記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/1
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
あなたやあなたの子供が喘息になったら、その原因を知りたいですよね? 喘息を起こす原因は何でしょうか? 今回は、喘息の原因と症状が起こるきっかけについて解説します。
気管支喘息(以下、喘息)の原因は今のところはっきりしておらず日々研究され続けています。ただ、喘息がある人は特定のトリガーに反応して炎症を起こし、気道が狭くなり、さらに粘液の分泌が増加するため発作を起こすことはわかっています。遺伝、スイミングプールの塩素、大気汚染、現代の衛生基準など、さまざまな要因が考えられていますが、現在のところ喘息のはっきりとした原因は明らかになっていません。
喘息はすべての年齢で起こりうる疾患ですが、多くの場合、小児期に始まります。喘息発症の可能性を高める要因として、以下が考えられています。
・湿疹、食物アレルギーまたは花粉症、または家族に関連アレルギー状態のある状態
・アトピーなど、他にアレルギーを持っている
・子供の頃に細気管支炎に罹患した
・子供の頃にたばこの煙に曝露した(親が喫煙者だった)
・妊娠中の母親の喫煙
・出生時に早産または低出生体重だった
喘息の原因が、職場で取り扱う物質に関連していることもあります。このタイプの喘息は職業性喘息といわれており、作業中に定期的に喘息の原因となる物質にさらされると、職業性喘息発症リスクが高くなる可能性があります。職業性喘息の一般的な原因とされているものは、次のとおりです。
・イソシアネート(スプレー塗料でよく使われる化学物質)
・粉塵
・コロホニー (はんだフュームでよく見られる物質)
・ラテックス
・動物
・木粉
塗装屋、パン屋、パティシエ、看護師、化学薬品を取り扱う職についている人、動物の飼育員、溶接工、食品加工労働者、木材作業員は、特にアレルギーを起こす物質にさらされるリスクが高いとされています。
成人では男性よりも女性の方が喘息を発症することが多いといわれています。性ホルモンが喘息の原因になるかどうかは明らかにはなっていません。
呼吸器感染症などのリスクがある幼児では、6歳以上になると喘息を発症のリスクが高くなるとされています。他の危険因子としては、アレルギー、アトピー性皮膚炎、両親が喘息を持っていること、などがあります。子供の中でも、男の子は女の子よりも喘息の割合が多いとされています。
喘息症状は喘息を起こす何かのきっかけで起こることが多いです。一般的な喘息のきっかけとなる原因は以下のとおりです。
・風邪やインフルエンザなどの上気道感染症
・花粉、ダニ、動物の毛皮、羽毛などのアレルゲン
・タバコの煙、汚染物質などの空気中の刺激物
・アスピリンとイブプロフェンを含む非ステロイド性抗炎症薬と呼ばれる鎮痛剤とベータ遮断薬などの医薬品
・ストレスや笑いすぎなどの強い感情
・亜硫酸塩(漬物、ワイン、ビール、ドライフルーツによく含まれる)、タルトラジン(黄色の食品着色料)などの食品添加物
・急激な気温の変化、冷たい空気、風の強い日、雷雨、暑さ、湿気などの天候
・床材の湿気、カビ、化学薬品などの室内条件
・運動
・ナッツやその他の食品アレルギーなどの食物アレルギー
喘息が起こるきっかけが分かったら、喘息の症状をコントロールするために、それらを避けるようにしましょう。
研究者たちが喘息を引き起こす原因として研究している理論に「衛生仮説」があります。この理論は、清潔さに重点を置いた私たちの西洋の生活様式が、幼少時の生活環境を変え、子供が小さいときに感染する機会を減少させたというものです。現在の多くの子供が過ごす環境や、抱える感染症は、これまでの子供達とは、もはや同じ種類のものではなくなってきています。子供の頃に微生物に「晒されなさすぎる」ことで、幼児期の子供の免疫系の教育が不十分となり、アトピーや喘息のリスクを高める可能性があると考えられ、特に、喘息やアトピーのどちらか、または両方を家族や親戚が持っている場合に顕著にみられるといわれています。
喘息の原因はまだわからず、解明のため日々研究が進められている現状です。喘息発症のリスクを減らすために、まず喘息を発症させるきっかけとなるものを避けるようにしましょう。そのためには、喘息を起こすきっかけが何かを知ることが必要になります。そして喘息は完治させることができないものの、症状を抑え続けることができる病気であることを念頭におき、日々を過ごすようにしましょう。