記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/31 記事改定日: 2020/7/10
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ステロイド糖尿病は、ステロイド薬の副作用として発症する可能性のある糖尿病です。何らかの病気でステロイドを服用している場合、糖尿病のリスクがあることがわかっています。この記事では、ステロイド糖尿病の症状、症状や投与期間と発症の関係、治療法について紹介します。
ステロイド糖尿病は他の病気の治療で、副腎皮質ステロイド(以下、ステロイド)を使用した副作用として発症する糖尿病です。
ステロイドによって糖尿病が起きる原因は2つあります。
ステロイドが血糖を下げるホルモンである「インスリン」の働きを邪魔します。ステロイドはインスリンの働きを妨害し、血糖値を上昇させようとします。
ステロイドによって膵臓のインスリン生成力が低下します。インスリンを作る機能そのものが弱くなるので、分泌されるインスリンの量が減り、血糖値が上がりやすい状態になってしまいます。
ステロイドは内服薬だけではなく外用薬・吸入・注射など、幅広い形で利用されている薬です。
外用薬や吸入薬は局所での作用にとどまりやすいため副作用は比較的出にくいですが、多量に使用した場合はやはり血糖値の変化が起こる可能性があります。
そのため、「自分はステロイドを使っていない」と思っていても投与を見逃している可能性があります。
また、2週間以内の短期間投与であれば発症の可能性は低いですが、数日は血糖値をチェックする必要があります。
以下の疾患では、ステロイドを長期的に内服する治療法をとられることが多く、ステロイド糖尿病に注意したい病気とされることが多いです。
長期間に及ぶステロイドの内服治療が必要なため、ステロイド糖尿病を発症する危険がある病気としては以下のようなものが挙げられます。
ステロイドによる治療を行う全ての病気はステロイド糖尿病を発症する可能性があるので、上記以外の病気であってもステロイド治療を受けている場合は、定期的に血液検査を受けて血糖値の状態をチェックするようにしましょう。
ステロイド糖尿病は初期の段階では症状は見られませんが、進行するにつれて以下のような症状が現われます。
尿の中の糖が増えると体はそれを薄めようと尿をたくさんつくります。
そのため、体内の水分が不足して脱水症状が起きてのどが渇くようになるのです。また、多量の水分を摂ることに伴いトイレに行く回数が増える傾向があります。
1日3食きちんと食事をとっていても痩せていきます。
これは、インスリンがうまく作用しないために、体がエネルギー源となるブドウ糖をうまく細胞の中に取り込んで利用できなくなることが原因です。
エネルギーの不足と体重の減少によって疲れや気だるさを感じやすくなります。
ステロイド糖尿病の治療は一般的な糖尿病と同じことがほとんどで、血糖値の測定値に基づいたインスリン療法がメインです。経口血糖降下薬を使った治療もありますが、一般的にはインスリン療法を用いることが多いです。
インスリン療法は、インスリンを注射で補い血糖値をコントロールする方法です。
インスリンをお腹・腕・太ももなどに注射します。
使われるインスリン製剤は効果があらわれる時間や効き目のピーク、持続時間などの差によって「超速効型、速効型、中間型、持続型(持効型溶解)」の4種に分けられ、患者の体質・病状やそれぞれの特徴に応じて使い分けます。
ステロイド糖尿病は長期間ステロイドを使用する場合に注意すべき合併症です。ただし、しっかり対策をとることができますので、不安なときは医師や薬剤師に相談しましょう。
糖尿病が進行すると網膜症、腎疾患、神経疾患などの深刻な合併症を招く危険性が高いです。気になる症状があれば、早めに病院を受診しましょう。