記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
アセトアミノフェンは、風邪薬や痛み止めなど、多くの薬に使用されている成分です。今回は、アセトアミノフェンについて解説していきます。
アセトアミノフェンは、風邪薬などに含まれている解熱鎮痛剤です。アセトアミノフェンには、発熱を抑えたり痛みを止める効果があります。医療用医薬品としてはカロナール®という商品名が有名で、発熱や痛みで医療機関を受診するとよく処方されます。
一般医薬品として薬局でも購入することができます。アセトアミノフェンを主成分とした一般医薬品はいくつか種類があるのですが、タイレノールA®、ラックル®という名前で販売されています。解熱鎮痛効果があるので、他の総合感冒薬にも少量含まれていることも多いです。
下でも詳しく説明しますが、NSAIDsに比べると胃潰瘍などの副作用が少ないため、使いやすい薬です。
アセトアミノフェンと似たような薬に、エヌセイズ(NSAIDs)という非ステロイド系抗炎症薬があります。こちらも解熱鎮痛剤ですが、アセトアミノフェンとの違いとして、NSAIDsには強い抗炎症効果があります。
NSAIDsは解熱鎮痛に関して強い効果が期待できる一方で、副作用も多いです。一番問題になるのは、胃潰瘍です。NSAIDsによる胃潰瘍を予防するために、数日続けて飲むような場合には胃薬も一緒に処方されます。NSAIDsの他の副作用として、胎児の動脈管を閉鎖させてしまう危険性があり、妊娠中は使えません。
その点、アセトアミノフェンは副作用が少なく、使いやすいです。常用量であれば妊婦に対しても安全に使用することができます。
ロキソプロフェン(ロキソニン®)やイブプロフェンといったNSAIDsに比べると、アセトアミノフェンは副作用が少ないため使いやすいです。NSAIDsに比べると解熱鎮痛効果が弱いと考えられがちですが、適切な量を使用することでしっかりと効かせることもできます。
医療機関ではまずアセトアミノフェン(カロナール®)を使って、効かなければロキソプロフェンやイブプロフェンが使われることも多いです。
また胃潰瘍になりやすい人、腎機能が悪い人、高齢者、子ども、妊婦ではNSAIDsが使えなかったり、使いにくいので、アセトアミノフェンがよく使用されます。
アセトアミノフェンの副作用には肝障害があります。特に大量服用したときに肝障害が起きる可能性があるので、医師や薬剤師の指示の下、適切な量を服用しましょう。
またアナフィラキシーが起こることがあります。アセトアミノフェンを飲んでしばらくして、体にじんま疹やかゆみなどの症状があらわれたときは、すぐに医療機関に相談しましょう。
アセトアミノフェンを主成分とした一般市販薬には、例えば以下のものが挙げられます。
・タイレノールA®
・ラックル®
・小児用バファリン チュアブル®
・ノーシン錠® など
アセトアミノフェンは、比較的副作用が少ない薬ではありますが、副作用がまったく起こらないというわけではありません。必ず容量用法を守って服用し、副作用と思われる症状が現れたときは、すぐに医師に相談しましょう。