記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
糖尿病治療において重要な食事療法はQOL(生活の質)に大きく関係するものであり、今後の人生に大きく関わる部分でもあります。治療中でも“食べること”を楽しむためには、どのようなこと注意すればよいのかをこの記事でご紹介します。
糖尿病とは血糖や血液中の血糖値が正常値よりも高い状態のことを言います。医師や専門家に相談しながら、糖尿病の状態と食べ物の好みに合わせた糖尿病向け食事プランを立てましょう。糖尿病治療中の食事において重要なのは、カロリーよりも決められた範囲内の量で全食品群から様々な食べ物を食べることです。
この項目では糖尿病の人におすすめ食品を、食品群ごとにご紹介します。
彩り、風味、歯ごたえを感じられて糖質の少ない、マッシュルーム、玉ねぎ、なす、トマト、芽キャベツ、ズッキーニ、ケール、ほうれん草、トマトなどがおすすめです。
果物も健康には良いですが、過剰な摂取は血糖の上昇につながるので注意しましょう。
パン、シリアル、米、パスタなどの炭水化物食品は血糖値上昇の主な原因です。摂取する際は量と種類に気をつけましょう。また、できるだけ摂取量の半分以上は精製されていないものを選びましょう。
低糖のタンパク源である脂肪分のない肉、鶏肉や皮のない七面鳥、魚、卵、豆腐などがおすすめです。ビーフジャーキーや加工肉などを食べるときは、塩分を摂りすぎないよう注意してください。
牛乳(乳糖不耐性症の場合はラクトースフリーの牛乳)、ヨーグルト、チーズなどは無脂肪または低脂肪のものを選びましょう。
糖尿病の治療中に控えたほうがよいのは、以下のような糖分や脂分の多い食べ物です。
・揚げ物などの飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が豊富な食べ物
・塩分が豊富な食べ物
・焼き菓子、飴、アイスクリームなどのデザート類
・ジュース、炭酸飲料、スポーツドリンク、エナジードリンクなどの砂糖が添加された飲み物
また、血糖値が上昇するスピードを表す「GI値(Glycemic Index)」が高い食べ物も食後の血糖値を急速に上げるため注意が必要です。
白米や食パン、もち、うどん、ラーメン、パスタ、じゃがいも、などはGI値が高いので食べる量やタイミングに気をつけましょう。
糖尿病の進行具合によっては、間食はいっさいしないほうがよい場合もあります。
しかし、血糖値をコントロールして食べるものに気を配るように心がければ、間食をすることもできるといわれています。
血糖値は食後に上がるので、それが上がったままにならないようなタイミングに食べるように注意しましょう。おすすめの食べ方は、甘いものを食事の一部として食べてしまう方法や、運動を前に食べて運動で食べた分のカロリーを消費するという方法です。
外食は総じて高カロリーで、味付けが濃く、野菜が少なくて炭水化物や脂質が中心、塩分が高いといった特徴があります。糖尿病の治療中にはできる限り自炊した食事を食べるのが理想ですが、外食する場合は以下のことに注意してください。
・メニューに書いてあるカロリー表示をチェックする
・量を選べる場合は少ないほうを選ぶ
・和食など、油の使用量の少ない料理を選ぶ
・塩分、糖分が少ない料理を選ぶ
・無理に全部食べず、残したほうがよい場合は残す
・使われている食材が多いものを選ぶ
・肉料理は、蒸すか茹でた調理法を選ぶ(揚げる、焼く調理法よりは、カロリーを減らせるため)
糖尿病の治療中には毎日できるだけ同じ時間に食事をする必要があります。
これは、ある種の糖尿病薬やインスリンを使っている人が食事を抜いたり遅らせたりした場合、血糖値が極端に低下する危険性があるためです。ただし、持効型インスリン(一日を通してゆっくり作用するインスリン)のみを投与しているのであれば、食事時間の制限はそれほど必要ありません。
また、病状や体質によって食事するべき時間帯は異なるので、食事をするタイミングについては医師に相談して決めましょう。
糖尿病になったら厳しい食事制限をしなければいけないというイメージがあるかもしれませんが、糖尿病になったからといって食べられないものはありません。
「食事療法」においては特別なメニューがあるわけではなく、食べ物の栄養バランスと総摂取エネルギーを考えることが大切になります。
糖尿病の食事療法は長期間に及ぶため、無理なく続けられることが大切です。あまりに厳しい食事制限ばかりでは、生活の質が下がる一方であり、ストレスも溜まっていきます。食事時間を楽しみ続けるためには、血糖値管理はしっかりしつつストイックになり過ぎないことも大切です。