膀胱炎はどうやって治療するの? 検査方法とともに解説します

2017/6/13 記事改定日: 2018/2/20
記事改定回数:2回

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

膀胱炎は、大腸菌を始めとする細菌が膀胱の中に侵入し、炎症を起こす病気です。この病気を発症すると、排尿に関するトラブルだけでなく、疲れやだるさを伴うことも多いので、仕事や日常生活に影響が及ぶ可能性があります。この記事では、病院で膀胱炎を治療するときにどんなことが行われるかについて解説します。

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膀胱炎の症状にはどんなものがある?

膀胱炎を発症すると、以下のような症状がみられます。

・頻尿(頻繁にトイレに行く、1回あたりの尿量が少なくなる、残尿感がある)
・排尿痛(排尿が終わる頃になると下腹部や尿道のあたりが痛む、ひりひりする)
・尿の濁り(尿が白っぽくなったり、膿のようなものが混在したりする)
・尿の臭いがきつい、悪臭がする
・血尿(尿に血液が混じっている)
・腰もしくはお腹が痛む
・発熱
・嘔吐
・悪寒
・疲労感
・性行為痛

身体の構造上、男性より女性のほうが膀胱炎を発症するリスクが高いと言われています。これは、女性は尿道が短く(3、4センチくらい)、開口部が肛門に近いため、細菌が膀胱内に侵入しやすいためです。

膀胱炎で病院に行くと、どんな検査をする?

膀胱炎かもしれない・・・と思ったら、泌尿器科を受診します。医師は問診をした後、膀胱炎かどうかを確認するために尿検査を行います。

尿検査

看護師から紙コップを受け取ったら、トイレに行って採尿します。採尿するときは、最初の3分の1から2分の1の尿は便器に流し、その後の尿(中間尿と言います)を採るようにしましょう。こうすると、尿道の常在菌や分泌物が尿に混入するのを防ぐことができます。採尿が終わったら、指定された場所にコップを置いてトイレを出ましょう。
検査結果はその場で分かります。医師が採取した尿を顕微鏡で確認し、細菌や白血球が増えていたら膀胱炎と診断します。

尿培養

膀胱炎の原因となっている細菌の種類や抗生物質(抗菌剤)の効果を確認するために、尿培養が行われることがあります。検査結果が出るまでに、3~4日かかります。

そのほかの検査

腎障害がある方や、1年以内に3回以上膀胱炎を発症している人は、以下のような高度な検査を必要とすることもあります。

・血液検査
・X線(レントゲン)、CTスキャンあるいは超音波検査(尿路に異常がないかを調べる)
・膀胱鏡検査(膀胱鏡を尿道から挿入して、膀胱と尿道を肉眼で確認する)
・経静脈性腎盂造影(X線検査のひとつで、造影剤を使って腎杯、腎盂、尿管、膀胱の働きを見る)

膀胱炎はどうやって治す?

検査の結果、膀胱炎だと分かった場合、どんな治療をするのでしょうか。

抗生物質(抗菌薬)の服用

膀胱炎は、膀胱内で細菌が繁殖したことによる炎症が原因で発症しているので、原因となる細菌を死滅させることが必要です。抗生物質(抗菌薬)を服用すると、3日以内に症状が改善し、5日ほど経てば症状がおさまります。
途中で服用をやめてしまうと、細菌が完全に死滅しないまま残ってしまうことがあります。症状が落ち着いていても、処方された抗生物質が残っている場合は必ずすべて飲み切ってください。
症状がよくなったらもう一度尿検査を行い、膀胱炎が治癒していることを確認することが必要です。万が一改善がみられなかった場合は、薬の種類を変えることもあります。

痛みがある場合

膀胱炎が原因で痛みがある場合は、痛み止めの薬を服用することもあります。

膀胱炎で手術することはある?

ほとんどの場合、膀胱炎で手術する必要はありません。ただし、膀胱炎の原因が腎臓結石や前立腺肥大による圧迫だった場合は、原因を取り除くために手術を行うことがあります。

妊娠中や産後に膀胱炎になった場合

妊娠中は大きくなった子宮が膀胱や尿感を圧迫するため、頻尿や残尿感といった症状が出やすくなったり、ホルモンバランスや自律神経が乱れて免疫力が低下します。このため、膀胱炎を発症しやすいと言われています。
また、産後も膀胱炎を発症しやすいと言われています。これは、出産時の負担で子宮の近くにある膀胱の神経が麻痺しやすくなったり、分娩時の会陰切開や裂傷の痛みで排尿時にお腹に力を入れられなくなったりすることが原因です。
膀胱炎の疑いを感じたら、できるだけ早く病院へ行き、妊娠中もしくは産後でも安心して服用できる抗生物質(抗菌薬)を処方してもらいましょう。

どうすれば膀胱炎を予防できる?

膀胱炎の再発を予防するためには、以下の点に気をつけることが大切です。

・いつもより多めに水分補給をして尿量を増やす(膀胱内の細菌が外に流れるのを促す)
・疲れやストレスをためないようにする
・睡眠をたっぷりとる
・トイレをガマンしない
・用を足した後は、前から後ろへ拭く(尿道に細菌が入るのを防ぐ)
・性行為の後は、必ずトイレに行って排尿する
・冷え性に気をつける(特に腰まわりを冷やさないことが大切)

おわりに:膀胱炎が悪化すると腎盂腎炎になることも。気になる症状があればすぐ病院へ!

膀胱炎は多くの場合、尿検査で簡単にわかりますし、抗生物質(抗菌薬)を服用すれば治ります。膀胱炎を放置すると、腰の痛みや40度近い発熱を伴う腎盂腎炎を発症してしまう恐れがあります。膀胱炎かもしれない・・・と思ったら、できるだけ早く病院で診てもらいましょう。

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