記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
マスターベーションをすると失明する、精神異常になる、にきびになる、手のひらから毛が生えるななど、マスターベーションにまつわる都市伝説には様々なものがあります。この記事では、そのような怪しい噂話に惑わされないためにマスターベーションの正しい知識をお届けします。
マスターベーションとは、自分の性器に触れて性的な快感を得ることです。男性も女性もマスターベーションできます。
ひとりでするのが一般的ですが、パートナー同士がお互いにマスターベーションを相手に見せながら性的快感を得るやり方もあります。
一緒にマスターベーションすることを楽しむカップルも多くいますが、もちろんそうしなくてもかまいません。マスターベーションは好きなやり方で楽しみましょう。
マスターベーションに正しい、あるいは間違った方法はありません。一般的には、男性は陰茎をこすり、女性は、陰核(クリトリス)と腟周囲に触れたりなでたりします。
クリトリスとは、腟の入り口の前にある小さく柔らかい突起です。非常に敏感で、触って刺激することで性的に強い快感を得ることができます。ほとんどの女性は、セックスやマスターベーションの最中にクリトリスを刺激することでオルガスムに達します。腟の中に指を入れてオルガスムに達するどうかは個人差があります。
マスターべーションをすることは異常なことではありません。
マスターベーションは気持ちよくなれるだけではなく、自分の性的な好みを知るためにも役立ちます。男性はマスターベーションで自分のオルガスムのコントロール方法を身につけることができますし、女性はマスターベーションをすることで、どうしたらオルガスムに達しやすくなるかを知ることができます。特に女性の場合は、マスターベーションをすることで、セックスのときにオルガスムに達しやすい身体に変化していくといわれています。
射精とは、男性がオルガスムに達した結果、陰茎から精液を放出することです。通常約5mlほどの液体が出ますが、特に射精しない期間が長かった場合などには多くの精液が貯まっているため、射精量はさらに多くなることもあります。女性が「潮を吹く」ことがありますが、これは男性の射精とは全く違うものです。女性の潮吹きはオルガスムに達することで必ず起こるわけではなく、起こる頻度はとても低いです。
マスターベーションは、清潔な環境で適切な力加減で行ううえでは安全です。マスターベーションで妊娠することや性感染症にかかることはほぼないため、他者とのセックスと比較すると極めて安全性が高いといえるでしょう。
ただし、他人の性器に触った後に自分の性器に触ると感染のリスクがあります。
また、性感染症にかかっている人と大人のおもちゃを共有すると、感染するおそれがあります。大人のおもちゃは清潔に保って使用しましょう。大人のおもちゃを共有する場合は、使う人が変わるたびに洗ってください。可能ならばコンドームと使ってもかまいません。
マスターベーションの力加減が強すぎたり、性器を乱暴に粗雑にいじったり、鋭利なものなど体に傷がつくような物をつかったりすれば、痛んだり傷やあざができたりすることはあります。
でも、適切な力加減でマスターベーションしていれば、怪我をすることはないでしょう。
男性で「陰茎をだめにしてしまうのではないか」と心配される方もいるようですが、マスターベーションで陰茎に損傷が起こることは非常にまれなことです。
勃起した陰茎を激しくねじるようにマスターベションすれば陰茎が損傷することもありますが、一般的なマスターベーションであればそのようなことは起こらないでしょう。
脳出血やくも膜下出血のような脳血管系のトラブルは、死亡例にもつながる深刻な状態です。脳血管系のトラブルは、血圧の急上昇が原因で起こることがあります。セックスやマスターベーションのように性的興奮が高まる行為は急激な血圧上昇につながるため、リスクがあることは確かです。
ただし、これはセックスやマスターベーションに限らず、入浴や急激な温度変化、激しい運動でも起こる可能性があるものであり、マスターベーションが特別リスクが高いというわけではありません。動脈硬化などにならないように日頃から食生活に気をつけ健康的な生活習慣を送るようにして、リスクを下げましょう。
マスターベーションが男性の精子生産能力に影響を与えることはありません。
男性の体内では常に精子が生産されています。そのため、マスターベションをしても精液を使い果たすということはないのです。
射精した後、再び射精するまでに時間がかかりますが、これは正常なことです。精子に何か問題があるというわけではありません。
マスターベーション自体は無害です。ただし、あまりにもたくさんすると性器が痛むかもしれません。また、短期間に何回もすると陰茎に浮腫(むくみ)が生じることがあります。
腫れは1~2日で消えますので大半は問題になることはありませんが、もしマスターベーションへの欲求が日常生活を妨害していると感じる場合には専門医に相談しましょう。
マスターベーションすることは異常なことではありません。とても自然な行為です。感染や過度な頻度にさえ気をつければ、行為自体になんの問題もありません。気にせずマスターベーションを楽しんでください。