記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/25 記事改定日: 2018/12/24
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
溶連菌感染症は子供の病気という印象があるかもしれませんが、大人も溶連菌に感染する可能性があります。
この記事で、大人の溶連菌の特徴や予防法を見ていきます。感染予防や合併症の予防に役立ててください。
一般的に子供が感染することの多い溶連菌ですが、疲れがたまっている、寝不足が続いているなど、免疫力が低下しているときには、大人であっても感染しやすくなります。
溶連菌感染症の特徴的な症状は、舌に赤いツブ状のできものができる「イチゴ舌」という症状と、喉の炎症です。
重症の場合は扁桃腺の周辺に白いブツブツができて、唾を飲みこむときにも痛みを感じるほどだといわれています。
大人は子供よりも免疫力が高いために発熱がみられないこともあり、上記のような喉の症状だけが現われることもありますが、子供と同じように、頭痛、腹痛、倦怠感、全身の発疹を伴うこともあります。
溶連菌は一度感染しても、感染を繰り返す感染症であり、大人であっても感染する可能性があります。特に、家族内に子供が乳幼児や学童児がいる場合や、幼稚園や保育園などで働いている人は感染する機会が多くなります。
溶連菌は感染すると喉の痛みや高熱などが引き起こされますが、大人の場合は喉の軽い痛みだけで自然と治ることも少なくありません。しかし、抗生物質の内服などの適切な治療を受けないと扁桃や咽頭の炎症が慢性化して、再発を繰り返しやすくなります。
また、疲れや睡眠不足がたたっているなど免疫力が低くなりがちな時に感染してしまうことがあります。
大人の溶連菌感染症に出勤停止などの法的な定めはありません。しかし、溶連菌は感染力が強く、周囲への感染を広めてしまう可能性がありますので、発症後数日間は自宅で療養するのがよいでしょう。
抗生物質を服用すれば、24時間以内に感染力はほとんどなくなるとされていますが、喉の痛みや熱が続いている間はしっかり休んで、喉の痛みが落ち着いて倦怠感が軽減し、飲食が通常にできるようになったら出勤を再開しましょう。
溶連菌感染症に効果的な治療法は、抗生物質によって体内の溶連菌を殺菌することです。そのため、一般的には抗生物質に加えて、解熱剤やのどの痛みを緩和するための薬が処方されます。
薬を服用してから2~3日が経つと熱が下がったり、のどの痛みが治まったりと症状が改善するケースが多いですが、溶連菌を確実に殺菌するためには処方された薬を最後まで飲み切ることが大切です。
溶連菌は完治しないと合併症につながる可能性が高くなるからです。
特に「急性糸球体腎炎(溶連菌の感染によって生じる一過性の急性腎炎。代表的な症状は顔面・まぶた・下腿の腫れ、血尿、一過性の高血圧など)」という症状は、溶連菌によって発症する合併症の中でも成人にとってのリスクが高く、子供の場合はほとんど完治しますが、大人の場合は4割近くが慢性化するといわれています。
より重篤な合併症である「劇症型レンサ球菌感染症」は、30歳以上の大人の発症が多い傾向があり、死亡例もあるため急死してしまう危険性もあるため、注意が必要です。これらの合併症を防ぐためにも、処方された薬剤は指示通りに飲み切るようにしましょう。
溶連菌の主な感染経路は、感染者のくしゃみ・咳などによって大気中に拡散した菌を吸い込むことで感染する「飛沫感染」と、幼稚園や保育園のおもちゃや電車のつり革、公共の場のドアの手すりなど、菌が付着したものに触れた手から体内に菌を入れてしまうことで感染する「接触感染」の2つです。
飛沫感染はマスクの着用や加湿によってのどや鼻の粘膜のうるおいを守ることで、接触感染は手洗い・うがいで菌を洗い流すことで予防することができます。
溶連菌は感染力が高く、合併症を招く危険性もあります。感染してしまった場合には、体内の溶連菌を完全に退治するために、抗生物質を処方通りきちんと服用するようにしてください。流行中はマスクの着用や手洗い・うがいなどで、感染そのものを防ぎましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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