睡眠障害の症状と治療 ~ 眠りたいのに眠れない、不眠症ってなに!? ~

2017/8/16

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

前回の記事では、不眠症の症状やその原因などについてみてきました。この記事では、不眠症を含んだ睡眠の問題についてまとめます。

睡眠の問題は、命に危険が及ぶこともあります。しっかり読んで、健康で快適な睡眠をめざしましょう。

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不眠症を含む睡眠障害の症状

慢性的な不眠症の人とは異なり、急に眠ってしまうなどの症状のある「過眠症」の人もいます。そして、その一部が精神的な問題を抱えているとされ、その中のおよそ85%の人が、以下3つの症状(閉塞性睡眠時無呼吸、ナルコレプシー、ミオクローヌス)のどれか1つを持っていると考えられています。

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は呼吸障害です。多くが、喉の後ろが部分的にふさがることが原因で発症します。

閉塞性睡眠時無呼吸は、高血圧を抱える太りすぎの中年男性に多く見られ、その特徴は非常に大きないびき(隣にいる人を起こしてしまうくらいの大きさ)です。

ナルコレプシー

ナルコレプシーは、日中の「睡眠発作」です。75%の症例でみられ、突然筋肉の緊張が失われるという症状が起こります。また、ナルコレプシーの患者の中には、入眠時に奇妙な幻覚を見たり、目が覚めているときに筋肉麻痺がある人もいます。

ミオクローヌス

ミオクローヌスは、睡眠中にふくらはぎの筋肉が異常なけいれんを起こすもので、過眠症の約10%を占めています。

概日リズム障害

概日リズム障害は、一般的な「時差ぼけ」症候群や、不規則なシフト作業(仕事中のトラブルが原因であることが多い)のせいで、入眠が遅すぎたり、早く目覚めすぎたりすることなどが原因で発症するといわれています。

夢遊病を起こす睡眠時髄伴症の症状

睡眠時髄伴症は、正常な睡眠リズムが歪められたり、中断されたことで起こる障害です。

たとえば、ノンレム睡眠と呼ばれる深い睡眠の段階で、夢遊病が起こることがあります。そして、異常なレム睡眠(体は深く眠っているのに脳が活発に動いている状態)、つまり夢を見ているような状態のときに、激しく動いたり、乱暴な行動をしたりします。

睡眠障害の症状が続く場合は?

睡眠の問題が長く続く場合は、 病院で検査してもらいましょう

病歴を確認しただけで問題を特定できるケースもありますが、通常は睡眠ポリグラフと呼ばれる夜通しかかる検査が必要になります。これは、呼吸、脳波の活動および筋肉の動きを測定する検査です。

不眠症など睡眠障害の治療

睡眠障害の治療は、その症状によって変わります。

一次不眠症の治療

一次不眠症の場合、睡眠習慣を改善することが重要です。

定期的に睡眠時間を確保したり、眠れないときはベッドから出たり、夜、カフェインやアルコールを控えたりしましょう。

閉塞性睡眠時無呼吸の治療

閉塞性睡眠時無呼吸の治療は、減量、就寝時に特別な呼吸装置を使う場合や、上気道の閉塞を矯正するための軽い手術をする場合があります。

ナルコレプシーの治療

ナルコレプシーの治療は、投薬が必要になります。

重度の、慢性的な不眠症の治療

重度の、慢性的な不眠症を抱える患者の中には、睡眠を誘発する薬が有益とされています。しかし、これらの薬(ダルメートやハルシオンなど)の中には習慣になってしまうものがあるため、通常は服用期間を数週間に制限するのが一般的です。

潜在的な精神障害と不眠症の治療

潜在的な精神障害が睡眠障害の要因になっている場合、投薬と精神療法の両方が必要になる場合があります。

おわりに:不眠症だけでない、睡眠障害の症状はさまざま

不眠症が睡眠障害の1つであり、睡眠障害には眠れなくなる障害もあれば、過眠症とよばれる急に眠ってしまう障害もあります。いずれにしても、睡眠不足や日中の寝落ちは、日常生活に大きな影響を及ぼすので、しっかり治療して、快適な毎日を過ごせるようにしましょう。

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