記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
「ストレス」という言葉は日常でも頻繁に使われる言葉でありますが、実際にストレスでどのような症状が起こるかを知っていますか?
この記事では、ストレスが原因で起こる心身の変化など「ストレス症状」について解説していきます。ストレスは早めの対処が重要なので、早期発見に役立ててください。
「ストレス」とは、肉体・精神への刺激に対して起こる体の反応です。自分が脅かされていると感じると、体が防御反応を起こし、心拍の上昇や呼吸の早まり、筋肉のこわばりなどを通して危険が迫っていることを伝えようとします。
ストレスの原因は人によってそれぞれ異なるため、ある人のストレスの原因となっているものが、別の人にとってはほとんど問題にならないことも多いです。また、ストレスは悪影響を及ぼすだけではありません。適度なストレスが、日々の活力となっていることが明らかになっています。
「ストレス」という言葉はもともと物理の分野で使われていたもので、物体の外側からかけられた圧力によって歪みが生じた状態を言います。外側からかけられた圧力のことを「ストレッサー」と言い、ストレッサーによって風船が変形する状態を「ストレス反応」と言います。
これを医学や心理学の領域に当てはめると、こころや体にかかる外部からの刺激が「ストレッサー」で、ストレッサーに適応しようとして、こころや体に生じたさまざまな反応のことが「ストレス反応」となります。
感情、振る舞い、思考力、身体的健康など、ストレスは人生のすべての側面に影響を与え、以下のようなさまざまな症状になってあらわれます。
ストレス状態がまだ軽いうちは、特に症状となって現れることはありません。しかし、慢性的なストレスにおびやかされ続けると、以下のような深刻な病気を引き起こしてしまう恐れがあります。
ストレスにうまく対処できないと、ストレスを増幅させて心身に異常をきたしてしまう恐れがあります。このため、ストレスを緩和するためにいろいろな対処法を試みようとします。この、ストレスに対処する行動を「ストレスコーピング」と言います。
ストレスコーピングには、以下の2種類あります。
また、日ごろからストレス解消につながる趣味を持ったり、どんなことでも気軽に相談できる人を見つけたりすることも大切です。
ストレスは心身に様々な不調を引き起こします。中にはできるだけ早く治療をしないと、重篤な状態になったり、治療が難しくなるケースもあります。また、ストレスからくる症状と思いきや、思わぬ病気が背景にあることも少なくありません。
抑うつ気分・不眠・食欲低下などの症状が続く場合はうつ病などの気分障害を発症している可能性があり、早急な対処と治療が必要な状態と言えます。また、倦怠感や気分の落ち込み、集中力の低下などどともにむくみや体重増加などの症状がある場合には甲状腺機能低下症を発症していることもあります。
このように、ストレスから来ると思われがちな症状が続く場合は思わぬ病気が関与していることがありますので、放っておかず早めに病院で相談するようにしましょう。
ストレスは完全になくそうとするよりも、コントロールすることに力をいれましょう。ただ、ストレスを解消には、お酒やたばこのような不健康なものではなく、体を動かすような健康的なものがおすすめです。
自分にふさわしいストレス解消法をさがしながら、ストレスによる不調がみられたときは、早めに医師や専門のカウンセリングを受診してください。