アレルギー性鼻炎を治療してスッキリしたい! どんな方法がある?

2017/8/28 記事改定日: 2018/5/25
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「鼻水やくしゃみが止まらない・・・でも風邪じゃないみたい」
このようなときはアレルギー性鼻炎の可能性があります。アレルギー性鼻炎は風邪と同じ方法で治療しても治りません。検査や治療法について詳しく解説していくので、参考にしてください。

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アレルギー性鼻炎の原因

アレルギー性鼻炎は通年性と花粉症に代表される季節性に分かれます。
通年性の場合はくしゃみ・鼻水・鼻詰まりなどが長期的に見られ、季節性の場合は目のかゆみ、涙目、のどのかゆみ、倦怠感、発熱(微熱)、腹痛などの症状が加わることがあります。

発症には様々な環境・遺伝的な原因が関わっていると考えられていて、環境的な原因のアレルゲンとして多いのが、通年性ではダニ、季節性ではスギ花粉です。その他、イネ科・キク科などの花粉やイヌやネコなどのペットの毛やフケなどもアレルゲンとなります。

また、ディーゼル排気粒子などによる大気汚染、喫煙、高タンパク・高脂肪食の食生活、結核や寄生虫を含む感染症の減少なども、アレルギー性鼻炎の発症を招いている可能性があります。

咳の特徴

アレルギー性鼻炎によって鼻水が増えると、鼻の外へ出てくる鼻水だけではなく、喉の方へと流れていく鼻水も増えます。眠っている間に喉へどんどん鼻水が流れることで、朝おきた時に喉に鼻水がたまっている状況になってしまいます。その鼻水を外に出すため、起床後を中心に痰の絡んだ咳が続く事があります。

風邪による咳は、長くても1週間ですが、それ以上咳が続くようなら、アレルギー性鼻炎を疑ってもよいかもしれません。このような状況では気管支喘息(喘息)や風邪以外の感染症も疑う必要があるので、病院の受診をおすすめします。

アレルギー性鼻炎の検査

症状に応じ、以下の検査を組み合わせて行います。

  1. 鼻鏡検査:鼻の孔を広げる鼻鏡を用い、鼻の中の粘膜が腫れているかどうか診察します。場合によっては胃カメラのようなファイバースコープを用いることもあります。
  2. 鼻汁好酸球検査:鼻水の中にアレルギーに関わっている好酸球という細胞がいるかどうか検査します。
  3. 血液検査:アレルギーの原因物質を明らかにする検査(血清特異的IgE抗体検査)があります。
  4. 皮内テスト:アレルギーの原因である可能性がある物質(花粉など)を皮膚に注射したり、ひっかき傷にしみ込ませ、その反応をみます。

アレルギー性鼻炎の治療法:薬による治療

ほとんどのアレルギー性鼻炎は薬を使って治療していきます。
アレルギー薬、点鼻薬、鼻噴霧用ステロイド薬、点眼薬などを組み合わせて行うことが多いです。
市販の薬剤を使用してもかまいませんが、一度医師の診断を受けてからにしましょう。

代表的な薬剤とその効果は以下の通りです。

抗ヒスタミン薬

初期のくしゃみや鼻水に対して高い効果を発揮します。また、眼の症状にもよく用いられますが、副作用として眠気・気だるさ・集中力やパフォーマンスの低下が起こる場合があります。

抗ロイコトリエン受容体拮抗薬

血管に作用して鼻詰まりを抑える薬です。
使用後も眠気は伴いませんが、副作用として胃腸障害が起こる可能性があります。

鼻噴霧用ステロイド薬

くしゃみ、鼻水、鼻詰まりを改善します。
血液中に入らないためステロイドとしては副作用が少ないのが特徴です。

アレルギー性鼻炎の治療法:レーザー手術

レーザー手術は粘膜の反応を少なくすることで症状を軽くする治療法です。
鼻粘膜を浅く焼くことでアレルギー反応が起こりにくくなるように、あるいはアレルギーが起こっても鼻詰まり・くしゃみなどが起こりにくくなるように変えていきます。
手術はおよそ15分で終わり、焼かれた粘膜は3~4週間ほどで生まれ変わります。

ハウスダストに対しては8割以上の効果を示すとされ、スギなどの花粉症に対してもステロイド点鼻などの薬物療法よりも改善率が高いといわれています。

手術に伴う危険性や後遺症のリスクや日常生活への制限はほとんど無く、痛みや出血も非常に少ないので、安全性の高い治療法として広まっています。

治療後の注意点

個人差はありますが、治療直後~術後2日ほどは炎症性反応として鼻水や鼻詰まりが手術前よりもひどくなります。
また、鼻血が出る可能性もあるので、強く鼻をかまないよう注意が必要です。

レーザー処置後の数日の鼻づまりは避けられない反応なので、術後に通院する必要はありません。
ただし、経過中にひどい鼻づまりや痛み、まれですが炎症性反応による発熱などの症状が出ることがあります。
そのような場合は治療が必要になるため、我慢せずに早めに病院に行きましょう。

市販薬と漢方薬

市販薬

現在は病院で処方されるお薬と同成分のお薬が、ドラックストアで薬剤師の管理のもとに販売されています。
アレグラ®、アレジオン®、クラリチン®、ジルテック®などがその代表です。その他鼻水を軽減させるための血管収縮剤を含んだ点鼻薬などが販売されています。
忙しくて病院を受診することができない方には便利ですが、これらの薬で症状が改善しない場合は、自己判断で内服を継続せず、耳鼻咽喉科を受診しましょう。また、用法用量は必ず守ってください。

漢方薬

アレルギー性鼻炎に有効な漢方薬として、小青竜湯や葛根湯加川芎辛夷が知られています。花粉症の方は、花粉シーズンの前から飲み始めると効果的と考えられています。
こちらも有効でない場合は病院の受診をおすすめします。

おわりに:日常生活の中で、アレルゲンを避けることも忘れずに

アレルギー性鼻炎に効果的な治療法として、薬やレーザー手術などの方法があります。
しかし、まずはアレルギー発症の原因となるものを遠ざけることが重要です。
日常生活の中でも、できるだけアレルゲンに近づかないようにしましょう。

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