肥大や炎症が起きていないかの確認(直腸診)
  • 尿道から異常に分泌物は出ていないか

おわりに:膀胱炎の症状があったら早めの治療を

膀胱炎は、頻尿や痛みなど生活に支障をきたす病気です。また、女性の多くが経験しているものなので、決して恥ずかしがることではありません。毎日を楽しんで暮らすためにも、気になる症状があったら、泌尿器科を受診しましょう。早めの受診が早めの完治につながります。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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