記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
膀胱炎は、頻尿や排尿時の痛みといった症状が現れる病気であり、男性に比べて女性の発症者が圧倒的に多い病気です。また、症状が治まっても再発を繰り返しやすい病気ともいわれています。この記事では、膀胱炎を繰り返してしまう原因と繰り返さないための予防方法について紹介していきます。
膀胱炎は、女性がかかることが多い病気です。これは、男性に比べて尿道が短く尿道口が肛門と近いところにあるため、大腸菌などの細菌に感染しやすいことが原因といわれています。
膀胱炎になると、排尿時の痛みや違和感、残尿感などが現れ、粘膜の炎症がひどくなると血尿が出ることもあります。
軽症であれば水をたくさん飲んで尿量を増やすことで回復することもありますが、症状が軽くなったからといって最後まで治療を続けないと、いつまでも再発を繰り返してしまう場合があります。
膀胱炎の再発を繰り返してしまう人は抗菌薬を飲む機会が多くなってしまうため、耐性菌(特定の抗菌薬が効かない細菌のこと)が増えてしまい治療が長期化してしまう場合があります。
膀胱炎がいつまでも治らないと、腎臓に細菌が拡がり腎盂腎炎を発症してしまうことがあるのです。腎盂腎炎は重症化すると命に危険が及ぶことがあります。
上記でも説明したように、抗菌薬を何度も繰り返し飲んでいる場合は細菌が耐性を持ってしまう場合があります。すると抗菌薬が効かなくなるため、繰り返し膀胱炎になってしまう場合があるのです。
また、膀胱炎は免疫機能が低下したときに起こりやすいので、生活習慣が乱れていたり、糖尿病など免疫系に影響が出る持病によって感染症にかかりやすくなっていることも原因と考えられます。
その他、遺伝的な要因や排便後の拭き方などが原因になることもあります。
もし自己判断で「膀胱炎」と決めつけているなら、尿路結石や膀胱癌、尿道腫瘍、神経因性膀胱などの他の病気が隠れている可能性があります。があります。すぐに病院を受診して適切な治療を受けるようにしてください。
膀胱炎の大半は、大腸菌などの細菌感染が原因といわれています。細菌は尿道から侵入するため、排便後「後ろから前へ」拭き取っていると感染しやすくなります。
子供のうんちの拭き方を「前から後ろ」に徹底していないと膀胱炎を繰り返しやすくなります。
また、子供がおしっこを我慢していたり、尿道口を頻繁にいじる癖がある場合も膀胱炎になりやすいので、そのような素振りがないかきちんと見守ることが大切です。
1年に3回以上膀胱炎にかかるようであれば、医師との相談のうえ特別な治療計画を立てる必要があるかもしれません。再発性の膀胱炎の治療方法としては以下のようなことが行われます。
・少量の抗菌薬を継続して飲み続ける
・性行為の後に、きちんと洗い抗菌薬を服用する(性行為は細菌感染の主要な原因の一つです)
・症状が現れるたびに、抗菌薬を飲む
・膀胱炎の兆候を感じたら、すぐに病院を受診する
自宅で行える尿検査キットもありますが、細かな診断ができるものではないので、時間がある場合は病院で検査してもらうほうがいいでしょう。ただし、あくまでも忙しい人が病院に行くべきかの目安として使うようにしてください。
簡易キットの検査結果が陽性だった場合や、結果は陰性だったけれど症状が続く場合は、すぐに病院を受診しましょう。
膀胱炎の再発を防ぐために、下記の予防策を普段の生活に取り入れましょう。
・尿意をもよおしたら、すぐにトイレに行く
・排便後は必ず前から後ろに拭く
・水分補給をしっかり行う
・性行為後は排尿し細菌が尿道に入って繁殖するのを防ぐ
・綿製の下着などを使用し、股部分に湿気がこもらないようにする
・ペッサリーや殺精子剤の使用をやめる(尿道付近の炎症を引き起こしている可能性があります)
・デリケートゾーン用の洗浄液の使用をやめる(尿道付近に刺激を与えている場合があります)
膀胱炎を繰り返してしまう理由は人によって様々です。治療は長期にわたる場合も多く、医師と連携しながらしっかり治療していきましょう。膀胱炎にかかってしまった人も、そうでない人も上記の予防策を行えば、膀胱炎になるリスクを減らすことができます。
膀胱炎を繰り返してしまったとしても、原因にあわせてしっかり対処すれば改善することがほとんどなので、医師の指示に従い最後まで治療を続けましょう。