記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
ストレスは心への影響が大きいですが、時間とともに肉体にも影響しはじめ、あらゆる病気を引き起こす原因になる可能性があります。ここでは、日常生活で特にストレスが多いとされる”職場のストレス”にスポットを当て、その対処の仕方をご紹介します。
職場のストレスとうまく付き合うには、ストレスの元となるものを特定する必要があります。
1~2週間、身体的、精神的、または感情的にネガティブにさせた状況、出来事、人に出くわした際に、記録するようにしてください。各状況の簡単な概要に加え、以下の項目についても記録しましょう。
・ どこにいた?
・ 誰が関わっていた?
・ そのときの自分の反応は?
・ どのように感じた?
この記録をもとに、ストレスの元を検証しましょう。失業の恐れや特定の人やプロジェクトでの障害など、ストレスの明らかな原因が分かるでしょう。また、大きなストレスではなくても、長い通勤時間や職場が居心地よくないなど、一見小さなことと思えるようなことが原因になっているかもしれません。
ストレスの原因が特定できたら、原因となる状況や出来事への対処法を考えてみましょう。
たとえば、子どものお迎えのために毎日早く退勤していることによる「仕事が遅れ」がストレスの原因だとします。その場合、他の子供の両親や近所の人たちに、車で一緒につれて帰ってもらえるよう相談できるかもしれません。または、出社時間を早めたり、ランチ時間を短縮したり、家に仕事を持ち帰ることでも対策できるでしょう。
ストレスの原因に対処することに加えて、時間管理スキルを向上させることが、仕事中に感じるプレッシャーの軽減につながる場合もあります。
時間管理スキルを向上させるには、以下の方法があります。
現実的な期限を設定するために、同僚やリーダーと協力しましょう。定期的に進捗状況を確認することで、必要に応じて目標を微調整することができます。
タスクのリストを作り、優先度を設定しましょう。リストを確認しながら、優先順位の高いタスクから処理するようにしてください。
特に重要で困難なプロジェクトの場合は、作業するための時間を確保するようにしましょう。また、大きなプロジェクトは作業を小さなステップに分割するとスムーズに進みやすくなることが多いです。
仕事に関するストレスを抱えている人の中には、自分の人生が仕事に奪われているように感じている人もいるでしょう。客観的な視点を持ち続けるために、以下を参考にしてください。
職場で直面している問題について、信頼できる同僚や友人と話し合う機会を作ってください。自分と違った考えが聞けたり、対処のためのアドバイスをもらえるかもしれません。場合によっては、ストレスの原因になっていることについて話すだけでも、心が落ち着くこともあります。
職場での休憩時間を最大限に活用しましょう。忙しい勤務時間中に、プライベートの時間を数分取るだけでも、気分転換になります。
同様に、2週間の長い休暇であっても、通常の週末の休みであっても、できる限り休む時間をとりましょう。自宅で仕事関係のメールをチェックしないようにしたり、携帯電話の電源を切る時間を決めるなど、仕事について考えない時間を作るように工夫してください。
いっぱいっぱいになってしまわないように、読書したり、友人と遊んだり、趣味に没頭したりなど、心から楽しめる時間を確保しましょう。
自分の健康に注意を払いましょう。毎日適度な運動を心がけ、十分な睡眠と健康的な食事がとれるように努めてください。
これらの方法を試みても、ストレス解消の効果が見られない場合は、すぐに専門家に相談しましょう。職場によっては、カウンセラーが在籍するところもあります。カウンセリングを通して仕事のストレスへの対処法を学ぶことも大切です。
いかがでしょうか? 周りの人たちと協力し合いながら物事を進めないといけない“職場”は、ストレスの宝庫と言ってもよい環境ではないでしょうか。
悩みの深さには個人差があるでしょうが、職場ではさまざまなストレスとうまく付き合っていかなくてはいけません。
もしあなたが、日頃たくさんのストレスを感じているなら、このコラムを参考に、もう少し楽にすごせるように工夫してみてください。