記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腹痛を感じてトイレに駆け込んだら血便が出た、なんて経験はありませんか?もしも突然腹痛と血便がみられた場合、何の病気の可能性が考えられるのでしょうか。以降で解説していきます。
血便とは、血が混じっている便のことです。少量の血がついている程度のものから、大量に血がでるものまで様々なものがあります。血の色は鮮血色で真っ赤なものから、黒っぽいものまであります。
一般的に出血してすぐに便と一緒に体外にでた場合には、血の色は鮮血色ですが、体内で出血してから時間がたって便と共に体外にでた時には、血が酸化して黒い色になります。そのため血がでる部位が肛門に近いほど、鮮やかな色の出血が見られます。たとえば肛門に傷があって血がでているような時には排便時に痛みを伴うことがありますが、全く痛みがなく鮮血がでることもあります。その場合には、便の一部分に血が混じっているような感じの血便になります。
肛門よりも遠い部位で出血が起こっている時には、腹痛を伴うことがありますが、排便時の痛みはないこともあります。この場合、真っ黒で粘り気のあるタール状の便が出ます。なお、口に近い部位での出血では、血液が便と混ざり合って、便の色自体が黒っぽく変化している便が出ることが多くなります。
腹痛が起こっていて、さらに血便が出た場合には腹部にある内臓で何らかの病気が起きていると考えられます。
たとえば腐っているものを食べたり、生ものを食べた時に起こる食あたりでは、食後しばらくしてから腹痛とともに吐き気や嘔吐がみられ、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の場合には、腹痛の中でも空腹時にみぞおちの痛みが発生し、重症化すると吐血がみられるようになります。重度の潰瘍性大腸炎では、初期は血便以外の症状がないことがありますが、病状が進行すると腹痛や下痢がひどくなり、1日に何回も下痢をすることがあります。
また、大腸ポリープができている時には、小さなものであれば痛みはありませんが、大きなものになると血便が出るようになります。大腸癌の場合にも、初期はほとんど症状がありませんが、腫瘍が大きくなってくると便が出にくい感じや、便が残っている感じがするようになります。体内での腫瘍部位からの出血が多くなると、貧血を起こすこともあります。
血便は様々な原因で起こるので、血便を見ただけでは、どのような病気が潜んでいるかを判断することができません。しかし血便は、自分の目で見て気付くことのできる大切な症状です。症状があるということは、体内のどこかで何らかの異常が起こっている危険が高くなるからです。このように目に見える症状があることで、病気を発見することができるのです。
もちろん一度出たからと言って、病気だと判断することはできませんが、何度か出ている状態であれば、それは深刻な病気のサインかもしれません。深刻な病気も初期のうちであれば、治療できるものが多くあります。もしも腹痛と血便が出た時には、放っておかずに念のため病院で検査を受けることが重要になります。
血便と腹痛が出た場合、体内に重大な病気が隠れている可能性があります。しっかりと便の状態を確認して、病院での検査を受けるようにしましょう。