足底筋膜炎を治療する方法にはどんなものがある?

2017/8/22 記事改定日: 2018/6/15
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

足底筋膜炎はかかとの裏に痛みが生じる炎症で、陸上競技などのスポーツ選手やランナー、長時間の立ち仕事をする人などに発症する傾向が高いです。
足底筋膜炎にはどのような治療法があるのか、この記事でご紹介します。

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足底筋膜炎の原因と症状とは!?

足の裏にはかかとの骨から足指の付け根までを覆う足底腱膜(そくていけんまく)という腱があります。
その足底腱膜が物理的なストレスによって炎症を起こした状態が「足底筋膜炎」です。

歩行時の床からの衝撃や、歩くときに土踏まずが浮き沈みする動きなどによって足底腱膜が圧迫され、足底腱膜とかかとの骨の接続部に痛みが生じます。

症状

足底筋膜炎の典型的な症状は、歩きはじめに発生するかかとの裏の痛みです。
症状が悪化すると長時間の歩行や立っているときにも痛みが強くなります。
足底筋膜炎は陸上競技などのスポーツ選手やランナーなどに発症することが多いですが、歩き回る仕事や立ち仕事をする人にもよく見られます。

足底筋膜炎の治療法 ― 病院ではどうやって治療するの

足底筋膜炎の多くは、足に過度な負担をかけずに過ごし、消炎鎮痛剤の内服や湿布剤を使用することで改善します。また、足裏のアーチ構造を正常に維持するためにテーピングや装具の着用がすすめられることも多いです。
リハビリとして足底部に低周波やレーザーを当てる治療が行われることもあり、近年では体外衝撃波療法が有効であるとの報告もあります。

しかし、踵の骨に出っ張りがあって、筋肉や腱にダメージを与えているようなケースでは保存的な治療で改善しないことも多く、再発を繰り返すことがあります。このような場合には骨の出っ張りを取り除いたり、ダメージを受けた腱を修復する手術が行われることもありますが、非常に稀なケースであるといえます。

治る期間はどのくらい

治療期間は症状の程度によって異なりますが、一般的には完全に痛みがなくなるまでに長い時間を要することが多いとされています。
保存的治療の多くは2~3か月ほどかかることが多く、体外衝撃波療法は薬物療法よりも治療効果が早く現れ、2、3日ほどでも痛みの軽減が実感できることもあります。
一方、手術による治療は保存的治療よりも長い時間を要し、手術を終えてリハビリが完了するまでには半年以上かかることも少なくありません。

足底筋膜炎のセルフケア

マッサージやストレッチ

足底腱膜とアキレス腱のストレッチやマッサージを積極的に続けることで痛みを緩和することができるといわれています。
以下におすすめの方法をご紹介します。

足底腱膜のストレッチ
足の指を両手でつかんで手前へ引き付け、足底腱膜を伸ばした状態を20〜30ほど秒維持します。
このストレッチを1セットとし、朝・昼・夜に分けて3セット×3回行うと良いでしょう。
アキレス腱のストレッチ
立った状態で身体の後ろへ片足ずつ踏み込んで膝を曲げて前に体重をかけ、ふくらはぎを伸ばしていきます。
上記の姿勢を20~30秒維持しましょう。
このストレッチも朝・昼・夜に分けて3セット×3回の実施がおすすめです。
ふくらはぎのマッサージ
意外なようですが、足裏を直接マッサージする方法はダメージを受けている筋膜にとって刺激が強過ぎる場合があります。症状が出ている間は避けてください。
同様の理由で患部のアイシングや運動も足底筋膜炎を悪化させる可能性があるので注意しましょう。
そして、ふくらはぎのマッサージも痛みの改善に効果があるとされています。
ふくらはぎには足底筋膜から繋がる筋膜が通っていますので、マッサージすることで足底筋膜に間接的に働きかけることができると考えられています。
以下に、その手順を説明します。

  1. まずは、足を伸ばせるスペースとイスを用意しましょう。
  2. イスに座り、マッサージする足を前方に伸ばします。
  3. つま先を上に向け、膝を曲げて足を体の方へ引き寄せます。このときに手は使わないようにしましょう。
    つま先を引き寄せる強さは足裏とふくらはぎに軽くつっぱりを感じる程度が丁度良く、痛い場合は無理をする必要はありません。
  4. ふくらはぎを軽く手の平でさすります。力を入れすぎず、軽くなでるようにさするのがポイントです。
テーピング
テーピングは足の裏を保護して痛みを少なくしてくれます。
テーピングには伸縮性に優れていて、足の形にフィットしやすく剥がれにくいキネシオタイプのテープを使用することをおすすめします。

病院に行くべきサイン

上記のようなセルフケアで大半の足底筋膜炎が改善するといわれていますが、痛みや症状が続く場合は整形外科での治療を検討しましょう。

おわりに:テーピングなどのセルフケアで改善しない場合は医師に相談してみよう

足底筋膜炎の8割以上は、ストレッチやマッサージやテーピングなどの保存療法で軽減・解消することができると考えられています。
ただし、まれに治りにくい場合もあるので、痛みがひどいときや改善しないときは医師の診察を受けましょう。

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