記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
膀胱炎は排尿時の痛みなどが起こる泌尿器疾患です。自然治癒することもありますが、再発を繰り返すと慢性化することがあるうえに、膀胱炎と思っていたら別の病気だったということがあるため、病院での治療が必要といわれています。
この記事では、病院へ行くべき膀胱炎の症状についてまとめています。この機会に、性器の痛みやかゆみを放置するリスクについてきちんと理解をしてください。
膀胱炎とは、尿路感染症の一種で、膀胱に炎症を起こし痛みや不快感などが起こる病気です。尿路とは、尿が作られ、溜められ、体外に排出するための通路のことで、以下の臓器で構成されています。
膀胱炎は治療しないで放置すると尿路全体に拡がり腎臓にも悪影響を与えてしまうことがあります。
膀胱炎には細菌が原因のものとそれ以外のものが原因のものがありますが、大腸菌などの細菌感染が原因のものが大半だといわれています。はっきりした症状が現れないこともありますが、主に下記のような症状が現れます。
膀胱炎になると、排尿するときに尿道口しみるような痛みを感じたり、下腹部に鈍痛や張りを感じるようになります。痛みは尿の出始めよりも、出し終わりや排尿後に強くなることが多いといわれています(排尿終末時痛)。
おしっこが近くなり、トイレに行く回数が多くなります。膀胱炎の頻尿は1回の尿量が少なくなることが特徴です。ひどいときには10分間隔で排尿するようになることもあり、残尿感(尿がまだ残っているように感じること)を感じることもあります。
尿が白く濁ったり、膿のようなものが混じるようになり、臭いもきつくなります。
膀胱粘膜の炎症がひどくなって粘膜から出血したり血がにじむようになると、尿に血液が混ざって「血尿」が出ることがあります。血尿は見た目ではっきりわかるものだけでなく、尿検査しなければわからない血尿(尿潜血)が出ることもあります。
膀胱炎は、症状が軽いものであれば水分をたくさん取って排尿を促すことで自然治癒する場合もありますが、原因となる細菌を退治するには抗生物質の服薬が必要です。
また、膀胱炎と思っていたら別の病気だったということもあるので、排尿時の痛みや違和感がある場合は早めに病院を受診しましょう。
尿道の違和感や尿道口にむずむずしたかゆみがあるときは、クラミジアが原因で尿道炎が起こっている可能性があります。また、トリコモナスやカンジダ腟炎で性器周辺のかゆみが起こることもあり、どちらも膀胱炎と似た症状が現れるため注意が必要です。
排尿時に不快感があったり性器周辺に違和感があるときは、病院を受診して原因を特定してもらいましょう。
以下のような状態のときは、早めに病院を受診して適切な治療を開始しましょう。
尿検査などの医学的な検査のほかにも、診察時の質問が診断に大きく関わってきます。より正確な診断をしてもらえるように、以下の質問に答えられるように準備しておきましょう。
膀胱炎のような症状で病院を受診したときは、尿検査などの検査とあわせて診察時に病歴の確認が行われます。
女性の場合、以下の確認や検査が行われます。
男性の場合、以下の確認や検査が行われます。
膀胱炎は、頻尿や痛みなど生活に支障をきたす病気です。また、女性の多くが経験しているものなので、決して恥ずかしがることではありません。毎日を楽しんで暮らすためにも、気になる症状があったら、泌尿器科を受診しましょう。早めの受診が早めの完治につながります。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。