記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/26 記事改定日: 2018/4/12
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
下痢や嘔吐がひどくなったときに、いちばん気をつけなくてはいけないのが脱水症です。
脱水症は早期に対処しないと深刻な状態に陥ってしまう可能性があります。
この記事では、下痢で脱水症になったときの水分補給と早期発見のために注意することを解説していきます。
脱水症は誰にでも起こりうる身近な緊急事態です。この機会に正しい知識を身につけましょう。
下痢や嘔吐が続くと、摂取する水分よりも失う水分が多くなり、体が正常に機能するために必要な水分が体内になくなる、脱水症状になります。脱水症状がひどくなると、腎臓の機能に障害を起こすこともあります。
特に子供と高齢者には危険ですので、初期症状を見逃さないように注意しましょう。
下痢や嘔吐で、以下の兆候がみられたら、脱水症状が進んでいます。
下痢や嘔吐の兆候があったら、失われた水分と電解質を補給する必要があります。
どれだけの水分を補えばよいのかは、どれだけの水分が失われたかによります。
なお、心臓疾患などをお持ちの方や透析をしている方などは水分の摂取量を制限する必要があるため、医師に、脱水症状を予防するためにはどれぐらいの量の水分を摂ればよいのかを確認しましょう。
吐き気がある場合は、水分を飲むことは難しいかもしれません。できる限り頻繁に少量の水分をすするようにしましょう。氷やアイスキャンデーを舐めることも、水分摂取に役立ちます。
経口補水液は、水分と電解質を素早く腸から吸収できるように、ブドウ糖とナトリウムの濃度が調整されています。脱水の際には、水分と電解質を含んだ経口補水液を摂取するようにしましょう。
経口補水液の摂取は、医療機関を受診して点滴を受けるのと同じくらい水分と電解質を補給する効果があるといわれています。
市販のものがない場合には、ご自宅で簡単に作ることができます。
これらの材料をかき混ぜれば完成です。
その他、お好みでグレープフルーツやレモン果汁を加えてみてください。
また、それでも飲みづらいと感じられる方は、氷やゼリータイプのものがおすすめです。
高齢者は脱水症状になるリスクが高いといわれています。喉の渇きに対して若い人よりも鈍感になっていることが原因と考えられています。それに加えて、水と塩分のバランスを取る体の能力が弱っているため、危険性が高まります。
下痢や嘔吐がある高齢者は、24時間以内に最低でも1.7リットルの水分を摂る必要があるといわれています。これは230mlのグラスで7杯の量です。液体状の食事代替食品を摂ることも推奨されています。
乳幼児や子供は、大人よりも水分を失いやすいといわれています。
これは、細胞の周りに水分が多いことで水分が移動しやすいことや、体重あたりの水分量が多いことなどが原因としてあげられます。
また、特に赤ちゃんは喉が乾いたということを周りの大人に言葉で伝えることが難しいため、気づかないうちに脱水症状に陥ってしまうことも多いでしょう。
水分が失われることによって血液循環が悪くなり、体内のミネラルも失われることで
食欲低下や倦怠感、嘔吐などがみられるようになります。
さらに脱水が進行していくと臓器の障害を引き起こす場合もあるため、まずは子供が脱水になりやすいことを心に留めておき、下痢や嘔吐があるときには脱水の兆候を見落とさないようにしましょう。
脱水症状のために医療機関を受診しなければならない場合とは、どんなときでしょう?
脱水症状が深刻な場合は、医師の診察を受け、輸液で治療する必要があるかもしれません。ひどい脱水症状になった場合、病院で治療が必要なこともあります。
もし以下のような症状があれば、すぐに病院に行きましょう。
熱があったり、下腹部や直腸に痛みがあったり、便が黒かったり、タール状であったり、脱水症状の兆候が出ているときも、すぐに医師の診察を受けましょう。
脱水症になると水分や電解質補給が必要となりますが、経口補水液など水分の摂取が難しい場合に行われ、速効性があるのが輸液療法です。点滴とは、輸液を点滴静注で投与することをいいます。また体重減少が5~10%程度ある場合は、点滴での水分や電解質補給が必要と考えられています。
点滴には、生理食塩水や乳酸リンゲル液、5%ブドウ糖液などさまざまな種類があります。
生命危機を脱するために、まずは生理食塩水などによって急速に水分補給をし、その後、医師の判断のもと、必要に応じて体内から失われた成分などに合った輸液を補給することになります。
脱水症状のときは、水分と電解質の補給が重要です。いざというときのために経口補水液は常備しておくようにして、緊急時のために作り方も控えておきましょう。
また、脱水症は早期の対処が重要になります。病院へ行くべき症状については記事内で説明していますが、疑わしい様子がある場合ははっきりした症状が出てない状態でも、医師に相談しましょう。