記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
一度習慣になってしまうと、なかなかやめられないのがタバコです。実際、禁煙に失敗したことのある人はかなり多いのではないでしょうか。次こそ禁煙を成功させたい方々のために、おすすめの方法をご紹介します。
ニコチン置換療法(ガム、トローチ、吸入器、パッチなど)は、禁煙スタート時に広く用いられる禁煙方法であり、禁煙の成功率も高まるといわれています。ニコチン置換療法には様々な方法がありますが、どの方法にも一定の効果が見込まれており、また、副作用も起きにくいという点でも優れた方法といえるでしょう。喫煙衝動はいつでも起きる可能性があるため、外出中や旅行中は常にガムや他のタイプのNRTを携帯することをおすすめします。
バレニクリンは喫煙衝動を抑制する処方薬です。禁煙外来を受診すれば処方してもらうことができます。受診の際には、医師に病歴や服用中の薬、これまで経験した禁煙薬による離脱症状なども伝えるようにしてください。病歴や健康状態によっては、バレニクリンが服用できなかったり、量を制限したりする必要がある可能性もあります(うつや心臓病、腎臓疾患の既往歴のある人、妊娠中や授乳中の女性などが該当します)。
また、バレニクリンには様々な副作用もあるとされています。特に注意すべき副作用は、精神障害に関連した症状です。敵意、興奮状態、うつ病、自殺思考や自殺行為など、行動や気分に変化が見られることがあります。このような変化が見られた場合は、薬物の服用を中止し、直ちに医師に連絡してください。また、精神障害以外にも、アレルギー性皮膚反応などの副作用が現れることがあるため、服用前に医師と十分相談することをおすすめします。
カウンセリングとニコチン置換療法、または禁煙薬の服用とニコチン置換療法などの併用療法は、多くの喫煙者にとって効果的な禁煙方法といわれています。
カウンセリングとほかの治療法の併用にはメリットしかありませんが、ニコチン置換療法と禁煙薬の併用については、副作用が重くなったり、相互作用が現れたりする可能性があるため、治療前に医師とよく検討する必要があるでしょう。
ニコチン中毒の最大の問題点は「タバコがないと不安になるから」「喫煙の快感が忘れられないから」「喫煙している家族や友人からの圧力があるから」といったタバコとの心理的なつながりにあります。つまり、長期的に禁煙を成功させるには、タバコやニコチン置換療法に頼らずに、感情やストレスを管理する方法を身につけることも重要なのです。
自分の力だけで禁煙することは簡単ではありませんが、不可能なことでもありません。自力で禁煙を成功させるコツを、以下でご紹介します。
運動や瞑想といったストレス管理方法は禁煙への志向を高め、長期的な禁煙の成功に重要な役割を果たすと考えられています。
お酒やコーヒーの飲みすぎなど、特定の生活習慣は再びタバコを吸う可能性を引き上げると考えられています。食生活を管理して体重増加を予防し、アルコールやカフェイン摂取量を減らすことで、再び喫煙するリスクを抑えましょう。
誕生日やその他の転機など、意味のある「禁煙日」を設定しましょう。週末に喫煙しがちな場合は月曜日の朝から、職場でよくタバコを吸う場合は金曜日の午後から、禁煙をスタートさせるといいでしょう。
漠然とお祈りするだけでは禁煙を成功させることはできません。タバコが吸いたくなったらどう対処するか、タバコを吸いたくなる状況を予測し、現実的な対処方法を考えておくことが大切です。
禁煙するのはあなた自身ではありますが、周囲の人からの協力や励ましを得ることで、辛い禁煙も乗り越えやすくなります。禁煙を決意したときは、周りの人に報告することから始めてみるといいかもしれません。
バレニクリンなどの禁煙補助薬やニコチン置換療法を活用するのも有効な禁煙方法ですが、最終的にはこういったものに頼らず、自分で喫煙衝動をコントロールする方法を身につけることが、禁煙成功のためには欠かせません。食生活の改善や運動など、できることから始めていってください。